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第29話:荘厳の儀・最後の試練・第五話


――ユナの食堂



「あ、先生!」


 と宿屋に入った時、日常部の面々とユナが駆け寄ってくる。


「あれ? お前達」


「うん! 仲良くなったの!」


 とのこと。


 最初はあれだけ恐れ多いとか言っていたのに、女子ってそういうところあるよね。


「ユナちゃん!」


 とそれを割って入る形でリクスが話しかける。


「はい、なんですか?」


「今日この後、時間が欲しい! 一緒に来てくれるかな!」


「はい、いいですよ」


「え!? いいの!?」


「? はい、いいですよ」


「「…………」」


 件のユナはケロッとしている。


 いや、わかるよな、多分、いやリクスの気持ちには気付いているだろうし。このノリで呼び出されて告白されるって。


「じゃあ、後片付けしてきますから、ちょっと待っててくださいね」


「う、うん」


 とに地上部の面々に声をかけて後片付けを開始する。


 う、うん、えっと、あっさりとしているというか、こう、誘い出すのも一苦労だと思っていたんだけど、最悪その時点で断られるというか、そんなことも、、、。


 不安げなリクスと神楽坂。


 ここで俺は気づいた。


 確かに、俺は荘厳の儀の為に尽くしてきたが、、、、。



 肝心かなめのユナ自身の攻略をどうするか全く考えていなかったことに。



 いつもの感じで策を弄するのに夢中で、ユナの仲を取り持つとか一切していないことに。



 そして荘厳の儀の失敗は、未来への悪影響を与えること。



 ここで失敗すれば、当然に、、、。



「なな、なあ、皆の衆」


 と日常部に呼びかける。


「ひょっとして、ユナは、気がないんじゃ、どどどどどうしよう、荘厳の儀が! そそそうだ! 今からでもいいから、お前たち、何かアドバイスを! このままだと失敗してしまう!!」


 とテンパる俺の言葉に呆気にとられる日常部。


「そっかー、先生って女が絡むと途端に馬鹿になるんだよね、資料に書いてあったけど、こういう事か」


「なな、なんだよ! 分かってるのかよ! 荘厳の儀の失敗はサクィーリア選挙への」


「大丈夫だよ」


「へ?」


「「「「…………」」」」


 ユナと同じようにケロッとしている日常部の面々。


「そ、そうか、なのか! お前達が言うのならそうなんだろう! それに必勝のプランがあるからな!」


「え? 必勝のプラン?」


「そう、男らしい告白! これにつきるのだ! さあ見届けるぞ! ハッピーエンドを!」


「「「「…………」」」」


 必勝のプラン、逆にそれで嫌な予感がする日常部の面々だった。




――リクス・サイド




 今自分の前にはユナちゃんが立っている。


 ドキドキしっぱなしだ。


 でも大丈夫、俺には必勝法がある。


 視線を送ると神楽坂が待機している、成功すれば、このまま祝勝会だ。


 さあ、あとはシミュレーション通りに、そう、それはこの男らしい告白だ。





――お願いします、どうかこの情けない私と付き合ってください、でなければ死にます





「…………」


「…………」


 シーン。



((な、なんだこれ!!??))←我に返ったリクス・神楽坂



((ど、どこが、男らしいの!? ねえ何処が男らしいの!?))


((女性陣の意見を取り入れた理想の告白じゃないの!?))


((へ、変だ、確か、ちゃんと))


((チラッ))←ウィズを見る神楽坂・リクス


( ´∀`)bグッ! ←ウィズ



((あ、あのやろーーー!!!))



((いや~、笑いを堪えるのに必死だったwww))


((こ、この、なーにが、女心の理解だよ!!))


(まあいいじゃない、あれの通りやれば上手くいくんだから、そうやればいいじゃん)


((だからそれが嫌だから散々話し合いを続けたんだろーーーがい!!))


(モテないんだから変な小細工したところでキモいという結論しか出ない件)


((な! なにがキモいだ!! だからモテないんだ馬鹿!!))


(な!! お前達だけには言われたくない!!!)


