『親父って見た目のわりに料理できるよな』
(主人公の名前が)難産でした。
ここまで名前を出さなかったのに意味はありません。純粋にいい名前が思いつかなかっただけです。
気絶した親父は踏んだり蹴ったりしても起きなさそうだったのでその場に毛布などを掛けて、金と銀に風呂に行くように言った。
シャンプーはピンクでリンスは白、着替え代わりの適当な服の用意などを適当に説明して居間に戻る。
気絶したというのに呑気な顔をしている父親が少し腹立たしい。
ビニールテープを両膝に貼ってやった。
ベランダに出て月を見ながら少し物思いに耽る。
送られてきて住む事になった少女達、いつもとは違うタイミングで帰ってきた父親の知らなかった仕事、お隣さんの秘密。
今日1日だけで随分と色の濃い出来事が増えたものだ。
風呂場から聞こえる二つの声はこれからどんなモノを見せてくれるだろうか。などと気取った風に考えてるなと思いながら夜が更けて行くのであった。
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翌朝
一階から人の気配がして降りて行ったところで親父と双子がいる事を思い出す。
朝食用意した方がいいのか?そういえばこの家に二人以上人が居るというのは人生初なのでは?あれ?あの双子は数え単位|人≪にん≫でいいのか?ん?そもそも、家には人形が居るから実は最初っから二人暮らしだった?
などと変なことを考えながら居間に行くと親父がキッチンでハニートーストを作っていた。
「親父って見た目のわりに料理できるよな」
「朝の挨拶もなしにそれかよ」
無精髭の草臥れたおっさんが可愛い部類に入る料理を作っているというのはなんともミスマッチとでも言えばいいのか、それとも母さんはこういうギャップに惚れたのだろうか。
「昨日、寝る間際の記憶が無いんだよな」
ここ最近ハードスケジュールだったからなぁと苦い笑いを浮かべる親父。どうやら、あの双子の事を含めてそれなりに大変な事だった様だ。
俺のやらかしたらしい事も記憶が吹き飛んでいるっぽいのはうれしい誤算だった。
そんな朝のまったりした時間を過ごし、少し遅れて起きてきた双子と共に久し振りの朝ご飯を食べる。
「取り敢えず今日はお前らの服やら何やらを買いに行く」
双子にそう言う。
昨日の段階で気付いてはいたが服は着ていた物しかなく、日用品は大体が数が足りたがストック分を使い切った形になった。
タオル類なんかも一人暮らしをするには足りる程度にはあったが一気に四人増えるとなると二日分は無かっりと様々なものが微妙に足りなかったり足りはしたがすぐに底をつきそうであったりと色々なものが足りない状況となっている。
ストックが無くなったものなんかは急いで用意しなくてもいいかもしれないが、さすがに服は俺のを貸したままという分けにはいかない。
これが夏とかだったらまだ良かったかもしれないが、今は冬。流石にサイズの合っていない服は寒かろう。
「親父はどうする?」
「こっちの支部のやつの顔繫ぎが有るから午前中は出かける」
「ん」
「あと、晩飯時に二、三人程合わせたい奴が居るから」
「わかった、じゃあ今日はカレーにする」
「じゃあ、甘口で頼む」
「客の?」
「ああ」
こういう時作るだけ作って、人数調整のいらない食べ物は楽で助かる。
じゃあ、日用品→飯→服→食材の順で動くとするかな。
今日の昼は外で適当に食べるとして・・・
服・・・服か・・・
「親父って女性の知り合いって居ないの?」
「なんだ突然」
「こいつらの服やらを買いに行くのにそういうのがわかる人が一人でもいると楽だなと」
「ああ、それだったら段ボールの中見てみろ」
昨日は気が付かなかったが、段ボールの中に双子が痛くないようにの配慮布が敷いてあった。
敷いてあった布をとると名刺のような紙とクレカのようなものがビニールに包まれて出てくる。
クレカは何も印刷も書き込みもされておらず、数字の打ち込みすらされてなかった。
名刺には『見世物小屋 店主:御薬袋 物集女』とシンプルに書かれている・・・名前が読めない。
「何この・・・何?しかも住所書いてないから何処かわかんないんだけど」
「白と黄金みたいな存在の総合専門の店に諸々の細かいことは任せてある。場所は・・・まあ、行きに近くの神社でも行けばわかる」
「じゃあ、白と黄金って?」
「私が白で黄金の姉」と金の方、「私が黄金、妹」と銀の方
・・・ああ!そういえば名前聞いてなかったな。すっかり忘れて・・・違うなどうでもいいやと俺が放置してただけか。
しかし、髪の色と姉妹の名前逆なんだな・・・子は自分で名前を付けられないからな。意味が有るなら未だしも「おもしろそうだから」「かっこいいから」とかでつけられたものだったら堪ったモノじゃ無いよな。
ん?なぜこっちを・・・・ああ。
「人偏に契約の契で偰だ。多分おそらくきっとまだ人間をやってる」
自己紹介なんて何年ぶりだろう・・・記憶に無いって事はそれぐらい昔か意識してなかったか。
互いによろしくと頭を下げあう。ここで頭を下げるあたり日本人だよな。
その後、出かける準備が終わったのは白が三枚目のハニートーストを食べ終えたのと同時ぐらいだった。
名前の思い付き方
0 なんかいいの思いつかないかなぁ
1 主人公だから要石的な存在だよな
2 要石って楔石って呼び方もあるのか。じゃあ、楔・・・はなんか違うな
3 これ、人偏に変えたもんないのかな?お、いいのあるじゃん
4 名前の意味も考えて・・・いい感じ
名前の意味:人の楔になれるようにという意味を込めて
子供の名前を付けるってこういう感じなのかな思いました(小並感)