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神魂 ~神様の手違いで異世界転移してハーレムチート主人公になった件~ :最終話:


――駐在官詰所



「デデデデデデ!!!!!」


 俺は執務室でルルトの頬を引っ張っている。


「お前は本当に適当神だよな! 人騒がせな!」


 とまあいつもの日常風景、無事にタイトルもあらすじも元通りになった、よきよき。


 あの後イザナギが影武者の件を了承し、フメリオラが持っていた工具でテキパキと処置を施した。


 いきなり洗脳を解除して大丈夫かと思ったが、意外にもそこはあっさりと「偽物に操られていた」ということで収まり、被害という被害は、仲間内だけだったので、ウィズとルルトの説明によりすぐに状況を理解してくれた。


 そして俺は例の駐在官としての運用計画を皆に説明、了承を貰う。


 イザナギへの引継ぎは元より高い能力を持っていたし、神の力を使わないと解決できなかった案件については、そこは素直に神の力を匂わせる形で無事解決した。


 んで、その第一弾として。


「改めてみると、何か違和感があるね」


「まあまだ慣れない感じではあるな」


 とくるりと一回転してみる。


「ほー、これが武官の下士官の制服か、ルルトで見慣れているとはいえ、自分が着るとなると違うもなんだな」


 そう、俺が着ている制服は、武官の下士官の制服だ。ちなみにこの制服は官品ではない、首都で世話になっている仕立て屋のおばちゃんに頼んで作ってもらい今日届いたのだ。


 んで階級についてだが、文官が俺とユニアとウィズ、武官がアイカとルルトだったよな、となるとバランスを取って武官にして、階級は一番楽な階級と言われる武官伍長にしたのだ。


「流石おばちゃん、仕事が早し丁寧だし丈夫だし、言うことないね」


「ぱっと見て全然違わないように見えるけど、そんなに違うものなのかい?」


「修道院時代は俺の性格を考えて皴が付きにくく常にパリッとするように仕立ててくれてなぁ、ユサ教官も「お前は本当に休むことだけは全力を発揮するな」と言われたものだよ、後でしっかり官品じゃないことがバレて始末書書かされたけど(ノД`)シクシク」


「名前はどうするの?」


「名前はうーん、飯田橋は何回か使っているから、秋葉原でいいや」


「アキハバラ? そういえば飯田橋とか秋葉原とか、何か因縁のある名前なの?」


「普通に祖国の地名だよ、秋葉原はヲタクの聖地と呼ばれるところでさ。俺はそこの近くに住んでんの」


「へー、いつか日本観光もしてみたいものだね」


「いいところだぜ~、まあ東京は家賃が高いのが難点だが、なんでもあるぞ」


「思えば君を連れてきたときは、すぐに帰ってきてしまったからね、とはいえ相変わらず面白いことをするもんだね、功績全部をあげるなんて」


「というかさ、前に説明したとおり、自分の手柄じゃないからな。それはここにいる……」




「イザナギのおかげでよくわかったからな~」




「…………そうかよ」


 とイザナギは憮然とした表情で執務席に新しく作った席に、修道院の文官大尉の階級章をつけて座っている。


 説明しよう!


 繰り返すが、ボニナ族をマフィア代わりに使ってしまうという失態があったもののそれ以外では、本当に満点をつけてもいいぐらいの「傑物キャラ」なのは説明したとおり。


 これはそのまま採用すること周囲への洗脳能力を外したのも説明したとおりだが、身体能力については危険な場にも出なければいけないため変えなかったが、強さの調整が利くようにして、俺の命令を聞くギミックも取り付けた。


 更に人形に戻すためには、任意に出来るというスイッチをルルトの魔石に組み込んでもらったのだ。


 つまり目の前にいるのは、イケメンになった粋人の俺ということになったのだ。


「ニヤァ」←神楽坂


 と笑うとルルトに話しかける。


「それにしても……」


「うんうん、確かにこれは便利なものが手に入ったねぇ」


 とニヤニヤする俺ら。


 もちろんコイツの運用計画に嘘は存在しない。


 嘘は存在しないけども……。


「いいな、今後俺とルルトの駐在官としての仕事をやる事! それで今回の騒動の始末をつけたことにしてやろうぞよ」


「……始末をつけるも何も、アンタの命令には服従するギミックが取り付けられている以上逆らえないからな、分かったとしか言えないよ」


「よしよし、まあ色々と人形に戻ってもらうこともあると思うが、それは追々調整していけばいいだけの話、という訳で~、ルルトよ、早速俺と首都へ旅、もとい出張へ行ってくるぞ」