「リクス君?」


「ぴえ!!??」


「…………」


 ユナちゃんは待っている。


 だって、どうするの、男らしい告白なんてわからない。


 そもそもドゥシュって相手がいるし。


 アイツ、イケメンだし、顔だけじゃなくて一目置かれているいい男だし。


 俺なんて路傍の石ぐらいで、、、。


 でも諦めきれなくて、、、、。


 この子に決めたって思って、、、、。


 だから、、、、。




「ぶええええん!! きみがすきだああ!! こいびとになってくれないとしぬうう!!」




「はい、よろしくおねがいしますね」


「ぶえええん!! Σ( ̄□ ̄|||)ええええええええ!!!????」


「いいですか、浮気は駄目ですよ」


( ゜д゜) ←リクス


「それと男の人には付き合いと称して女遊びもしますけど、それもダメですからね」


( ゜д゜) ←リクス


「リクス君?」


( ゜д゜)ハッ! ←リクス


「聞いていましたか? 浮気は駄目です」


「そそそそれはもちろんだよおお!」



――神楽坂・サイド



( ゜д゜) ←神楽坂


( ゜д゜) ←神楽坂


( ゜д゜)ハッ!


「せせ、せいこう? あれれ? い、いや、しゃ、しゃあ!! やったぜ!! セーフ! セーフ! セーーーーーーーフ!!!」


 ここですっとウィズは俺の横に立つ、


「貴方ならやらかして、ゴホン! やってくれると信じていたわ、リクス」


「お前さ、いつか罰が当たるぞ、まじで」


 ふーーー、それでも危なかった、冷や汗かいた。


 と俺は日常部の面々に向き直る。


「とはいえ圧倒的奇跡! これぞディナレーテ神! あのとおりにやれば良かったという流れだからな! しょうがない! 案外ああいう方が母性本能くすぐるっていうもんね! そうなんだろお前達!」


「「「「…………」」」」


「先生、まだ本気で言っているの?」


「(´・ω・`)???」


「いや、だからさ、告白待ちだったんだって」


「(´・ω・`)なにが?」


「い、いや、だから、告白待ちだったの!」


「(´・ω・`)???」


「だからね! ユナ初代王妃も初代国王のことをね「いいな」って思っていて「付き合うんだったら彼かな」って思ってたの! んで「告白してくれるんだろうな」って思っていたから待っていただけの話!」


