「儲かってないんじゃなかろうか。この店」
顔が真っ青になった人物は居りてくるなり土下座して謝っている。
土下座している人物を見て俺は言葉が出なくなりそうになった。
それでもその後、普通に言葉が出せたのは此処に来るまでに見ていたからだろう。
黒色の髪の隙間から見える彼女は背中からは蜘蛛の腕が生えており・・・所謂女郎蜘蛛と呼ばれる人外だった。
しばらくしてなんとか土下座をやめさせる事に成功し、起き上がった彼女は品物に隠れて見えなかった奥の部屋に案内された。
際ほどまで居た控えめに言って荷物置きの様な店内とは違い綺麗に片付いたサッパリとした部屋だった。
「す、すいません・・・お師匠様が居ない時に人間のお客様がこんな辺鄙な所に来るとは思っても無くて」
茶菓子とお茶を出しながら彼女は申し訳無さそうな言う。
確かに来るまでにだいぶ細い道を入っていったし、大通りであろう所からだいぶ入り込んだ場所に店はあった。
それこそ漫画やゲーム等であれば危ない店か、もしくは順路通り歩かないと元の場所に戻されてしったり、目的地に絶対たどり着けない様な入り組み方だった。
「そんなに人間は来ないんですか?」
「え、ええ、そうですね。普段は亜人や妖怪の方が代理で来てたりはしますが・・・それでも日にお客さんが一人二人来れば多い方ですね」
・・・儲かってないんじゃなかろうか。この店。
「あ、その、すいません!こんな店の状況なんか興味ないですよね。本当は他の店に行った方が今時の物等があるのですけど・・・」
余計な事を喋ったと思ったのかシュンとしている。
「ああ、大丈夫です。ただ、親が教えてくれた店がこういった店だと思わなくてちょっとびっくりしただけで」
「親御さんですか?」
「ええ、「たっだいまー」
「おかえりなさい。・・・すいません、ちょっとお迎えに行ってきます」
そう言って女郎蜘蛛の彼女はパタパタと入り口まで小走りで走って行った。
なんとなしに横を見てみるとコレまた変なコケシとハニワをたした様なオブジェクトと茶菓子を不思議そうに見つめる白髪が目に入る。
なんとなしに茶菓子のビスケットを一つ手に取り黄金の手元に持っていく。
最初はキョトンとしていたがビスケットの甘い香りに釣られたのかビスケットを手に取りおずおずとかじり始める。
中に入っていたもう一枚も手に取りビスケットをガン見している白の元へ差し出す。
すると白は躊躇いを見せずビスケットを手に取りリスのようにビスケットをかじり始める。
店の主人がくるまでの間、恐らくとても穏やかな時間が流れていく。
そんな光景を見てふと思う、俺は一体何をしているのだろう。
・・・数秒考えて答えが出なかったので平和を享受していると思考停止する。
「こんにちは~」
思考停止して数分後、先程出て行った女郎蜘蛛の女性を連れて一人の女性が入って来る。
栗色の髪を一つにまとめ、ダメージジーンズとTシャツを着た活発そうな格好に、糸目の朗らかな顔をしていた。ゲームだったらこういう人は強キャラだな。
「さて、お客さんは何の用かな?あ、あとどうやって此処にたどり着いたのかも教えてちょうだい。企業の人だったらそれっぽいマークとか付けてるけどお客さんはそういうの付けて無いしね。人間のお客さんだし紹介とかされたんだったらその紹介してくれた人を教えてくれないかな?一言さんお断りだって訳じゃ無いけどこの店は普通じゃない人達の中でも特に普通じゃない人達も来るお店だからね、もしもそっち系のモノが欲しいなら紹介してくれた人とその招待状が無いと売れないからさ」
お、おう・・・捲し立てる様に言われてちょっと引け腰になる。
が、要件を済ませないと帰るれない。
渡されたクレカと名刺を取り出し説明を始めた。
問題があるとすれば・・・俺がこういうのを話し慣れてない事だけだな。
キャラを考える時って設定とか、生い立ちとかを優先しがちで名前を後回しにする癖如何にかしたほうが良いと思った今日この頃
父親の名前と主人公達の苗字が決まって無い・・・職業にして、毎日更新してる人はホント凄いと思う
手を出して分るその人がやってきた事の凄さ