第8話:ギルド
さて、貴族令嬢御用達のケルシール女学院ではあるが、学校としての機能自体は普通の学校と変わらない。
歴史の授業を終えた後、一度職員室に戻り、ルウ先生は別のクラスの授業を受け持つために職員室を後にした。
そして1人で改めて荷物整理を行う。ちなみに本来だったら1人の先生が複数のクラスを受け持つのなのだそうだが、俺は原則今のクラスだけだそうな。
なら楽だと思ったらさにあらず、授業計画はもちろんのこと、イベントだって企画するのは先生だし、関係各機関との折衝や外部団体と接触する時にも注意が必要、更に教職員は、生徒達のふれあいの為に部活動の顧問を兼務するのだという。
部活、日常部の顧問か、正確には「同好会」として認められているのだそうだが、どんな活動なのかは楽しみにしておくか。
んで、午前の稼業の終われば、当然に……。
「ふっふっふ、ふが三つ」
閉鎖空間で過ごす学校生活の潤い。
「そう! 飯!」
ケルシール女学院は、身分関係なく食堂で決まった時間に食べる。
なお、朝食の時は説明を省いたが、食堂とは名前だけで豪華な一流のレストランで、女性有名シェフが作った出来立てほやほやの料理が食べられる。
もちろんこれは「食育」の一つ。
だからこそマナーは必須、教職員が知らないのでは話にならないのだ。ここで日常生活を通じて、訓練を重ねる。卒業するころには、意識することなく上流の場で食事ができるようになるのだ。
更に食育と言ったが別に味覚を鍛える必要はない。だが「一流の食事をする」という事自体が大事で、話をちゃんと合わせることができないと恥をかくことになるのだ。
故に自分が何を食べているのか、一流食材の知識もテストされるのだから徹底している。
そんな雇われているケルシール女学院のシェフは一流料理人の証となり、自分の料理が上流の評価に繋がるから本気だ。
メトアンさんに聞いたのだが、現女学院の女シェフは、ラクォリナの10席を与えられていた凄腕だそうだ。
そして供されるメニューも、あらかじめ決まった3種類から選べる。
食券を1枚のメニュー、食券2枚のメニュー、そして食券3枚のメニュー。
食券3枚のメニューは、最高級の昼食だ。
俺はもちろん。
「食券3枚でお願いします」
と食券を出すと同時に対応してくれた職員に座る机の番号だけを告げる。
さて、食事もとても楽しみの俺としては、そういう意味でも必死で特訓した。朝食は緊張して味が分からなかったから、ここからが本番。
昼食は、それぞれ勤務の都合が出てくるので各自で摂るようにしているのだ。
そして程なくして運ばれてきた料理。
(おおう~)
いい香りが鼻孔をくすぐる、芸術と表現していいような造りをしている料理だ。
(うまい!)
