おまけ:グッドルーザー神楽坂 ~Love is destruvtive~
――「ご主人様、これはなんですか?」
「うう、ごめんよう」
――「ごめんではありません、私はこの紙袋の中に入っている本は何なのかと聞いているのですわ」
「え、え、エッチ本……です」
――「これはご主人様の物なのですか?」
「う、うん! そうだよ、俺の物だよ!」
――「…………」
「な、なんだよう! 俺の物だって正直に白状しているじゃないかよう!」
――「どうもご主人様の趣味とは違う気がしますわ、どこでどうやって手に入れたのですか?」
「え!? えっと、その、あの、しゅ、首都の本屋! 先日そこで買ったんだ!」
――「……その割にはどうも古いというか、使い古された感があるのですが」
「ギクッ! そ、そ、それはそうだよ! 古書で買ったんだもの! いやあ! 公僕の給料って安いのね! 一応俺さ、エリートなんだからもうちょっと高くしろってさ!」
――「…………」
「ほ、本当だよう! 許してよう! これまで禁止されたら男はとっても辛いんだよう! どうにもならくなるのだよう! 女にはわからないだろうけど、これは本当に」
――「分かってますわ」
「え?」
――「まあ、私というものがありながら、いくら写真とはいえ別の女の裸で興奮するのは不愉快というのは分かりますよね?」
「は、はい、ごめんなさい」
――「まあいいです、許してあげます、捨てろとも申しません」
「ホ、ホントに? ほんとにいいの?」
――「はい、ただし、もう増やさないこと、どうしても増やしたいのならば、どれか捨ててくださいませ、これがぎりぎり許せるラインですわ」
「わ、わかった! ありがとう! 理解してくれて!」
「も、もちろん見てちょっと興奮するだけだよ!」
「いやだなぁ、それぐらいわかっているって、男はちゃんと理性を持っているんだよ」
「うん、ごめんね、こんなことで、騒がせちゃって」
「え!? い、いや巨乳が好きとかじゃなくて、たまたまだよ! たまたま胸が大きい人がたくさん写っているだけなんだよう! もう! クォナってばいやだなぁ」
とベッドの上で正座をして虚空に、彼だけが見えているであろう幻に話しかける神楽坂。
そのベットの傍らで、椅子に座り、下には紙袋を置き、膝の上に巨乳の女の裸の写真がでかでかと掲載されたページ「タイトル:巨乳パラダイス」を開きながら。
笑みを絶やさず愛しい人を見続けるクォナがいた。
そんな彼女の視線の先で、神楽坂は最後に心の底から嬉しそうな声を出して叫ぶ。
「今日はお互いを理解できたとても有意義な時を過ごすことができたネ!」




