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神魂 ~神様の手違いで異世界転移してハーレムチート主人公になった件~ :第四話:


――翌日・首都・シレーゼ・ディオユシル邸



 クォナは、首都本宅の一室で、シベリアとリコと共にいた。


「どうしたのクォナ、何か元気がないけど」


とシベリアが話しかける。


「あのさシベリア、私、変なの」


「うん、知ってる」


「い、いや、そうじゃなくて、実はその……この頃ご主人様を見ても、こう、胸の高鳴りが、足りないというか、言葉が出なくて、これって浮気じゃないわよね、大丈夫だよね?」


「いや、大丈夫じゃないだろうよ」


「だからそういうんじゃなくて」


「うん、有罪」


「だから違うって言ってるでしょうが! 真面目に聞いてよ!!」


「はいはい、んで?」


「あのさ、ご主人様って顔は良いし、性格だって粋で、女性にも強引なんだけど、ありがちな勘違いで気持ち悪い感じはしなくて、モテるのも当然の男性なんだけど」



「そんな男に口説かれ過ぎて、逆に女の扱い慣れている感じがイラっとするというか、こうすれば女落ちるとか、その綺麗な顔で言われるのがまた舐められた感じでイラっとして大嫌いな男のタイプだった気がするの」



「凄いよね、この言葉だけ取ると勘違い女の言葉にしか聞こえない」


「ご主人様の魅力って、こう、なんか言葉で表すの難しいというか、こう、複雑なややこしい魅力の人だったような気がして」


「要するに?」



「道に落ちている軍手みたいな」



「おいいいぃぃぃ!! 今好きな男の話をしているんだよな!? なんだその軍手って! 意味が欠片も分からんわ!」


「だってそうとしか言いようがないの! 軍手なの! ボロボロの軍手なの! しかも片方だけなの!」


「それ何の役にも立たないじゃない、クォナってダメンズ好きだったっけ? それとはなんか違うような気がするんだけど」


 ここで呼び鈴が鳴るとリコが応対する。


「クォナ、ネルフォル嬢が来てるって」


「ネルフォルが? 変ね、来訪の予定はなかったはずだけど、通していいわ」


 と言った後、リコが迎えに行き、ネルフォルが自室に入ってくる。


「ごめんね、クォナ、突然」


「ええ、いいけど、どうしたの?」


 ここでネルフォルは一息入れると、クォナの目を見ながら真っすぐと言い放った。



「イザナギをデートに誘っていい?」



「「!!」」


 マジかとばかりに勢いよくシベリアとリコはネルフォルを見る、ピンと張りつめる空気ではあったが。


「ええ、もちろん」


 とあっさりクォナが答えた。


「…………いいんだ」


「あれだけ素敵な殿方ですもの、しょうがないわ、言ったじゃない、皆で幸せになるって」


「……アンタそんなだっけ。確かイザナギがエロ本持っていたとかでそれ食わせたよね?」


「……ぇ? い、いかがわしい本を、食わせるって、ネルフォル、貴方大丈夫?(ドン引き)」


「アンタだけには言われたくない!!!」


「…………」


 今度はクォナがじっとネルフォルを見る。


「ネルフォル、貴方もひょっとして……」


「ということは、アンタもってことね。そうだよ、なーんか、気が乗らないのよ、ほら、イザナギって顔もいいし、性格だって粋で、優しくて、女には強引で、モテるのも当然だと思うんだけどさ」



「そんな男に口説かれ過ぎて、逆に女の扱い慣れている感じがイラっとするというか、こうすれば女落ちるとか、その綺麗な顔で言われるのがまた舐められた感じでイラっとして大嫌いな男のタイプだった気がするの」



(そういえばこの2人って似た者同士だったな、一言一句一緒だよ)



「それにイザナギの魅力ってもっとこう、ややこしい感じじゃなかったっけ?」


「例えば?」


「要するに」



「道に落ちている軍手みたいな」



(お前もかいぃぃぃぃ!!!)←シベリア


「分かるわ! ネルフォル! その軍手はね」



「「ボロボロで片方しかない!!」」



(仲いいな!! アンタらそんな仲良かったっけ!?)