メトアンさんは素材を活かした料理ならば、この料理は組み合わせの芸術だ。
本来はがっつきたいところだが、それはNG、我慢して楚々と食べる。
さて、肝心の生徒達が何を食べているのだが、意外や意外、王族や原初の貴族に名を連ねる生徒たちも食券1枚の昼食を食べている人物も多い。
なお、こういうのも「空気」があるらしく、例えば原初の貴族の令嬢が食券1枚のメニューならば、周りもそれに倣うそうだ。
そこら辺は修道院と一緒だ、個よりも全体を重視する。
これは個の能力を重視しないという意味ではなく、初代国王のリクスが、仲間たちと力を合わせて自乗の効果を発揮したことだからだろう。
それにこの食券について、相当面白いシステムに発展しているということだが、それはさておき、うまうま、いやはや、これは本当に美味い。
「先生、ご一緒してよろしいですか?」
とスカートの端を摘まみ上げ、再び優雅(仮)に自称お嬢様方が現れた。
別にいいよと告げると4人は優雅に座ると全員で俺をじっと見つめる。
「ねえ、先生ってかっこいいよね」
「パクパク」
「私も好みのタイプ」
「もぐもぐ」
「絶対モテてたでしょ?」
「うまうま」
「先生、隣に座っていいよね? はいあーん」
「だー! うっさい! 今味わってんの! 飯食わせろや!」
小声で怒鳴るが本人達は意に介せず涼しい顔をしている。
「先生、生徒に奢る甲斐性もあってもいいと思うの」
「ほーん、なーにが甲斐性だ、お前らの年からそれを学んでどうする! 物事には対価が必要なのだよ!」
「なるほどね、となれば対価を提供したいのだけど、いい?」
「ふむ、いいぞ」
「食券はただ食事をするためだけの物じゃない、これは立派なケルシール女学院の中で通用する「非公式貨幣」なんだよ」
「…………」
ケルシール女学院では色々と面白い制度を採用しているとは述べたとおり。
ケルシール女学院は全寮制、通いは認められない、ここまではいい。
特徴の一つとして生徒が入学するにあたり、全てが支給されると同時に現金を持つことができない、これは身分問わずだ。
人が生活するにあたり必要な衣食住、住は繰り返し述べたとおり全寮制、なお身分によって部屋は分かれていない、全てランダムに放り込まれる。王女が一番不人気の部屋にあてがわれるなんてこともザラにある。
衣は制服や運動着は全て支給される、これも王族から下位貴族まで統一デザイン、私服の購入及び差し入れは認めていない。
食は、食券を支給し、朝食、昼食、夕食、間食にそれぞれ1枚が支給される。そして試験前やイベントの前は夜食の為の食券が支給される。
間食と侮るなかれ、それこそ並ばないと買えないような高級スイーツだ。
さて、ここで食に注目してみる。
食券については1枚のメニューから3枚のメニューがある、という言葉でピンとくると思うが、支給だけでは足りなくなる。だから食券は「自費購入」が認められる。
その金は「学園が預かり帳簿として記録される金」から購入できる。
結果、食券がケルシール学院内の貨幣として立場を得ることになる。
だが無制限に自費購入を許してしまうと結局金を持たせない意味がなくなってしまうので、当然に購入制限がかけられることになる。
「どれも凄い美味しいから、あんまり食べ過ぎると太っちゃうから気をつけなければいけないんだけど、生徒の購入制限は、支給される数の3倍までだね」
「つまり食券ってのは、食事としての用途の他に様々な用途で使われるようになったという事か」
「うん、食券の用途はあくまで食事のためだからね、だけどその取引をママ先生は知っていて放置している。しかもこの食券はね、「余った分」は卒業する時に換金ができる、1枚は高額だから、それで一財産稼げる」
「つーことは、俺が食っているこの3枚の飯は、非効率だな」
「非効率ってのは先生らしいね、そう、それは、特に意味もない行為、ここだとお金持ちの証はあまり必要ないからね」
「なるほどなぁ」
よくできている、しかし徹底して修道院を意識して作られるんだな、ケルシール女学院は修道院の悪いところをどう是正するかも注力しているように思える。