「(´・ω・`)でも、あの告白は」


「だから! ちゃんとしっかりと想いを伝えてくれてたでしょ!?」,


「(´・ω・`)え? だってリクスはイケメンじゃない、、、、」


「…………わかった、もういい、そうだね、ディナレーテ神って凄いね」


 と何故か怒っていた日常部の面々であった。




――そんなこんなで




 リクスとユナが無事恋人同士となり、嫉妬に狂うドゥシュが兄だと分かり一安心。


 クォイラとフェンイアの院長先生が正式に憲兵としての契約を結び、フェンイアの土台が出来上がった。


 一件落着ではないけど、今は他の勢力から牽制出来ればそれでいい。


 そして俺達は、、、。


「じゃあな、俺は旅を続けるよ」


 と日常部の面々を連れて最後のお別れをしている。


「もう会えないの?」


「はい、ごめんなさい」


 という日常部の面々はユナと子供達と涙ぐみながら別れを惜しんでいる。


「まあ、世話になった、達者でな」


 と淡々としているようで、寂しそうなドゥシュ。


「なあ神楽坂さ」


 とリクスが話しかけてくる。


「残ってくれない? 君の力が欲しい」


「光栄、けども、俺達はここにはいられない。帰らないといけないんだ」


「未来へ?」


「そう、未来へ、そこで私はリクスが作った歴史を紡ぐよ」


「わかった、そうだ、神楽坂」



 とリクスにとある台詞を言われた。



「…………」


「あれ、これって言ったらまずかったの? てっきり俺と一緒だと思ったんだけど」


「いや、別に、そのとおりだよ、大変でしょうがないよ」


「いやぁ、お互い大変だね」


「「はっはっは」」


「じゃあね、未来の俺たちの子孫によろしく」


 とお互いに手を振りながら歩きだし。


 最初の場所に戻ったところで、、、。




――荘厳の儀・完遂




 という文字が出た。


「…………なんか色々と凄かった」


 静かに興奮気味に話すナセノーシア。


「先生、本当に、これが、フェンイアの話なんですか?」


 名残惜しそうなモカナ。


「そもそも俺達がいる時点で、実話ではないだろう、だけど、それ以外はどうなんかな」


 実際どうなのか、実感がわかないし、、、。


「先生って凄いですね」


 とファテサが言ってきた。


「え?」


「色々と、今回の荘厳の儀は先生のことが知れたのがよかったです」


「はは、まあそれは俺もそうだよ、腹を割って話せてよかった」


 と雑談をしていると扉が出てきた。


「…………」


 荘厳の儀、無事達成か。


 俺達は最後にもう一度フェンイアを見る。


「さて、いくか」


 と扉を開けて部屋に入り光に包まれた。





――




「ん……」


 気が付くと、俺達は小部屋にいた。


 最初の部屋とは少し違う部屋。


 荘厳の儀の達成者は、地下宮殿に招かれるのは最初に述べたとおり。


 この扉の先に地下宮殿がある。


 さて、今回の達成者は俺達以外にいるのか。


 意を決して扉を開けた先。


 そこに広がった光景は大理石が敷かれたそれこそ荘厳の造りの宮殿があった。大きさは教会と同じぐらいだけど、何か不思議な力を感じる。


 この宮殿の中に、居住スペースがある。


 先に荘厳の儀の達成者がいた場合は、全ての結果が出るまでそこで過ごすわけだが。


「…………」


 宮殿の両開きの扉を開いた先に、、、、。




 馬術部と聖歌隊がいた。




 つまり、今回は、全員クリアってことで。


 馬術部と聖歌隊は俺達の姿を見つけると。


「「「「「やったー!」」」」」」」


 とに日常部と一緒に馬術部、聖歌隊、全員が祝福し合う。


「…………」


 お互いある意味ライバルだろうに、そうか、お互いに足を引っ張り合うんじゃなくて、協力した方がずっといいものな。


 この光景だけでも教育機関してしっかり機能していて凄いと思う。


(伊達に試練に選ばれているわけではない訳か)


「お疲れさまでした、先生」


 感心していると話しかけてきたのは、ホルとラミナだった。


「ああ、クリア、おめでとうな」


「こちらこそおめでとうございます。先生の方はどんな感じの試練だったんですか?」


「ああ、こっちは、第一の試練は与えられたジョブと能力を駆使して」


 と色々情報を交換する、ホルとラミナ側も色々あったそうだが。


「ほーー、デスゲーム形式の殺人事件とは面白いな」


 曰く、仲間のうちが1人が殺されたところから始まり、殺した犯人がいて、その犯人を暴かないとクリアとならない形式で、犯人を暴かないと次々に殺されるルールだったそうだ。


