老犬を飼う者
多くの老犬を飼うある男の一生
少し重たい話となります。
2021/10/17 全体を見やすく修正し、少し内容も直しました。
父親は屑だった。
車に金を掛け、ギャンブルに走り、女を作って遊び回る。
家に帰れば酒を飲んで暴れ、家族全員に暴力を振るった。
最後には飲酒運転の末、家族以上に大事にしていた車で自損事故を起こし、浮気相手と二人仲良くあの世へ行ってくれた。
母親は屑だった。
腹を空かせた幼子を放り出し、夫の居ない日中に若い外国人男性を何人も連れ込んで、狂ったように嬌声を上げ続けるのが好きな女だった。
夫が死んだ後は二人居る子供の長子を実家に預け、今まで以上にふしだらな生活を続けた。
やがて連れ込んだ外国人の一人が下の子供に暴力を振るい殺してしまった。
その外国人は逃げ、母親は警察に連行された。
母親はその後釈放され、そしてすぐに自殺した。
母方の祖母は屑だった。
いつも厳しく叱ろうとする祖父から娘を庇い、甘やかせ、そうして屑な母親を作り上げた。
祖母は母親の生んだ孫には一切関わらなかった。
それどころか施設に預ける手配を進めていた。
内臓を悪くして入退院を繰り返していた祖母は、母親の自殺を知り容態が悪化。
そのまま帰らぬ人となった。
父方の祖父母は屑だった。
既にこの世にいないが、屑である父親を生んだから。
そして自由にのさばらせたからだ。
下の子供は……妹は屑だった。
弱く抗う術を持たず、ただ泣き喚くだけでこの世から消えたからだ。
母方の祖父は唯一屑では無かった。
全て失い残った俺を引き取り、育て、そして財産を残して死んだ。
祖父の残した財産は莫大なものではなかったが、一人で住むには広すぎる家に山が一つ、それと贅沢しなければ一人が一生暮らせるだけのお金。
土地は田舎だったが、俺は逆にそれが有難かった。
そして俺は屑だった。
父親からも母親からも、そして祖母からも逃げおおせ、妹を犠牲にし、今ここで一人で生きている。
幼少時の俺には一匹の犬がいた。
まだ少しはまともだった頃の両親が、知人から譲って貰った雑種犬だった。
[コロ]と俺は名付け、その犬を可愛がった。
コロも俺に懐き、楽しい日々が続くと思っていた。
幼い俺は馬鹿だったのだ。
喧嘩を繰り返す両親。
とばっちりで振われる暴力。
怯え、逃げ隠れた部屋の隅。
頬を嘗め、寄り添ってくれるコロの温もりが、俺に心の安らぎを与えてくれる唯一の存在だった。
そして突然の転機が訪れる。
室内で飼い始めた筈のコロが、妹が産まれるからと家の外に出されることになった。
俺はそれを止める術もなく、父親や母親の命令に従うだけの屑だった。
その頃から、父親と母親の仲は更に険悪になっていった。
そして、俺に振われる暴力も更に酷くなった。
痛みを堪え泣く俺の耳には、それに合わせて家の外で吠えるコロの声が良く聞こえていた。
やがて俺は、虐待に気がついた母方の祖父に引き取られる事になった。
コロが保健所に送られたと聞かされたのは、祖父に預けられた直後の事だった。
それを聞いて、ただ泣くことしか出来なかった俺。
多分、俺が1番の屑だろう。
その日から俺には
『健太くん…たすけて』
と言う幻聴が、時折聞こえるようになった。
屑な両親から生まれた屑な俺、山城健太は今年35歳。
何の因果か、幻聴が聞こえるようになった俺には1つの能力が与えられていたのだ。
俺がその能力に気が付いたのは28歳の時だった。
18歳の時に祖父が亡くなり、その後に俺は一匹の犬を飼うことにした。