(それにしても好きな男を捨てられた片方の軍手に例える女達……)


 なんだろう、王国2大美女から思いを寄せられる、男からすると羨ましいシチュエーションなのは間違いないんだけど、同情心が先行するのは何故だろうと心の中でツッコミを入れていた時だった。


「お疲れ様、っと、ネルフォル嬢、いらしゃっていたんですね、失礼しました」


と言いながら、セレナが入ってきた。


「クォナ、何の話をしていたの?」


「神楽坂大尉の話よ」


「ふーん」


(そういえば、セレナも……)


「あのさ、セレナ、ちょっといい?」


 と何かを察しているであろうネルフォルが話しかける。


「何でしょう、ネルフォル嬢」


「クォナにイザナギをデートに誘う許可をもらったんだけど、一応貴方にも貰っておこうと思ったんだけどさ、いい?」


 やっぱりかと、さて、どう反応するのかとシベリアとリコがセレナを見るが……。


「はあ、どうぞ」


 と素っ気ないものだった。


「…………」


「ネルフォル嬢?」


「予想外、いや、違うか、予想内と言った方がいいか」


「? あの」


「ごめん、何でもないよ、貴方もイザナギに対して違和感は感じているみたいだからね」


「…………」


「それとデートに誘うのは嘘だよ、この違和感を私だけが感じているのか確認したかっただけだったから」


「ネルフォル嬢」


「大丈夫よ、不安になる必要はない、ま、悪いようにはならないでしょう」


「ど、どうしてそう言えるのですか?」



「女の勘」




――王城




「…………」


 俺はテクテクと城の中を歩く。


 ここまで来たら当然に王子にも確認を取らなければいけない。


 そろそろだと思うからひょっとして……。


 と考えていた時だった。


「神楽坂!」


 という声と共にドドドドと王子が走ってきたと思ったら、ガシッと両手で肩を掴まれる。


「か、か、かぐらざか、で、いいんだよな?」


「お、王子、ウルウル、私が分かるんですね」


「だよな!? みんな、なんか、お前を丁度2倍ぐらいイケメンにしてきた奴をさ、神楽坂とか呼んでいて、なんなん! これなんなん!?」




「なんなんというか、結論は一つというか」




「へ!?」


「…………」


「け、結論は一つというのはどういう意味だ?」


「いや、確信はあったんですよ、そして王子のおかげで確証を得ることが出来ました」


「か、確証? つ、つまり、真相に辿り着いたという事だよな!? おお! 流石我が右腕! 神楽坂、今回の一連の誰が元凶なんだ?」


「元凶は誰というか、まずはこの状況を片付けないといけないというか」


「うむ、お前の偽物をなんとかしないとな」


「まあそうなんですけど、なんとかする偽物は私の偽物だけではなく……」



「王子もですよ」



 と王子を見て俺は言い放った。


「…………」


「…………」


「え!? お、俺!?」


「はい、貴方は偽物です」


「か、神楽坂、どうしたんだ、俺が偽物って、訳が分からないというか、ええ?」


「簡単です、ウィズやルルトが「偽物を俺だと認識している」のに、王子だけそうならない理由がない。出張中は普通に俺と遊んでいて、女性陣もちゃんと俺を俺だと認識していた、つまり、王子もあの偽物を神楽坂と認識していなければおかしいのです」


「そして俺が連合都市に入った時の自警団員達も俺を俺と認識した上で連合都市の中に入れた。つまり今回の出来事は、俺が連合都市に入って詰所に向かう間に発生したということになる」


「タイミングが良すぎます。つまり今回のことは狙って起こされた状況ということになる、となると王子の私を私と認識しているという状況は、俺が気付くように仕組まれていると解釈すればいい」


「さて俺の偽物と王子の偽物の正体は何なのか、もう簡単ですよね、ウィズとルルトすらも認識を変えられるのなら、これはもう「神の理」であると結論付けられる」



「つまり、あの偽物の神楽坂は、アーティファクトだ、そして王子、貴方もね」



「…………」


 と俺が説明を終えた時だった、すっと王子から表情が消える。


 次の瞬間、どんどん王子が縮み輪郭が崩れたと思うと、デッサン人形になりポテっと地面に横たわった。


 その横たわった人形をひょいと拾い上げた人物。


『大丈夫だよ、本物の王子は寝室で眠ってもらっているだけ、すぐに目を覚ますさ』


 とわざわざ神の言語で、話しかけてくれた目の前の男。


「普通の言語でいいよ、そっちの方がお互いに都合がいいでしょ」


「確かに、まずは非礼を詫びよう、神という特殊な立ち位置であるが故だと許してくれるとありがたい」


「別に構わないよ、これでも神々と付き合いがあるのでね」


「頼もしいね、さて」



「初めまして、私はアーティファクトの神、フメリオラ、貴方のことは、ルルトやウィズから聞いているよ」



 と長身痩躯の男が言い放った。



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