 他には俺と同じダンジョン形式でもボスを倒す形式ではなく目的地へ進むための制限がかかった冒険物だったり色々あった。


「先生のところの超高度文明は面白そうですね、王城レベルの建物が軒を連ねる光景は見てみたかったです」


 雑談に興じている時、宮殿の扉が自動で開かれた。


 自ずと静まり返る面々。


 中に入れという事だろう。


 全員が入った時。


 また自動的に扉が閉まる。


 扉以外何処にも出入口がない、つまりここがそういうこと。


 スッと、誰に指示されるわけでもなく、全員が跪く。


 そう、予め教養は受けている。


 ウィズ神の降臨はかなり負荷がかかり、この姿で出迎えることと。


 全員が、跪いたのを確認したように。



 キンと音がすると考えると。



「!!!!」


 ズン!! という効果音と共にウィズ神降臨の負荷を全身で受けるようになる。


「ぐっ、、、、」


 相変わらずかなりきつい、年老いた原初の貴族の当主は耐えきれずうつぶせになる形で受けていたか。


 徐々に強くなってくる負荷、何人かがその辛さに耐えられない、そんな時に。


 パッと負荷から解放され、思わず空を見上げる。



 そこには、空中には、ウィズが降臨していた。


 空に浮き、俺達を見下ろしている。



『我とリクスとユナ、そして原初の貴族の始祖が作りしウィズ王国の命を紡ぐ者たちよ、荘厳の儀の達成、見事である』


「「「「「!!!」」」」」


 神の言語に全員が耳を抑える、自分に理解できない言語でありながら何を話しているかがわかる神の言語だ。


『クエル・ケンパー、ホル・レベッツ、ラミナ・ギクス』


「「「は、はい!!!」」」


 名前を呼んでくれるのかとクエルは大声で返事をする。


『3人とも理解した筈だ。お前達が経験した荘厳の儀において、仲間たちの力が如何に素晴らしく重要であったかを』


『リクスの偉業もまた1人で無しえたわけではない。伴侶として支えたユナ、そして原初の貴族の始祖たちと共になしえたものだ』


「「「…………」」」


『以上である、日常に回帰し、今日は疲れを取るが良い』


と言葉を述べるとスッと手を上に掲げると。



 再び光に包まれ、一番最初の場所に戻る。



「「「…………」」」



 ほんの数分のウィズ神の降臨。


 神々しいウィズに圧倒されて言葉も出ない俺達だった。




――




 荘厳の儀は達成者が出た時、教会の鐘が鳴り、その成功を知らせるそうだ。


 礼拝堂に戻った瞬間、俺達は出た瞬間に万雷の拍手で出迎えられる。


 達成した俺達は「主神より直接言葉を賜った」という格が与えられる。


(なるほど、確かにこの状況なら、選挙にも有利なのは頷ける)


「荘厳の儀の達成おめでとうございます」


 と述べるのはセアトリナ卿、何か久しぶりに会ったような気がする。


 全員が司祭先生に促され壇上に上がり、代表者3人がそれぞれコメントを述べる。


 セアトリナ卿が最後の締めの言葉で、その場で解散となった。


 疲れを取れ、というウィズの言葉ではないが、荘厳の儀の終了した日は、その疲れをねぎらう形で、二日間は休日、そして例外的に、今日から二日間は先生たちは当直の見回りをしない。


 つまり羽目を外せる。


 んで生徒達は、それぞれに仲のいい友達で寮で過ごす。


 日常部の面々も、この二日間だけは、寮にある元の自分の部屋に行って友達と思う存分楽しむらしい。


 さて、先生はというと、住み込みの先生と当直の先生以外は通常通り帰宅。ちょっと蚊帳の外の感じがあるのがちょっと寂しいけど。


 んで本来であれば俺は今日当直なのだが、流石に疲れているだろうという事で免除された、まあこれは好都合だ。


(早急に報告と確認しなければならないことがあるからな)


 と自分の住居へ足を進めようとした時だった。


「神楽坂先生」


 とルウ先生が話しかけてくる。


「あ、どうも、ルウ先生」


「荘厳の儀の達成、おめでとうございます」


「は、はい、、、、」


 ん? あれ? いつもの元気な感じがないぞ、突然大きな声で話しかけられてびっくりするのが恒例なのに。


「何かあったんですか、ルウ先生」


「いえ、何かあったというか、、、、、それは逆というか、日常部の子達の神楽坂先生を見る目が変わっていて、、、、」


「変わる?」


「はい、殿方としても認めたのでしょうね」


「………………へ!!??」


「…………」


 突然そんなことを言うルウ先生はいたって真面目だ。


「い、いやぁ? そ、それはうーーん?」


「私も女だから何となくわかります。よければ荘厳の儀の内容、話せる範囲内でいいので、話してもらえませんか?」


「は、はあ、いいですけど」


「知っていると思いますが今日の当直は当たりなんです。何もしなくていいので」


 なんだろう、まあ、報告は深夜でもいいけど、何となくルウ先生に付き合いたくなった。


 んで当直室で色々と話した。もちろん話せないけど話せない範囲でだけど。


「い、偉大なる初代国王のウィズ神話の始まり! 神学者の間では永遠の謎ともいわれる、フェンイアの始まりの神話! クリアが偉大なる初代と共に、フェンイアの基礎を作り上げること! そんな高難易度な試練をクリアしたのですか!」


