神魂 ~神様の手違いで異世界転移してハーレムチート主人公になった件~ :第一話:
――ウルティミス
「いや~、楽しかったなぁ、王子との海外旅行、って旅行って言っちゃまずいよな、出張ですよ、出張、そんな風にしないとユニアに怒られるからね~」
王子との旅行、もとい出張を終えたものの、突然王子は「カウンセリングを受けろ」半泣き状態で言ってきた。
凄いびっくりしたけど「体は使徒でもメンタルは人間じゃないか!」凄い必死で説得されたので、いつもの医者に診てもらったところ緊急入院が必要とかで、入院することになった、医者も大げさで王子も心配性だなぁ。
んで予想外に入院生活が長引き、3週間ほど入院して無事退院して現在に至る。
出張は楽しかった、外国も治安も良かったし、食い物は美味いし、観光名所も素晴らしい、花街もフヒヒ、なかなか面白い国だったので、また行くと決めているのだ。
そんなわけで戻ってきたホーム、長期出張を終えて、お土産もたっぷりと買ってきた。
なんだかんだで疲れたから、今日は終業時間に合わせてユニアに報告を終わらせて、自室で小説を読んでぐっすりと寝るか~。
とそんな、出張あるある、楽しいのよね。
麗しき我が古城よ、と駐在官の詰所を扉を開く。
「今帰ったぞ~、長い間留守番ごくろーさん! お土産のルカンティナ饅頭にアファド饅頭を買ってきたから食え食え~」
と入ると中には。
「もう、何をやっているんですか、遅いですよまったく」
とはいつものユニアであり、隣にいるルルトは
「客が来たみたいだから、早く支度しなよ、ほら」
と俺……。
の方ではなく、奥に呼びかける。
「イザナギ!」
「……イザナギ?」
と執務室の奥に呼びかけると。
「あー、わりぃ、わりぃ、昨日ちょっと飲みすぎてしまって、すみませんお客さん、お見苦しい所をお見せして」
と応接スペースから声が聞こえてきて、、、。
「初めまして、俺がウルティミス・マルス連合都市、駐在官の代表、神楽坂イザナギです、さあ、どうぞ座ってください、住民からの相談要望、出来る限りなんでもやりますよ、お客さん」
と俺を丁度2倍ぐらいイケメンにした、修道院の制服を着た男が立っていた。
( ゜д゜) ←神楽坂
::神魂 ~神様の手違いで異世界転移してハーレムチート主人公になった件~::
「すみません、間違えました」
ぼーっとして他人様の作品に突撃隣の朝ごはんしちゃったよ、あーびっくりした、まさか、同じ作品内で別の作品が始まっているなんて思わなかった。
それにしてもかなり打ち切り集漂ってたよ、大丈夫なのか。
アドバイスといてやればよかったかな、必殺技とか作った方がいいって、とりあえず「官吏の王に俺はなる!」とか言わせておかないと後々成長の要素が無くなるから苦労するってさ。
そもそもタイトルも別に何でワイルドカードなのか伝わりづらいし、サブタイトルも成り上がるとか書いてあるけど、最初からずっと駐在官のままで成り上がってないし、成り上がっているのはむしろ仲間じゃないか。
あの詰所にいたヒロインポジションの女駐在官もヒロインというよりリアル妹みたいになって、全然ヒロインじゃないし、ちょっとは他の妹キャラを見習えっての。
あの中性的な小柄な駐在官もいっそのことマスコットレベルまで小さくして、適当な可愛いマスコットとかと一緒に踊らせておけばいいんだよ。
極めつけは主人公だよ、なんなんだよイケメンって、男性向けの作品でイケメン主人公はそれだけで自分でハンデ背負っているようなものじゃないか。
男性向け主人公はやっぱり俺みたいな冴えない男だよ冴えない男。
だけどどっかで見たことあるような顔をしていたよなアイツら、まあいいか、帰るか……。
「何処に?(´⊙ω⊙`)」
いや、違くね、どうみても俺の住居兼古城だし、あれは間違いなくユニアとルルトだった。
確かに話のタイトルもネタ元を考えれば、位が上がったようで、ネタクオリティには下がった感があるいつもの感じ、そしてこの何とも言えない地味なんだが派手なんだかわからない展開、まさにワイルドカードだ。
だったら、この何かスタイリッシュ感すらあった神楽坂イザナギって誰だ。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ留守にしていただけなのに、なぜ、何で、ホワイ!
って、帰っている場合じゃない! とりあえず、なんとかしないと!
●
「なんだやっぱり、相談事があったんだね」
結局、あの後もう一度戻って、応接スペースでお茶を出された。
「私達駐在官は、困っている人がいれば助けるのが仕事です、恥ずかしいかもしれませんが、話してください、この万事屋神ちゃんと呼ばれる私達に任せてください」
(万事屋神ちゃん……また雑にパクったなぁ)
って悩み事とかさ、ウルティミスの人たちってちゃんと自分のことは自分でするから山賊団の退治以降そんなことしたこともないんだけど。
「はは、じゃあ思い切って相談しちゃおうかな、まあ、簡単に言えばさ、出張から帰ってきたら、別の男が自分の家で冷蔵庫開けて俺のプリンを食ってたみたいな」
「ふむ、浮気の相談ですか? 彼女を取られたとか?」
「いやぁ、どうなんですかね、まあ取られた言えば取られたんですかね」
「?? そういえば、まだ名前も聞いていませんでしたね、伺っても?」
「あのー、そのー、神楽坂イザナミっていいます」
「神楽坂って、あれれ? イザナギと似た名前しているんだね、ひょっとして兄弟?」
「いやぁどうなんですかね、こっちの世界に兄弟はいなかったと思うんですよね~」
(ってこいつら完全に主人公を忘れてんじゃねえか!! お前ら俺との投稿177回分の思い出を何処の虎の穴に売りやがった!?)