たまたま昔の自分が見捨てるしかなかった[コロ]を思い出して保健所に足を運んだ歳、コロとてもよく似た一匹の子犬を引く取る事が出来たからだ。
俺はその子犬に[コロ]と名付け、幼い頃に飼ったコロとは出来なかった事を沢山やった。
コロでない事は知っている。
だがそうしなければ……そうしたいと思った。
成犬に育ったコロは中型犬だったが、俺は室内で一緒に過ごす事にした。
毎朝一緒に散歩し、お風呂も一緒に入り、旅行にも一緒にいった。
コロを飼ってから10年が過ぎようとしていた頃である。
何時もはワンワンと吠えるコロが、何故か理解出来る言葉で俺に話し掛けている事に気が付いた。
その時のコロは「健太君、ごはんありがとう!」と言っていた。
俺とコロはお互いに会話が出来る事に気が付き、一人と一匹で色んな事を話し合った。
そこから2年後、コロが癌を患った。
治療を続け、コロも出来るだけ苦しむ様子を見せないようにしていたようだった。
だが、病状が悪化したコロは次第に話す言葉も少なくなり、多くの時間を眠って過ごすようになった。
やがて治療の甲斐なく癌の転移が進み、翌年の春、コロは天へと召された。
最後にコロはこう言っていた。
「健太君が老犬の言葉を理解できるようになったのには、何か大きな使命があるのかもしれないね」
と。
その言葉を聞いた俺が、コロが亡くなってからこれまで、ずっとやり続けていた事がある。
今日も保健所の職員からの電話を受け、俺は施設へと車を走らせた。
「山城さん、今日入って来たのは老犬と若い犬の二匹です。
老犬の方はこちらで出した餌に手は付けませんでした。
持ち込まれた時点で歩みも覚束ないので余り長くないのかもしれません……
もう一匹は人気のある小型犬なので、こちらの引き取りサイトで里親を募集してみますよ!」
若い犬だけでも普通に引き取り手が決まるならそれが一番良い。
「じゃあ、老犬の方はいつも通り俺が引き取ります。」
と、いつも通りのやり取りだ。
「本当に大丈夫なんですか?
もう何十匹も引き取られていますし、しかもそれがすべて老犬ですよ?
いつも[ただ看取るだけ]とは仰いますが、ご負担は相当のものじゃないですか?」
そう、俺は保健所に連れて来られた老犬を引き取って回り、所有する山の土地に建てた施設で亡くなるまでの面倒を見ている。
持ち込みも受け付けてはいるのだが、今では直接俺の所へ引き取りを依頼する飼い主は居なくなった。
連れてきた飼い主が、老犬の気持ちを代弁したかのように話す俺を気持ち悪がり、変な噂でも流したからだろう。
その代わりに勝手に敷地に犬を捨てていく件数が増え、いつの間にか施設の犬は膨大な頭数になっていたのだった。
「ありがとうございます。
まだ大丈夫そうです。
コイツらには俺のところが最後の安息地なんだと思ってますからね。
本当に無理そうになったら……
そうですね、亡くなった犬の数だけ新たに引き取るようにしますよ。」
基本、俺は話が出来る犬……そう10歳を超える犬だけを引き取っていた。
今日の新しい老犬は15歳位だろうか。
エルザと言う名の雌のビーグル犬だった。
帰りの車に乗せるまで、エルザはビクビクと震えていた。
だが、車に乗せた後は何かを諦めたような感じで体を丸めて大人しくなった。
「やあ、エルザ。
今日から君は俺の所で老衰で死ぬまで暮らすんだ。
覚悟しておけよ?」
エルザは俺の[声の意味]が分かった事が不思議に思い、突っ伏していた筈の頭を持ち上げる。
「あなた…もしかして私の言葉もわかるのかしら?」
エルザもさぞかし驚いただろう。
「まあそんなところだ。
そんな事は置いといて、餌はなんで食べなかったんだ?
