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私はジルベルト様が地下牢に居るのをいいことに王宮通いを止めた。いつ釈放・・・もとい修繕箇所の検証が終わるかわからない為である。あわよくば、このまま疎遠になろうと思っていた。


そんな心を見透かされたのか王太子殿下に又しても呼び出された。


「エリザベス、最近王宮に来ていないそうだね」


「ジルベルト様が王宮の改修に携わってからお忙しい様で、お会いできないものですから」


「そういえばジルにはそんな仕事を与えたんだったかな。・・・まあいいや」


もしかして忘れていたんですか?最後ボソッと呟いた“まあいいや”って何ですか、まさかこのまま放置する気なんじゃ。


「そんなことより、近々隣国から親善の為に王子と王女が来るのは知っているね」


知ってる、王子の花嫁探しも兼ねているんだよね。それより、ジルベルト様は放置決定ですか・・・


「君には王子の接待役を任せる」


王子?聞き間違えたかな、王子の接待役はお見合い相手になるから婚約者のいる私が選ばれるはずないし。


「“王女”の接待役ですね、謹んでお引き受けいたします」


「うん、じゃあ“王子”のことは頼んだよ」


聞き間違いじゃない、確かに“王子”って言った。えっ、何で?


「殿下?王女のお相手ですよね、王子ではなく」


「君には“王子”の接待役を任せる」


「王子の接待役って王子のお見合い相手ですよね。私には殿下に決められた婚約者がいるんですよ?」


「問題ない、ジルベルトも了承している」


嘘、ジルベルト様の了承なんてとってるはずない、さっきまで忘れていたんだから。でももしかして、婚約は解消されるってこと?それなら喜んで引き受けるんだけど。


「ではジルベルト様との婚約は解消されるんですね」


「それはない」


「では今回は王子のお見合いではないということですか」


「まさか、それなら君には任せない」


???


訳がわからない。ジルベルト様との婚約は解消されない、けど王子とお見合いしろ?しかも殿下の口振りでは、お見合い相手は私じゃないとダメ?もしかして「私が王子に見初められた?」


私がボソッと漏らした言葉に殿下は吹き出し、腹を抱えて笑っている。


「あはははは、エリザベス面白いことを言うね。君が見初められるなんて、はははは」


こちらは全然面白くない、思わず憮然とした顔で殿下を見てしまった。


すると殿下はふわっと誰もが見惚れる微笑みを浮かべた。


・・・どうしよう、恐怖しか感じない。


「そうだねエリザベス、もし王子が君を花嫁に望んだらジルベルトとの婚約はなかった事にしてもいいよ」


「は?」


え?殿下の意図がまったくわからないよ。どうしたらいいの?


私が戸惑っている間に、もう用はないと部屋から追い出され、悶々とした日々を過ごすうちに王子と王女の訪問の日を迎えた。


長旅で疲れているだろう王子と王女の為に今日は挨拶だけで、式典や晩餐会等の行事は明日から行うという。挨拶の為に、応接の間に伺うと国王陛下、王妃様、殿下と隣国の王子と王女がいて、殿下が王子に今回の接待役だと紹介してくれた。


・・・殿下?陛下が凄いびっくりした顔をされているんですが?


私が王子の接待役と紹介されたとたん、陛下は大きく目を見開き口をぱくぱくさせ、何事か言おうとしたところを殿下が一瞥し、顔を青くさせて口をつぐんだ。


まさか接待役って私じゃなくて本当は・・・


挨拶の後、殿下に面会を申し込んだが忙しいと断られ、仕方なく翌日王宮に来ると大事件が起こっていた。隣国の王女と大公家長子エドワード様が一晩同じ部屋で二人きりで過ごしたというのだ。


王宮は上を下への大騒ぎになっており、情報が錯綜していたが、最終的に両人共正式な婚約者が居らず、王女の醜聞を避ける為に二人きりで過ごした事はなかった事にして、二人が両国の友好の為に婚約したことになった。其にともない周辺諸国とのバランスを考え、王子が我が国から花嫁を選ぶことも無くなった。


怪しい、怪しすぎるよ。真面目なエドワード様が女性と二人きりになるなんて。これはやっぱり殿下が絡んでる気がする。きっと王子の本当の接待役ってフィリア様だったんだ。それを阻止する為に私に接待役をさせて、エドワード様と王女を罠に嵌めたんだ。


しかし、殿下にそれを確認するのは恐ろしくて出来ない。どんな目に合わされるか想像するだけでも震えが止まらない。


真相は闇の中だがひとつ思い出したことがある。ゲームの“エリザベス”が隣国の王子に色目を使い婚約を狙ったというエピソードを・・・


あれ?もしかして私、“エリザベス”と同じ行動になってる?

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