「んー、そう言えば凄そうに聞こえますけど、実際にはフェンイアに寄生しようとしたチンピラを撃退しただけですので、大した労力は必要ありませんでした」


「い、いえ、話を聞く限り、割と怖い話だと思うのですが」


「まあ、似たようなことを繰り返しただけですから、しかも難易度はそっちの方が余程高かった」


「……そ、そういえば、神楽坂先生は、あの、世界最強最悪の戦闘民族ボニナ族を、エンチョウのマフィア達を、その」


「あーーー、実は別にそれも大したことはないですよ。何よりボニナ族は高潔な民族、喧嘩は好きですけど、むしろ温厚で大人しい民族です、だからこそ践祚委に勝つことが出来たんですよ」


「…………」


「すみません、怖がらせるつもりはなかったのですが、ボニナ族が温厚で大人しいの本当ですよ」


「……そう、ですね、神楽坂先生はまだ三か月ぐらいですけど、怖いという感じはしないです」


「ルウ先生、何かあったんですか?」


「…………」


 少し黙った後話し始める。


「生徒達に慕われる秘訣でもあればと思って」


「へ? 秘訣?」


「…………」


「いやいやいや、何言っているんですか、聞きましたよ、徒手格闘部の顧問に就任した経緯」


「ああ……」


 と遠くを見る。


「……私の場合は、先生としてではなくあくまで「先輩」としてなんですよ」


 確か、ルウ先生はここのOGで,,,.。


「私になりに一生懸命やったんですが、、、」


 ここで言葉を切り。



「徒手格闘部の部長も荘厳の儀に参加を表明したのですが、却下されたんです」



「…………」


「荘厳の儀の参加の基準は明確されておらず、学院長が全てを決定します。ただ明確にされていないその選定基準についてですが、何もわからないという事はありません。選考基準で大事なのは参加者本人はもちろんの事なんですが、周りが重要視されるんです。同じ部活仲間だけじゃなくて顧問の先生も、、、」


「今回、馬術部も聖歌隊も先生は参加されませんでしたが、両先生も素晴らしい人です。馬術部はホル・レベッツを中心に、聖歌隊はラミナ・ギクスは、人柄もよく慕われていました」



「ただ日常部のクエルは、優秀な生徒ではあるんですが、下馬評では一歩劣るのではないか、そんなことを言われていました」



「…………」


「その表情を見るに日常部の設立経緯は知っていると思います。特殊な経緯で結成された日常部が大きな理由だから実は色々と言われていて、そしてその顧問に就任された神楽坂先生、ありとあらゆる例外」


「…………」


「でも神楽坂先生は赴任した時から学院長から一目置かれて、現にサクィーリアの「いざこざ」で密約の存在も強く噂されるようになった」


「…………」


「もちろん、聞いても答えてくれないのは分かっているのですが、先生は、その、、、、」


「麻雀って知ってます?」


「え?」


「麻雀、我が祖国に伝わるボードゲームです」


「いえ、存じませんが」



「食券、巻き上げられたんですよ、あいつら容赦なくて」



「へ!?」


 ポカーンとしていると思ったら。


「ふふっ!」


 吹き出した。


「慰めてくれたんですか?」


「え? まあ、その、そうですかね~」


「それにしても学校の中で賭け事ですか、問題ですね」


「ええ、やっぱりそうですよね、出来ればセアトリナ卿には内緒にして欲しいんですけど」


「はい、分かりました。内緒にしておきます」



――日常部・部室



 なんか久々に戻ってきたような気がする。


 思えば、講師として就任して以降、1人で過ごすの初めてだ。


 いつものとおり、スイッチを入れる感覚。


「王子、神楽坂です」


【聞こえている。ウィズ神から聞いた、荘厳の儀を達成したようだな、見事だ】


「…………」


【神楽坂?】


 俺は頬をペシペシと叩く。




「王子、女学院の臨時講師として着任して以降」









「荘厳の儀の中で邪神が我々を殺しに来ました」




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