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第5話:教え子登場・前篇


「フォーー!!」


 地図を見ながら向かった先にあった建物、それはさびれた今は使われていない倉庫だった。


 使われていないとはいえ、そこは歴史あるケルシール女学院の倉庫、寂れたというよりも趣があると表現した方が正しい、古い赤レンガ造りの中世風の3階建ての建物。


「この古い感じの雑多な感じ! 倉庫を改造しての住居! 浪漫!!」


 生活に必要な衣食住のうちの住についての我がままの一つ目、当然に女子寮には住めないという事なので、住についてはこんな感じで倉庫を改造しての住居にしてもらったのだ。


「うんうん、短期間で改造したって聞いたからちょっと不安だったけど、それが逆に何かハードボイルド探偵のねぐらみたいでイイ感じ! ってなわけで~次は風呂の確認!」


 風呂である、毎回毎回毎回毎回申し訳ないが、これだけは譲れない。


 さっき言った我がままとは俺が注文した風呂についてだが……。



「じゃーーん!! まさかの五右衛門風呂!!」



 説明しよう!


 繰り返し述べるが男が入るだけで性犯罪者と同等に処罰される法律があるほどの男子禁制であるケルシール女学院。


 実際に公式で男性が来るのは、入学式の時の国王と次期国王であるクインド王とフォスイット王子、宗教行事でのモーガルマン教皇と枢機卿だけなのだという。


 裏ではあるとクォナが言っていたが、そこは聞くまい。


 そんな中で俺用のトイレやら風呂やらを試験運用で使われていない倉庫とはいえ風呂まで作るとなると、改築が必要なぐらいの工事が必要らしいので却下、屋外に作ることになると言われたので、我がままを言って作ってもらったのだ。


 なお、水については近くの河の上流から引いてくれるため、綺麗だから飲み水にも使える。


「ほほーう! 思った以上に快適じゃないか! 変な豪華よりもこっちのほうがずっといい! 今日は自由に過ごしていいという話だったからな! 早速! 風呂の準備をしないとな!」


 と水を入れる。


「ふんふんふ~ん♪」


 と、ある程度水をためる止める。当然にこれから温めなければならないが……。


「◇▼▽◇□□◆■」


 と魔法言語を唱えると……。


「ソルグリームフローズクホーヴィー!」


 と手をかざした瞬間に、薪にポンと火がつく。


 さておさらいしよう、この世界において魔法で使う魔力とは「神の力を人の力で使えるように落としたもの」である。そしてこの世界において機械とは「神の力を物理で使えるようにしたもの」である。


 そして魔法という分野において人種により才能の差が激しく、亜人種のハーフが最強で、その次が亜人種、最後に俺達人間。


 しかも人間は魔法術式を埋め込まないと使えないが、俺の魔法の才能は術式を埋め込んだとしても「指先が多少明るくなるだけで、懐中電灯の方が余程マシ」というレベルだ。


 だったら何故使えたのか、これは簡単、アーティファクトを体に埋め込んで魔法を使えるようにした。


 元より魔法は便利だとずっと思っていたが、念願叶って神の道具であるアーティファクトで使えるようにした。


 とはいえ、今は神の加護も切れた人間ということもあって、人間が出せる最大の魔力に留まっているけど。


 さて、ウィズとルルトの神の力を借りた場合には俺を殺すのか、という点について、「この2人以外なら大丈夫」という解釈が許されるかについてだが、おそらく「ルールに沿った上で殺す」と考えている節があるから多分大丈夫だと思う。


 その確認のためにも魔法は堂々と使う。


 まあ、仮にアーティファクトを埋め込んで使うことが邪神のルール違反となるのなら、その時は俺が殺されておしまい。


 埋め込んだアーティファクトも停止するから、それが合図となるし、その場合は俺の死をちゃんと王子が知ることになっている。


 しかし凄い、体内に埋め込むことを決めたのは良かったが、埋め込む前はぶっちゃけ凄い怖かった。だがいざ施術をするとなったら眠たくなって、と思ったら次の瞬間には終わっていた。