「イザナミ、首都の食べ歩きでもするかい?」


「おう、色々と目をつけている店があるんだ! 俺の奢りだ!」


「え? 大丈夫なの?」


「ふっふっふ、ふが三つ、ルルトよ、この間のボニナ族の案件でな。王子からたっぷりと報酬が入ったのだ!」


「おお~!(パチパチ)」


「そんなわけで、いざ参らん!!」




「「けーっけっけっけ!!」」




――後日




「いや~、楽しかったなぁ、首都への旅行、って旅行って言っちゃまずいよな、出張ですよ、出張、そんな風にしないとユニアに怒られるからね~、なあルルト」


「うんうん、鳥の姿焼きが絶品でおかわりしちゃったよ」


「俺は、焼き菓子が美味しくて~、ホロリと解けるスポンジに砂糖の甘さがまた~」


 とルルトとの旅行、1週間ほど豪遊してきた帰ってきた。


 そんなわけで戻ってきたホーム、出張を終えて、お土産もたっぷりと買ってきた。


 なんだかんだで疲れたから、偽物の仕事ぶりをチェックして、今日は終業時間に合わせてユニアに報告を終わらせて、自室で小説を読んでぐっすりと寝るか~。


 とそんな、出張あるある、楽しいのよね。


 麗しき我が古城よ、ルルトと共に駐在官の詰所を扉を開いた。


「今帰ったぞ~、長い間留守番ごくろーさん! お土産の首都饅頭を買ってきたから食え食え~」


 と入ると中には。


「もう、何をやっているんですか、遅いですよまったく」


 とはいつものユニアがおり、


「客が来たみたいだから、早く支度してください」


 と……。



「先輩方!!」



 と執務室の奥に呼びかけた。


「……先輩方?」


 その呼びかけに応じて出てきたのは偽物と……


「へ!? ボク!? なんで!?」


 とルルトそっくりの人形が立っていた。


「お客さん、紹介します、連合都市の首席駐在官は神楽坂イザナギ文官大尉、んで隣にいるのが「ルルカ武官軍曹」です」


(´・ω・`)エ? ナンダッテ?


「ああ、そういえばずっといなかったから説明していませんでしたね。駐在官運用計画の続きを」


(´・ω・`)ツヅキ? キイテナイヨ?


「言ってませんからね」


 とそんな感じで始まったユニアの話。


 神楽坂とルルトが首都へ出張りょこうに行った直後、全てを予想していたユニアがフメリオラと共に執務室に登場。


 今回の騒動の本当の詫びとして、神楽坂とルルト抜きでフメリオラと共に進めていた本当の駐在官運用計画を進めていたのだ。


 イザナギの運用はそのままに、それに加えて王子に化けさせた人形も貰い受ける形となり、ルルカ武官軍曹として着任させる、体制を一新することだった。


「そんなわけ神楽坂イザナギ文官大尉を首席に据えた、新生連合都市の駐在官達です。この2人は素晴らしいです。定時にちゃんと出勤する、仕事中に遊ばない、書類をちゃんと間違えずに書く、間違えても一度でちゃんと直る、休みの疲れを仕事で取らない、私の望みが全て叶いました」


(´・ω・`)…………


「こっちのイザナギ先輩とルルカ軍曹の方が100倍使えます。つまり駐在官の枠の増員な必要ないという結論に至りました。そんなわけでここに駐在官になりたければもう一度採用試験を受けて配属されるように頑張ってください、神楽坂イザナミ「元文官大尉」とフィリア「元武官軍曹」、短い間ですがお世話になりました」