ケルシール女学院にも忖度は存在するが、忖度の毒にも敏感になっているような印象を受ける。
そして……。
「それにしても金の力は使えないか、相変わらずえげつないね」
「え?」
「庶民と王族とのにある千倍という格差が3倍にまで縮むってことだ、さてさて「どっちの為」なんだかな」
「どっち? だから格差をなくして平等にするってことじゃないの?」
「金の力を使うなってことは、原初の貴族もお金で苦労することになる。人を動かすのに最も有効であり最強である金、金以外で人が動くというのがどういうものなのかを知らせるためじゃないか、俺がいったどっち為ってのはそういうことさ」
「…………」
あんまり納得いっていない様子、そりゃそうか、となると。
「俺の祖国でもな、かつて格差の無い社会を本気で実現しようとする思想が流行ったことがあったんだよ」
格差の無い社会。
言葉は美しい、だが格差のない社会なんてのは共産主義社会、それが過ちであることは現在進行形で共産主義国家が紡ぐ歴史が証明している。
格差が比較的ないと言われている日本だって、それこそトップの金持ちと庶民では、その格差は何百倍もある、というかそもそも格差を認めていない国の方が珍しい。
その格差を一時的とはいえ3倍にまで縮めるというのは、そういう意味において相当の荒行だし、歪みとも言っていいが、これも一定の成果をあげている様子だ。
そしてナセノーシア達が嫌悪感を示した金の力を「支持」する言葉。
「気持ちは分かる、俺もこの位の年のころは嫌悪感を持っていた。欲にまみれた人物なんてのは醜いの象徴だからな。だが、現実は残念ながら違うんだよ」
ちなみにヤド商会長なんかは流石一流の商人だけあってそれをよく理解しており、その強さを間近で見せてもらった事は何度もある。
なお、これは裏社会でも一緒、いやもっと顕著で、マフィアの強さは金で決まるのだ。
「…………」
俺の話を聞いてナセノーシア達は黙っている。
「幻滅したか? だが俺は教師だからな、先生ってのは授業で知識を教えるだけじゃない、俺が培った経験も教えることだと思っている。まあ納得できなくても、いずれは社会に出て学ぶことになるのさ」
とはいまだ早いかな、そう思った時だった。
「私は先生の言うことが正しいと思います」
と言ったのはファテサだった。
「私もログロ男爵家に名を連ねていますから」
「ログロ男爵家、確か、ツバル・トゥメアル・シーチバル家の後ろ盾を得ているんだったな」
「はい、エンチョウでの先生が起こした「戦争」は聞き及んでおります」
「…………」
今度は俺は黙る番だが。
「そんなに凄いの?」
と聞いたのはクエルだ。
「ええ、先生が起こした戦争の結果、エンチョウの勢力図は革命的な変化を遂げた。エンチョウのマフィアの9割を殺し、他のマフィアが手を伸ばす間隙をついてネルフォル嬢が呼びかけて呼応した娯楽施設は全て連合都市の保護下に置かれた」
「…………」
「そして先生自身も王国最古のカジノであるラムオピナのオーナー、原初の貴族の中でも異端中の異端であるネルフォル嬢に認められ、ボニナ族を配下に置き、暗黒街の大物に名を連ねることになった」
「そして時々ラムオピナに訪れてはネルフォル嬢が、いない時には毎回別の女に自分の夜の相手をさせている、しかも強制ではなく女の方が進んでね」
とジト目で俺を見る。
「先生ってモテるよね」
と最初の焼き直しのようなセリフを不機嫌そうに言うナセノーシア。
そんな話をしていて視線は自然と俺に集まるが……さて……どう答えるか……。
「……女関係は全部デマだよ、だが、戦争という点については間違っちゃいない、実行部隊はボニナ族だが、開戦準備と終戦後の後始末は俺が主体となって動いた、結果、マフィアとはいえ合計1000人以上が命を落とす事態となった」
「そのどさくさに乗じて連合都市はネルフォルをバックにエンチョウの勢力の三分の一を傘下に置いた。まさに濡れ手に粟だったよ」
とシンと静まる。
「幻滅したか? 悪いが俺は善悪にはこだわらない、卑怯な手段も姑息な手段も躊躇なくやる、俺はずっとこうだぜ? それでもついてきてくれるのか?」