 痛みなんて全くないし、こうやって使っても痛みが全くない、それで取り外せば元通り、本当にチートだよな。


 ちなみにフメリオラは実験代わりに「全身義体にさせてーな♪」とかウキウキしながら言ってきたから、パンチしておいたが。


 ってな訳で、風呂が時間もいい感じ沸くまで簡単な荷物整理を終わらせる。3階建ての1人で住むには広すぎるぐらいだが、それも浪漫だ。


 さてさて、そろそろ沸いたか……。


「ふっ」


 俺は日本人、もうしつこくて申し訳ないがここは女学院の敷地内、ここで裸になろうものなら言い訳ではできない。


「キャストオフ!!」


 だがそんなことは関係ない、外れにあるから人も来ない、すっぽんぽんで、ドアを開けて外に出る。


 素晴らしい解放感だ、夜空もきれいだ。


 それにしても、毎回毎回本当にイケメンでもない俺の裸ばっかりで申し訳ない事この上ない、パグアクス息でもいれば数少ない女性需要にも応えられる……いや、そろそろ、男性需要の為にも、美少女の裸でも出せばいいけど、そう、それは、そうだな。




 今俺の目の前にいる、まだあどけなさが残る、青い果実の全裸の美少女のように。




「…………」


「…………」


 シーン。



 バタン!! ←急いで戻って玄関の扉を締めた音



「…………なんだいまの」


 落ち着け、俺は今何をしていた、セアトリナ卿から説明を受けた。今日付でケルシール女学院の歴史担当の教師となり本格的な運用は明日からだ。


 んで風呂に拘りたい俺は五右衛門風呂というわがままを聞いてもらったのだ。


 んで、それに入って、さっぱりしようとしたら、先に美少女が入っていた。


 やれやれ、あるあるね、うんうん、ハーレム物によくある風呂場での美少女との邂逅、憧れるね。


 やはり疲れているのか……。


 それはそうだ、この任務、「成功の範囲に俺が死ぬことも含まれる」わけだから、無意識に心に負担がかかっているのだろう。


 しかし命を懸けた戦いにおける本能ってのは、どうしてああなるんかね。これって女にはない欲求らしい、男のみの生存本能、いや子孫を残したいという本能という説もある。だけどこんな感じで、体感してみるとよく分からない。


 しょうがない、汗をかいてベタベタして気持ち悪いけど寝よう、ってまてよ、このまますっぽんぽんで寝るのも悪くない、荷物整理は終わったし、明日の準備も終わっている。


 あ、良いこと思い付いた、明日は早めに起きて朝風呂に入ろう。石鹸の匂いをしたままの出勤になるが、まあ女は不潔を嫌うからな、咎められることは無かろう。


 と明日の朝風呂を楽しみにしながら布団に潜り込む。


 それにしても、毎回毎回毎回毎回野郎が1人で寝ているか、浪漫団の面々と寝ている姿だけで申し訳ない。


 ここにパグアクス息でもいれば、数少ない女性需要、いや、そろそろ男性需要にも応えないといけない。



 例えばそう、隣に裸で綺麗な寝顔で寝ている美少女と一緒とか。



「…………」


「…………」


 シーン。


 バタン!! ←着替えをもって外に出た音


「…………なんだいまの」


 落ち着け、よく考えてみろ、うんうん、美少女と一緒に同衾する、はいはい、ハーレム物あるあるね、うんうん、好きだよ、そういう話、憧れるね。


 やはり疲れているようだ。平気なつもりだが俺は恐怖で怯えているのだろう。しかし風呂場やら布団やらでの美少女の裸二連発とか、全く、男ってのは本当にしょーも無い。


 しょうがない、気晴らしに少し散歩でもするか、そういえば近くに、月が綺麗に見える湖があるとか言っていた、そこで少し月光浴でもするか。


 といそいそと服を着て出発したのだった。





「ふぉーー!」


 と思わず声が出てしまった。


 美しい、その一言だ。


 目の前に広がる光景、広さは余りない、湖というよりも泉と表現した方がいいだろう。


 泉の水をすくってみると綺麗だ、水がちゃんと循環しているから、ありがちの沼みたいに汚れずに、綺麗に保たれているそうであり、なんと泳げる。


 本来なら整備されていない湖やら泉って泳ぐのは、草とかに絡まって危ないのだが、それも無いそうだ。


 ロマンチックな場所だと思うが、生徒達は余り来ないそうな。まあそうか、確かに自分の学生時代振り返っても、こういう場所には用事もない限り来ないよな、でも、気晴らしをしたいときにいいかもしれない。



