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エメラルド メモリー  作者: 左近 流吉
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出会い

ラノベ大好きな学生です。

小動物を愛でたりとか、ゲームしたりして1日が終わっていくことに最近愕然としています。

おじいちゃんみたい!

この世界には遥か昔、神様が存在した。

神様は世界を創造し、生み出した生物の中で最も賢い人間たちに自分の力を分け与えた。

水を、炎を、風を、自然に存在するエネルギーのほとんどを生み出す不思議な力を。

人間たちはその力を「キセキ」と呼び、生きていくための礎としてその力を使った。

さらに人間たちは自らの生活をより充実させるため、「キセキ」を研究し続けた。後に彼らは、キセキのことを魔道学と呼ぶようになり、さらなる人間世界の発展のため研究に取り組んだ。

そして、神様による創造から、およそ8000年ほどの月日がたち人間が繁栄する頃には、神様による世界の創造は史実から伝説に変わったーーーーーー




4月10日

ルフラン魔道士学園にて

ここは、あらゆる魔道学を学んだ学生が集まる専門学校。年々入学者数が増えていき、今では一学年640人もの生徒を有する超大規模校である。

今年もまた例に漏れず多くの生徒がやって来たわけだが、はっきり言って僕ほど異質な存在はいないだろう。事実、僕を見る周りの人の視線は明らかに不思議なものを見る目だった。白髪に青い目。だぼっとした制服の着こなし。これでは嫌でも人の目につくだろう。今日ほど透明人間になりたいと思う日があっただろうか…


この僕、レオン.ハーバーは今年からこの学校へ通う15歳の青年だ。小さい頃は訳あって小さい丘で師匠と二人で暮らしてたりしたけど、こんなに人の集まる場所に僕一人で来るのはこれがはじめてだ。正直言って、もう帰りたいとしか思えない。ただでさえ人と会話するのが嫌いなのにどうしてわざわざ人しかいない場所に行かねばならないのかさっぱりである。実際帰っても師匠からボコボコにされるだけだろうが、今はそれですら楽とさえ思える。

いっそ本当に帰ってしまおうか、そう思った次の瞬間だった。ドゴォッというかなり鈍めの衝撃が背中から伝わってきた。

「ーーーーーーッ!?」

声にならない悲鳴をあげ、ぶつかってきたものを見ると、そこには一人の女子生徒がいた。恐らく僕と同じ新入生だろう。

「ごっごめんなさい!急いでたものでつい…」

女子生徒は申し訳なさそうな顔でこちらに会釈をした。

「大丈夫?怪我とかしてないかな?」

今度は心配そうな顔で僕の顔を覗き込んできた。

「あの~…もしも~し?」

お次は顔の前で手をひらひらされた。

「…レスポンスくらいしてほしいな~」

実際のところあまりの痛みでそれどころではないのだが、これ以上話しかけられるのはごめんだ。さっさと離れたいし適当な言葉で取り繕うことにした。

「だっ…大丈、夫、です…」

どう考えても大丈夫なやつが放つ声ではない。

「そう?なら良かった!じゃあ私は急いでるからこれで!」

別に僕の容態なんか気にならないようだ。

僕もこんなところで悶絶している場合ではない。今日は入学初日につき、クラス発表がある。僕はそれを見に来たのだ。

そこら中で「見つけた!」だの「どこだろー?」だの色々な声を聞くなか、やっとのことで僕の名前を見つけた。第16クラスの28番らしい。

いそいそとその教室へ向かうとすでにほとんどの生徒が来ていた。

本来この学園は内部進学生枠と外部進学生枠の2つがある。内部進学組は元々友達がいるのだが、僕みたいな外部のものは一から友好関係を築く必要がある。けれど僕は別にそんなことのために貴重な時間を使いたくない。早々に荷物を確認したら本でも読もうか…と考えていた矢先、バンッと机を叩かれた。

「奇遇だね!同じクラスだったんだ!」

驚いて顔を上げると、そこには先程の女子生徒が。

「さっきはどうも!私は魔導士見習いのリリー.フランクリン。内部進学組で、専攻魔道学は癒しの「キセキ」だよ!早速で悪いんだけど、君の名前は?」

ほぼ初対面も同然の人間にこうもペラペラと喋るとは、変わったやつもいたものだ。何にせよ、人との話し合いは好きではないし、さっさと答えてしまうほうが楽だろう。

「レオン。レオン.ハーバーだ」

「なるほどレオン君か!ねぇねぇ、レオ君って呼んでも良い?」

さらに突っかかるのかよ。もうどっか行くと思ったのに。

「レオでいいよ。師匠からもそう呼ばれてたし」

「レオって師匠がいるの!?」

しまった…油断した。これは面倒になるパターンのやつだ。さっさと終わらせようと思ったのに…

「…別にどうだっていいだろ。」

「そんなにケチケチしなくったっていいじゃん。ねぇねぇどんな人なの?そのお師匠さん」

めんどくさい…無視してもずっと話しかけてくるだろうしどうしたものか…そう考えている内に教室のドアがガラガラと開いた。

「よしお前ら席につけ。これからホームルームを始める。」

入ってきたのは眼鏡をかけ、ジャージを着た無気力そうな女性教師だった。

「えー今日からお前らの担任となるスカーレットだ。皆知っての通りこの学園では医療、建築、創作、あらゆる分野で活躍する魔導師の育成を行っている。泣き言はもちろんモチベーションの低いこと言っても即罰そk…お仕置きがあるから気を付けろよー」

今結構洒落にならない台詞が飛んできた気がするが気にしないでおこう。

「では今から出席とる。それとパートナー決めも同時に行うぞー。しっかり聞いてろー。」

ん?パートナー?

「先生、パートナーってなんですか?」

リリーの不思議そうな声が教室内に響く。俺も気になっていたので耳を澄ませた。

「何って…軍事訓練用のパートナーに決まってるだろ?」

何だ?軍事って…。

「あの…軍事とは一体…」

「お前軍事部志願者だからこの教室にいるんだろ?ここ第16クラスはこの学校で唯一の軍事関係者育成専用クラスだぞ」

…なるほど、そういうことだったのか。入学手続き諸々全て師匠がやったから何がどうとか全く聞かされてないのだ。

というか、パートナーとか冗談じゃない。知らないやつと積極的にコミュニケーションとれとか苦行以外の何者でもないだろ…

すると、僕の横で崩れ落ちるリリー。

「しまった…ここ、医療系専攻科じゃないの?…。嘘でしょ…」

かなりのショックで頭の中がボーッとしているようだ。目の焦点が合っていない。

そんな中、淡々とパートナー決めは進んでおり、気がつけば次は自分の番というところまで進んだ。

「パートナーT・リリー.フランクリンとレオン.ハーバー」

「!?」

いや待て。男女合同なのか?このパートナー分けって。

しかもよりによってこいつかよ!

「これで全部だな。では、ホームルームはこれで終わる。各自休み時間に入っていいぞー」

最早色んなことが矢継ぎ早に起こりすぎて何がなんだか分からなくなってきた…。情報を整理しようにも頭の中がパニックなので、僕は考えるのをやめた。

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