と聞くが。
「ああうん、それはいいよ、むしろそこが気に入ったんだし、ねえ?」
全員がコクリと頷く。
「え!? そうなの!?」
「ただ、ラムオピナの女の話とか、そんな風に扱われるのは嫌だって話をしたの、女を物みたいに扱うとか、それは最低だよね」
「うん、それはそうだな、そっちが正しい、けど、卑怯や姑息なところが気に入ったのは変わってるな、って、それと繰り返すがネルフォルやクォナの2人から惚れられているなんてのもデマだからな」
「それはむしろ本当であってほしかったけど」
「ええーー!!! なんで!!??」
「惚れた男が、王国二大美女に想いを寄せられるなんて嬉しいじゃん」
「」←絶句
ど、どういうこと、俺が例えば好きになった女が、例えば王国二大美男子に惚れられているとかあったら、ああー、うん、俺なら戦意喪失するけど。
「あのネルフォル嬢とクォナ嬢だったら、まあ、第二夫人とか第三夫人なら許す」
「」←絶句
なんか、色々凄いなと、若干引いている中、逆にナセノーシア達は首をかしげる。
「先生って、ハーレム物好きなくせに、なんで躊躇するの?」
「いやいやいや! だから! アレはファンタジーなの! ファンタジーだから面白いの!」
「そんなものなの?」
「そんなものなの! もう……っと、話がすっかりと逸れてしまったが、忘れるところだった」
と食券を4枚を4人に差し出す。
まさかこう来るとは思わなかったのか、びっくりした様子だった。
「色々と今の話は面白かった、その情報料と、俺の教え子になる縁を記念してな、袖振り合うのも多生の縁というのだよ」
「なにそれ?」
「俺の祖国の諺でな、服が袖が振り合うだけの縁でも、前世では縁がある者だったという意味だよ」
「なるほどね、今後は奢ってくれないの?」
「貨幣なんだろ? 今後は報酬としてならな」
「報酬って、いいの、非公認の貨幣なんだよ?」
「清濁併せ呑むってな、これも俺の祖国の好きな諺の一つだよ」
とお互いに笑う。
「だったら先生、もっと私達と親睦を深めない?」
とずいと迫ってくる4人。
「それは大歓迎だけど、具体的には?」
「まずさ、教職員だけは食券の所持制限が無いですね?」
とはファテサの言葉。
ちなみに食券は教師は購入となっている。1枚でも割と高額だが、そこは給料として繁栄しているそうな。
尚金の力は最強であるとは繰り返し述べているとおりだが、その対象は何も生徒に限った話ではないということ。
「先生は食券どれぐらい持っているの?」
「手持ちで買える分の食券は買ったよ。だからこそ食券3枚のメニューが食べられるのさ」
含んだ言い方をわざとする。
実は俺は今回の赴任に辺り相当量の食券を購入した。これはもちろんセアトリナ卿も了承済み。
どういうことかというとファテサが言ったとおり教職員に食券所持に制限はないとは言ったが、それこそ非現実的な食券を購入することはない、それは波風が立つことになるし秩序を乱す行為になる。
だがさっき言った言葉のとおり、今回は打てる手は全て打つ。
なお念のため言っておくが、セアトリナ卿に食券をタダで寄越せなんて間抜けな事はしない、揚げ足を取られるし足元を見られる行為だからだ。その為に王子に頼んで金はたっぷりと用意してもらったのだ。
「わかった、資金には問題なしってことね、先生って、ギャンブルするんでしょ?」
「ああ、するけど、まさか……」
「そのとおり、今日の夜に先生の部屋で親睦会、どう?」
「ほほーう、俺はこれでもちょっとしたものなんだぜ、種目は何にする?」
「といっても、ギャンブルは普段やらないから、全然わからないから、先生の選ぶ奴でいいよ」
「その意気やよし、となれば麻雀はどうだ?」
「麻雀?」
「俺の祖国に伝わるボードゲームの一つ、どんなに腕が立つ雀士でも運という理不尽に耐えなければならない。トッププロでも勝率3割というゲーム、んで、これがルールブック、全員分用意したぜ」
「あはは、普段から持ち歩いてんのそれ?」
「いや、今日の「担任授業」でやろうと思ってな、異国の文化を知るという奴だ」
担任授業とは「担任の自由なことを教えられる」という授業の事で、生徒よりも先生の自主性育成のために導入されている。