 しかしこの月の光を浴びながら泉で浴びる全裸の美少女というのも絵になるなぁ。



「…………」


「…………」


 シーン。


 ドドドド!! ←急いで戻ってきた神楽坂


「…………なんだいまの」


 かなり深刻な状態だ、戦場で男は心身ともに疲弊すると女を求めるのは先に述べたとおり、だがこうまで美少女の裸ばっかりだと、心身の疲弊うんぬんより別の意味で俺の精神状態が心配だ。


 仕方がない、とりあえず寝よう、勘だが俺はまだ戦える、要は新しい環境に慣れていないというだけで慣れたら大丈夫だ。


 その証拠に家に戻ればあの幻はいなくなっていると思うから。


 と、自宅に戻り部屋に入った時だった。



「ふーん、先生って巨乳好きなんだね」

「だったら、そっちで攻めるのは無理かぁ、薄いからなぁ」

「いや、これ見て、水着の日焼け痕とかあるよ、こういうフェチ的な路線かなぁ」



 と先ほどの美少女達3人が、まあ当然に服を着て、俺の荷物を勝手に開けて勝手にエロ本を読んでいて。


「あ、ナセノ-シア、全然違うじゃん、獣のように襲い掛かってきて、既成事実作ってハッピーエンドじゃなかったの?」


 と俺の後ろに声をかけると。


「すまない、噂には聞いていて、だったら誘い受けならどうにかなると思ったんだけど」


 と俺の横を通り抜けるとどかっと座ると、俺のエロ本をパラパラと読む。


「ふむ、巨乳に、水着に……ほほう、侍女物か、そうか、殿方は自分の言いなりになる女性を求める、これもありだね」


 と当事者である俺の目の前に色々と俺の性癖について分析している。


(…………)


 呆然と立ち尽くしている俺。


 うん、もう誰かは見当がついているが……。


「あのさ、ひょっとしてというか、俺の教え子たち?」


 と聞いたところ、ナセノーシアと呼ばれた女の子が返事をする。


「そうだよ、資料見てないの?」


「赴任日が今日だからこれからチェックしようと思ったんだが……」


「ああ、そうなんだ、じゃあ自己紹介タイムだね」


 と咳ばらいをすると黒色ショートカットの女の子が立ち上がり


「私は、ナセノーシア・ジルナ・タジール、ケルシール女学院貴族枠入学の2年生!」


 続いて金髪ショートの女の子が立ち上がり


「私は、ファテサ・ログロ・マアツォガー、ナセノーシアと同じく貴族枠の2年生!」


 続いて銀髪ロングの女の子が立ち上がり


「私は、モカナ・ログロ・ジョエンド、同じく貴族枠で入学した1年生」


 最後に黒髪ロングの女の子が、立ち上がり


「私は、クエル・ケンパー、私は一般枠で入学後、特別入学枠で入学した1年生」


 とそれぞれポーズを取り名乗り上げた。



「さあ礼儀は通した! 先生の自己紹介を!!」



 とナセノーシアが手を俺に差し出す。


「勝手に部屋に入るの辞めてくれない? そろそろエロ本しまってくれない? 人の物勝手に漁るの辞めてくれない? 礼儀の何を通したの?」


「ここには私達以外にいないし、こう見えても全員口が堅い、先生の性癖が漏れることはないから大丈夫だよ」


「そこを心配してるんじゃねえよ(#^ω^)ピキピキ」



:後篇へ続く:


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