もうそんな元気もないか?」
それを聞いたエルザがフシュンと鼻を鳴らす。
「それは違うわ。
私はね、もう生きていたくないの。
老犬となった今、育ててくれた飼い主は見限られたわ。
共に育った……家族だった飼い主の子供たちからも見放されたの。
もう生きていく必要なんてないのよ。
私はもう必要とされていないのがわかったの。
だからもう餌を食べる必要がないのよ……」
(老犬の面倒を見切れなくなったから捨てた。
これまでも多く見てきた光景だ。
どうせ新しい犬でも飼うのだろう。
本当、無責任な飼い主なんて腐る程居るものだな。)
「そうかそうか、まぁそれもいいだろう。
そうやって逝った老犬は沢山いるしな。
それがアンタにとって一番満足な死に方なら止めはしない。
俺はただ、老犬の最後を看取ってやるだけだからな。」
と、ちょっと発破を掛けてみる。
「こんな最後が一番なわけないでしょ!?
そりゃあどうせ、もうすぐ死んでしまうけど、最後まで飼い主や子供たちと一緒に居たかったに決まってるじゃないの!」
やはり、思った以上に元気はありそうだ。
「そりゃあそうだろうな。
じゃあ一番じゃないなら、二番目に満足な方法にすればいいじゃないか。」
それを聞いたエルザは不思議そうな顔をしたが、そのままプイと顔を横に背けた。
その後、山に建てられた施設に到着するまで、エルザは口を閉ざして眠りについていた。
「そうら、着いたぞ。
どうせ歩けないだろうから俺が運ぶぞ?
嫌がらず我慢しろよ。」
エルザは黙って抱かれるままにされていたが、施設内に入ろうとした時になって急に話し掛けてきた。
「こんなお婆ちゃん犬をわざわざ中に入れてくれなくてもいいのよ?
その辺りに放っておいてくれれば逃げたりもしないし、それこそ明日か明後日にはすぐに死ぬわ。
死んだ私を片付けて貰うのは申し訳ないのだけれど、それだけは頼むわね?」
まぁ捨てられた老犬なんてみんなこんなものだ。
誰だって、それこそ人だって同じだろう。
「おいおい、それじゃ二番目にすら満足出来ないだろう?
死ぬのはいい。
でも、どうせなら温かい所で死ぬといい。
餌だって無理に食べなくてもいいぞ。
残せば他の老犬が食べるだろうしな。」
他の老犬と言う言葉に、エルザの耳がピクピクと反応した。
「あら、他にもいるの?」
気になるらしい。
「沢山いるぞ?
今は50匹位だな。
爺婆だけなんだがな……
まあ死ぬ前に自分の環境の愚痴でも零してみるといいぞ?
きっと聞いてくれるさ。
エルザと同じような奴らは結構いるし、もっと酷い仕打ちを受けた奴もいる。
どうせ後は死ぬだけなんだ。
死んだらちゃんと埋葬してやるから、それまでは好き勝手に過ごすといい。
ただ、死ぬ時には最後の言葉は聞いてやるから俺を呼ぶんだぞ?」
そうして俺は犬達の居る場所へエルザを運び、「宜しく頼む」と老犬達にお願いした。
すると何匹かの老犬がエルザの周りに集まってきた。
「おうおう、また別嬪さんがきたな。短い間だと思うがよろしくな。」
「健太さん、後は年寄りだけでいいわよ?」
「ひゃひゃひゃ、健太や、粗相でだいぶ床が汚れたで、ついでに掃除していっておくれな?」
エルザは他の老犬達を黙って見ていたが、やがてその犬達の近くで横になり丸まった。
俺が居なくなれば周りの老犬たちが何とかしてくれるだろう。
「じゃあ掃除と餌の追加をしておくよ。
他になにかないか?」
何時ものように話を聞く。
「そうじゃ!あの狼みたいな爺さん。
ありゃ今日あたり死ぬぞい」
「おお、偉そうに入ってきたハスキーのタロウじゃろ?」
「彼の名前はタロよ?