「ユユユユユニアさんや、これは新たな駐在官運用計画を始めるにあたってのテストで、この様子を見ると無事に合格したようだ、なあルルトよ」


「そそそそう、だね、我が連合都市駐在官は、特殊過ぎるが故、新人登用という部分で新たな課題があり、それをアーティファクトで補うのだね」


「ええ、そのとおりですね、アーティファクトで補うという発想は素晴らしいと思います」


「「だよね!!」」


「ですから、これが全部上手くいっています、私はチェックだけで終わりますし、余った時間で本が読めます、それではさようなら」



バタン。



「「…………」」


「「ごめんなさいごめんなさい! 開けて開けて開けて! ちがうんだよおおお!!!!」」



と神楽坂のルルトの慟哭が木霊したのであった。



::おしまい



――おまけ



 フメリオラは、自分の工房に帰るため徒歩で帰っていた。


「あれが神楽坂イザナミ、あれがディナレーテが選んだ人物か、ふむ、色々と面白い男だったね」


 とそんな独り言をつぶやいていた時にふとフメリオラは立ち止まる。


「…………」


 何故なら目の前にウィズが立っていたからだ。


「やあウィズ、怒ってる?」


「出会い頭でそれ聞くって、全く、アンタの悪戯には慣れっこだけどさ」


「かき回すような真似をしたのは謝罪するよ、だけど君とルルトがご執心の人物でありディナレーテの占いで出た人物だからね、前々から興味があって、接触を計りたいと思ったのは事実だったんだ」


「あっそう、で、どうだった、貴方の感想は?」



「初代国王と一緒で、人間らしくないね」



「…………」


「そこで怒るなら聞かなければいいのに、そもそも彼が監督生をしていた時に、自分を裏切っていた後輩の為にその裏切りを完遂させるために尽力するって時点で割と人間離れしていると思うけどね」


「フメリオラ、今回の騒動は何が目的だったの?」


「……だからディナレーテの」


「それも理由の一つなのは確かなのだろうけど、それだけじゃないよね?」


「……その答えの前に誤解を解いておきたいんだけど、あのバグについては意図的なものは一切ないよ。人形を作りたいってインスピレーションを受け、作るためにルルトに協力してもらい、神楽坂大尉にモニターとして使ってもらおうかなって思ったのも嘘じゃない、そして「失敗作」ができたのも予想外だった」


「失敗作ってところが引っ掛かるの、アンタの得たインスピレーションって何? それで何が失敗したの?」


「…………」


 フメリオラは、それに答えず、じっとウィズを見つめると……。


「ウィズは、リクスとの付き合いで本当に変わったよね」


「え?」


「前は力で何とかする短気なタイプだったけど、今では神の中で一流の戦略家と戦術家になった。それは神の中では異質の「後天的な才能の持主」だったということ。しかも王国の主神として顕現しながら自警団員の子達からはアイドルみたいに憧れの対象になっているなんてね」



「戦略と戦術を学んだのは事実だけど性格は変わらない、つまり短気なのは変わってない、見せようか?」



「怖い怖い、喧嘩じゃ文字通り君に瞬殺されるから、もう言わないよ。んでお察しのとおりだよ」




「他人に化ける能力を持った神、その能力の下位互換のアーティファクトとはいえ、全く別物ができるなんてことがありうるなんてね、それが「俺にとっての失敗作」って意味」




「…………」


「神楽坂大尉は、神々から注目を集めている。「ルルトや君に恐れて遠慮をしている他の神々」の中には接触したいと考えている神々もいる、それは理解しているだろう? だからそうだね、本当の目的という言葉を使うのならば「神の力が神楽坂自身に降りかかってきた時にどうするのか見たかった」という好奇心を満たすためさ」


「好奇心って」


「ちなみに神楽坂には今の本音をそのまま伝えたよ、怒ってたけど多分あの様子だと気づいているんじゃないかな、その時の行動もまた興味があるけど」


「…………」


「以上が答えでいい?」


「……はあ、分かった、それで納得する」


「うん……なあウィズ」


「なに?」


「大丈夫?」


「は? なにが?」


「……いや、なんでもない、まあ、楽しんでいこうよ、ウィズも作って欲しいものがあれば言ってよ、作れるものは作るからさ」


「分かった、貸し一つってことにするからね」


「それじゃ、神の御加護があらんことを」


 といってフメリオラは自分の工房へ戻ったのであった。


後、1回か2回、間章を投稿した後、次の章へ行く予定です。

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