「先生やる気満々じゃん、教師が賭博推奨とかいいの?」
「いいか? 何にしてもそうだが、賭博で人間が駄目になるわけじゃない、駄目な人間が駄目な行為の一つとして賭博に手を出すだけだ」
「そうなの?」
「そうなの、それと賭博を知っておくのは決してマイナスじゃない、食券レートは今から考えておく」
「先生、私たちは、購入権限と所持制限が限られている上に、庶民にとって食券賭けるのは先生以上のハイリスクなのはわかるよね?」
「口がうまいな、確かに賭けている食券は同じでも背負うリスクは違うのはそのとおり、だが、そのリスクの大小を計るのも社会勉強だよ、その交渉を成立させたいのなら、そうだな、食券に代わる対価でもあれば応じよう」
「なるほど、まったく、先生はまわりくどいね」
「は?」
「賭け事で負けたら体で払えと言えばいいじゃないか! いいだろう! 四の五の理屈をこねるつもりはない! 無論体で払うとは夜伽をするという意味だ!」
「やめてくれない? 人聞きが悪すぎるから本気でやめてくれない? 声がでけえよ、皆こっち見てるだろ?」
――そんなこんなで放課後
放課後、生徒だけではなく先生にとっても解放の一時。
それは生徒達だけではなく教職員の一区切りでもある。
「さて、神楽坂先生、放課後なのですが、今度は部活顧問の仕事に移ります。課外活動の時間の終了時間が我々の終業時間です。後は当直班の担当なんですが、当直の仕事は私との当直の時に教えますね!」
とルウ先生は自分が顧問を務める徒手格闘部に向かった。
さて、俺も部活動に行かなければいけないと、親睦会の為に自室に向かおうとしたが。
「先生、お疲れ、待ってたよ~」
と職員室の前で出迎えてくれた。
「あれ? 集合場所は自室だったはずじゃ」
「その前に一つ案内したいところがあるの」
「案内したいところ?」
●
ナセノーシア達に連れられて来たところは、学校の寮だった。
今の俺の住まいは臨時の住まいになるわけだから、ここが本来のナセノーシア達の住まいとなる。
俺が学院を離れたら戻ることになるので、部屋はそのままにしてあるそうだ。
お嬢様学校の女子寮。バイア先生に釘を刺されたが夢のあるフレーズ。そもそも法律まで作って男子禁制を敷いたケルシール女学院において男が立ち入る想定すらしていない。学院が敷いている強固なセキュリティでは、男を連れ込むことも現実的には不可能なレベル。
だが完璧は存在しない、過去何回か、ケルシール女学院の裏口の施錠ミスをついて連れ込んだ女子生徒もいたそうだが、こう、本当に人の欲とは凄いなと思う。
尚、女子寮の立ち入りについては状況に応じて必要になるかもしれないと思い提案済、ただこれは却下される可能性が高いと思ったが……。
――「ナセノーシア達の立会がある時のみ許可します。ただしこの規定に例外は認めません」
邪神事案と言えど、という事らしいが、物凄い例外を認めていると思う。
通ったのなら何よりと、びくびくしながら女子寮の中に足を踏み入れると共用スペースに足を踏み入れる。
おおう、色々なボードゲームやら何やらがある、先輩から引き継ぎを受けたものだそうだ。玩具は持ち込み禁止だそうだが、皆何とかして楽しみを見つけるものだなぁと思う。
女子寮にいる女子生徒達も、一瞬びっくりするが、周りを見て納得した様子。
うむむ、こう、バイア先生が言っていた「命令違反の処罰は私が下すまでもない」という言葉、邪神事案に関係なく下手な動きは、自分の首を絞めることになるかもしれないから肝に銘じておこう。
その中でナセノーシア達が案内してくれたのは、共用スペースの一角に張り出されている掲示板だった。
「日常を楽しむ、要は学校生活を楽しむ部活なんだけど、さて、問題は楽しむ方法だよね~」
俺はその掲示板を見る、半分ぐらいだろうか、色々な紙が貼られていた。問題なのは当然に張られた紙に何が書いてあるかだけど……。
「こ、これは……」
紙を色々と見てみる、間違いない。
「ギルドの、クエスト掲示板……」
そう、異世界物でよくある、クエストが張り付けた掲示板だ。