『え、戻るんじゃないの?!』
神社は相変わらずと閑散とした空気と石造りの鳥居が迎えてくれる。
さて、行けばわかると親父は言っていたが・・・
「ここが一番近い神社?」
「ああ・・・でも、何処にもそれらしいものは無いよな」
寂れた住宅街の一画のこじんまりした神社。
少し離れた場所にある大きな神社の後に、年始の挨拶に来る程度で大して混まない。
「取り合えず入ってみる?」
社の裏を見ても10分とかからなさそうだけれども。見つけない事には何も始まらない。
そう思って歩を進めると鳥居を越えた途端辺りの景色が塗り替えられるように変わっていく。
見知った世界が見知らぬ光景に塗り替えられる。
その塗り替えられる光景に思わず目を見開き、変わった光景にさらに驚く。
話に聞いたことのある九龍城、もしくは夜の千と千尋の神隠しの宿の中、そんなものを連想させる建物が目の前に広がる。
色々な建物がひしめき合い、入り組むように通路。上を見上げると橋や階段のようなものが蜘蛛の巣のように入り組んで天井が見えない。
建物は日が入ってないからか夜の街のように明かりが付いている。一部ではネオンの光ののように様々な光を放っている建物もある。
自分たちのいる場所には人はあまりいないが遠くでは沢山の人が行き来しているのが見える。
いや、人ではない。白や黄金のようなケモミミもいるがその殆どは異形だ。逆に人間は見当たらない。
見てわかる範囲でもラミア、アラクネ、シーマン、ハーピー、鬼、火車、デュラハン、光ってるのは妖精か鬼火か?名前を挙げるだけでも辞典が出来そうなほど古今東西様々な種類の人外がいる。名前が分からない人外も沢山いる。
なんだここは好奇心の天国か?死んだ猫も生き返りながら死ぬんじゃないか?
「ほぇ」
二人のどちらかが漏らしたであろう声を聴いて思考が現実に引き戻される。
周りに人はおらず周りを見回すと自分達が居るのは地下街の小さい入口のような場所、後ろを振り返ると後ろには鳥居がある。恐らく鳥居を潜ったから此処に来たのだろう。
だが、なぜ?あの鳥居は毎年潜っては居るがこんなことは過去の一度もなかったはず。
「お兄さん左のお尻が光ってますよ」
黄金に言われて尻ポケットに入れてるクレカと名刺の入った袋を取り出す。
取り出したクレカからホログラムの様なもので出来た矢印が浮かび上がり、開けた所へと、人外だらけの街へと指示している。
二人と顔を見合わせて一つ頷き、未知の世界へと足を踏み出した。
「え、戻るんじゃないの?!」
俺が好奇心に負けたから進みます。
脳内映像は出てくるのに分のにできないのは悔しい
でも書き込みすぎると話が進まないのも悔しい