健太、最後の言葉を聞いてあげなさいね。
人間じゃあんたにしか出来ないんだから。」
勿論、その為に自分がいるのだと思っているからな。
「わかった。
見てくるよ。」
見送る老犬を尻目に、俺は部屋を奥へと進んだ。
隣の部屋の最奥の壁の前で、ハスキーのタロが息を荒くして横たわっていた。
目線が定まらず舌が零れていてる……
もう限界の様子だった。
「おう、タロ爺さん。
健太だ、分かるか?
よく頑張った。
さっすが!偉そうに入って来ただけあるな~
どうだ?
最後に言う事はあるか?」
タロは何とか目だけを俺に向けたが、見えているのかは分からなかった。
「ぉぉ……け…んた……楽し…かっ…た――ありが…とう」
タロはそれだけ言うと、目を閉じ荒い呼吸だけを繰り返し始めた。
俺は暫くタロを撫で続けた。
やがてタロの呼吸が一層荒くなったかと思うと、クタリと力が抜けタロは息を引き取った。
こうやって俺はほぼ毎日、老犬の最後を看取り続けていた。
だがこのままではいけない。
まだ蓄えは残っているが、それが尽きた時にまた老犬達に悲しい思いをさせてしまうだろう。
そう考えた俺は、ここを格安の老犬ホームとして広告を出す事にした。
里親を探せなかった若い犬達まで助ける力がないのが恨めしいが、俺は俺の出来ることをするのだ。
それから暫くして、俺の作った施設は動物の火葬や葬儀等も行う会社に変わった。
運良く運営もそれなりに上手く行った。
そこからおよそ50年の月日が流れた。
85歳を迎えた俺は、病により医者から余命2か月を告げられた。
俺は今、自分の作った会社施設の大部屋で、これまでと同じように引き取った老犬達に囲まれている。
余命宣告からはすでに4か月が過ぎていた。
俺は最後をこの場所で過ごしたいと、関係者達に事前に懇願していたのだ。
真ん中で仰向けに横たわる俺に、老犬達が次々と話掛けたり、頬を嘗めたりしてくれている。
そんな中、一匹の犬はこう言った。
「なんじゃお前さん、もう死ぬのか?
じゃあ先に言っとくが、儂は今ここの生活を楽しんどる。
捨てられた儂が、もう一度楽しいと思えておるのはお前さんのお陰じゃ。
ありがとうなぁ……
なあに、儂らもすぐに行くからのう。
向こうで美味い物でも食わしてくれりぁええんじゃ。」
合わせて別の犬も相づちを打つ。
「そうじゃのう!
儂の方も向こうへ行く楽しみが出来たわい!!」
「そうそう、死にそうと言えば我らがアイドルの[ハナちゃん]ももう虫の息だから、アタシが代わりに最後の言葉を聞いてきてあげたわよ?
健太に「ありがとう」だって。
ホント、みんな他に言う事ないのかしらねぇ……
だからアタシも先に言っておくわ。
[ありがとう健太]」
なんだ、お前も他に言う事がないんじゃないか。
「ええのぅ、ハナちゃんと一緒に行くなら寂しくないわなぁ。
ハナちゃんは器量よしじゃからのぅ」
済まないな。
雌犬の器量は俺にはまだ分からんのだ。
修行が足りなかったな……
半ば意識も朦朧としてきた俺は、自分からの最後の言葉を老犬達に伝える事にした。
「月並み…だ、けど――俺の……最後の、言葉――だ。
ありがとうな…、看…取れ…ない奴ら…は、すまな…い…」
後はハァハァと息を荒げるだけで精一杯だった。
本当に言いたい言葉が、なかなか口から出てこなかった。
「……俺…も、楽し――かった……な。コ…ロ…ごめん…な。コロ……あり…が――」
そうして、俺の意識が急激に失われて行くのが分かった。
まだ体力のある老犬達がそれぞれにワオーーンと声を上げた。
横たわっていた犬もなんとか声を上げた。
俺は、死に掛けていた筈のハナちゃんが、最後に一鳴きした声が聴こえた気がした。
薄れゆく意識の中でその声を聴いた俺は「死に掛けの年寄り連中が無理するなよ…」と思ったのが最後となった。
そして、半生以上を老犬達に囲まれて過ごした俺の生涯は、そこで終わりを迎えたのだった。
何もない真っ暗な世界に俺の意識だけが漂っていた。
そこへ、何処からともなく緑色の光が集まったかと思うと明滅を始める。
意識そのものに女性の声が響いたかと思うと、その声は俺に語り掛けて来たようだった。
「聞こえていますか?
