『日本人って何故か謝りながら入るよな』
ホログラムのような矢印に導かれて先を進む。
白と黄金は不安そうにぴったりとくっついてついて・・・と言うか白に関してはしがみ付いている。まるで迷子や車を恐れる子供のようだ。
正直すまないとは思っている。・・・が、こいつらを如何にかする為でもあるので理屈は通っている。と言う事にしておこう。
目の前に現れている矢印に導かれるままに進みながら周りを見ていたが、人間といえそうなモノは一人として見る事は無かった。
人に近くても角や羽が生えているモノばかりだ。
ただ、此方が彼方を見て居る時、なんかやたらと生暖かい目で見られたような気がするのは一体・・・?
矢印の指し示す方向に歩いて10分程、一軒のお店を指して動かなくなった。
戸の上の方に看板には『見世物小屋』とシンプルに描かれた文字がある。
どうやら此処が目的地の様だ。
『見世物小屋』と言う割に、さっきの人通りが嘘かのように周りに人気は感じられない。
あの道は大通りか何かだったのだろうか、少し寂しく心細く感じる。
「すいませーん」
くっ付いて来ている二人に目配せをして戸を開ける。
日本人って何故か謝りながら入るよな。
中に入るとまず煙草とお香のような香りがした。
白と黄金にはきついのではと思って見ると特にそういう事は無い様子。
中を見渡すと親父が送って来るような正体不明の儀式に使いそうな物、見覚えは有るが人間が使うには大きい物、そもそもどうやて此処に入れたのか不明な巨大な物。
様々なものが所狭しと敷き詰められている。
「はーい」
遅れてくぐもった返事が聞こえた。
どうやら店番の人は居る様だ良かった、此処まで来て収穫無しは少し寂しいものだからな。
周りの物を見ながら声のした人物を待つが一向に通路の奥から顔を見せる気配はない。
黄金や白もそれぞれくっついたまま辺りを見る程度には余裕が出来たのかそれぞれ顔を動かしたりして周りを見渡している。
ふとなんとなく上の方には何が有るのか気になり上を見上げる。
建物は外からは予想が付かないほど天井は高く、モノが敷き詰められていた。地震来たら大変な事になりそうだ。
などと考えながら見渡していると一つの商品と目が合う。
いや、商品じゃないアレは商品に隠れるように何者かが此方を見ている。
が、眼鏡では無いがさして視力が良い方ではないので遠くて解らない。なんだあれ。
「なあ、白、黄金。アレ何かわかるか?」
着いて回る二人に目が合ったモノから目を離さずに聞く。
こういう事のお約束で目を離したら消えてるとか有るからな。瞬きしたら消えるパターンはどうしようもないが。
「どれ?」
「ほら、あれだ」
「ん~?」
目を離さないまま目が合ったモノに指をさす。
すると、良く見えないにも拘らず顔色が変わるのが俺にも分かる。
指さしてすぐに白は、顔色が変わり始めた処で黄金が気付く。
二人とも目が良いな・・・それとも俺の目が悪いだけなのか。
状況が動いたのは目が合った奴の顔が真っ青になって1分もしない程後の事だった。
相変らず状況が進んでない気がする