と引きつっていると、奥からイザナギが酒瓶を持ってくる。
「まあ、名前が似てるってのも何かの縁、血は繋がってなくても、酒で繋がるものが男って奴さ、何でも言ってくれ兄弟!(爽)」
(俺よりよっぽど主人公っぺーーーー!!!)
「流石イザナギだね!」
「それでこそ尊敬する先輩です!」
(しかも俺よりよっぽど慕われてる!!)
「でも、お客人、私はこれから首都に出張しなければならないんで失礼します、代わりにこいつ等に任せますよ、なーに、腕の良さは保証しますよ、それとユニア」
というとイザナギはひょいと書類をユニアに手渡す。
「って出張計画書? 先輩と……あれ? これは私とセルカ姉さまの分まで? どうして?」
「おいおい、お前とセルカの出張は俺が計画したわけだからな、俺が書くのが筋だろ?」
「は、はぁ、相変わらず仕事が早いですけど、……あれ? 先輩、肝心かなめの出張先のウルリカに着いた後の内容が、何もないんですが」
「あらら、これはやっちまったな、お前なら知ってるだろう? 俺が忘れっぽいってさ、忘れるついでに、たまには仕事を忘れてセルカと温泉旅行にでも行ってこい」
「ま、まさか、この出張計画って」
「ああ、ウルリカ街長には話を通してあるぜ、スィーゼ」
「キリッ!」
「お前は男だ、女だけの道中は物騒、男なら守ってやれよ」
「キリリッ!!」
「よし、ルルト、俺はちょっと詰所によって、出張の為首都に行ってくる、いない間の留守は頼んだぜ」
「ふっ、任せたまえよ、君のおかげで全てが上手く言っているからね」
「ったく、調子がいい奴だぜ、じゃあお客人、失礼しますよ」
と片手をあげて歩き去った。
( ゜д゜) ←神楽坂
「さて、お客さん、私たちが代わりに」
「ってやっぱりちょっと待った!! あのさ!! 俺はずっと主人公で頑張ってきたんだよ!! イザナギって誰なんだよ!! これはどんな状況なんだよ!!」
と叫ぶ俺にルルトは訝し気な表情を浮かべる。
「どんな状況も何も、ずっと一緒だったのはイザナギなんだけど」
「へ!?」
と慌てて、タイトルを見てみると……。
タイトル
神魂 ~神様の手違いで異世界転移してハーレムチート主人公になった件~
あらすじ
俺は何処にでもいる平凡な主人公神楽坂イザナギ、そんな俺に突然訪れた神様の計らいでファンタジー世界に異世界転移! 更に神様からチート貰って無双して女にモテまくってもう大変、これからどうなっちゃうの~
!!(●ω●;) ←神楽坂
「いやいやいやいや!! 嘘は辞めようよ!! 新規で第一話から読んだ人が混乱したらどうするんだよ!!」
「そんなこと言われても事実だからねぇ」
「事実なの!? ってスィーゼよ! お前はなら俺が分かるよな? 最年少の男の浪漫団の団員! 俺が見込んでスカウトしたんだものな」
「?」
「ウルウル、お前まで」
とそんな俺を余所にユニアは続ける。
「いいですね、スィーゼ、先輩は男の中の男、貴方は大きくなったら、ああいう男になるんですよ、そう、白馬の似合う美男子な騎士に」
「はーん!! そんなわけないだろーーがい!! 美男子以外は全部違うな!!」
「な、なんですか、お客さん、急に」
「スィーゼは、最年少の男の浪漫団の一員なの! その素質を見込んで俺がスカウトしたの! いいか!? 飲む打つ買う! これが男のステータスであると同時に一番身を滅ぼすものでもあるの! とはいえ飲むのは俺も含めて出来ないから、他の二つを小さいころから英才教育(ギャンブルと女遊び)を実施し、大きくなったらその2つで狂わない様にするのだよ! んで大きくなったら美男子であることと原初の貴族の直系という立場を利用してハーレム作って将来は18個のおっぱいに囲まれて暮らすって! 俺と約束した」
ドゴォ! ドゴォ!
「アイダアアア!!」
「1歳の赤ちゃんに! さ、さいていですね! 汚らわしい!」
「じー」←スィーゼ
「スィーゼ! 見ちゃいけません!!」
とぷりぷり怒りながらその場を後にした。
(…………)
うん、まあ、今の確かに最低で汚らわしかった、カッとなってやった、今はバレない様に色々考えている。
し、しかし、ど、どうなってんだよ、何なんだよ神楽坂イザナギって。
(あの感じだと、詰所の浪漫団の面々ともって流れだったけど)
この妙な事態、アイツら大丈夫だろうか、まさか。
ってとにかく、男の浪漫団に行かないと!
「ってその前にルルト! いつもの奴!!」
「へ!? あ、ああ」
と神の力を込めてもらい、神石を首にかけると、出力をオフにして詰所に向かった。
「…………」
取り残されたルルトは自分の手を見てみる。
「あれ?」