あなたは本来、老犬の声が聴こえるようになった時点でこの世界から消される筈でした。
ですが、私はあなたがその力をどう使うのか非常に興味をもちました。
だから消されないようにお願いして、あなたの生き様をずっと見守ってきました。
あなたは今日まで、その力を老犬のためだけに使ってきましたね。
あなたの命の灯が消えるまで、その生涯を楽しく見続けさせて頂いたわたしから、一つだけあなたに褒美を差し上げたいと思います。
次に生まれ変わるならどうしたいですか?」
(不思議な事もあるものだ。
これがあの世と言うものなのか。
俺は消されえる筈だったのか。
そうか……
それはそれで良かったのかもしれない。
だが、最期を看取った老犬達の事を思うと、消されなくて良かったと思う。
そして俺が次になりたいものか……
あぁ……
それなら1つだけある。
俺はあのときの……最初のコロになりたいのだ。
そうしてコロの苦しみを、悲しみを、俺は知らなければならないのだ。)
「ああ、貴女様は女神様でしょうか?
では私は犬に生まれ変わりたいです。
最初に飼っていたコロと言う犬になって、その犬の過去の生を送りたいのです。
それ以外に望みはありません。
どうか叶えて頂けませんでしょうか。」
(何故だろう。
女神が少し困惑しているのが伝わってきた。
無理な事を言ってしまったのだろうか……)
暫くして気を取り直したのか、少し考え込んでいた様子の女神が答えた。
「あなたの望みは分かりました。
ではあなたの来世は犬になれるように致しましょう。
しかし、コロはコロの生。
そして既に全うされた過去です。
私にはあなたをコロに、過去の生に戻してあげる事はできません。
ですが私はあなたに、いつかは楽しい世界で犬の生を過ごして頂きたいのです。
今はまだ私の力が足りず、すぐにとは参りません。
ですが、犬として生まれ変わったあなたを含め、沢山の不幸な動物たちを、私の創る幸せな世界に連れて行って差し上げる事をお約束致します。」
(そうか……
俺はコロにはなれないのか……
苦しかっただろう、悲しかっただろうコロに、俺は死んで尚、ただ心で詫びる事しか出来ないとは……)
そんな思いが伝わったのか、女神が俺に話し掛けてきた。
「あなたが望むコロの魂は、まだ私の手の届くところにあります。
私の世界、私の宇宙、絶対にあなたと一緒に連れて行きます。
だから安心してください。」
(……そうか、ならば良い。
それが良い。
コロとまた会える未来があるのなら、必ずそこでコロに謝ろう……)
「それは楽しみですね。
本当にありがとうございます。」
「さあ、じゃあ行きなさい。
意識を閉じた向こう側には、新しい犬の生が待っているわ。
まだ楽しい世界には連れて行ってあげられないけれど……
辛い事が沢山あるけれど……
信じていてくださいね。」
女神のその言葉を胸に、俺は心の中の目を閉じるようにして自分の意識を閉じた。
そして自我の最後の残りも消え去り、俺の本当の犬の生が始まるのだ。
今、地球上の何処かで。
健太であったものが、新たな子犬として生を受けた。
いつか救われる未来のために。
※一部の世界観を他の作品と共有しています。