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◆志村けん追悼◆ フォスちゃんカグちゃんごきげん劇場 ―THE DETECTIVE STORY―



STTARING

 IZANAMI KAGURAZAKA


STTARING

 FOSIT ITERA




 住居も兼ねた事務所で探偵事務所を開く、「迷」探偵、神楽坂とフォスイット、いつものとおり仕事が無い2人は応接スペースでダラダラしていた。



「うーーーん」←冷蔵庫の中を見て唸っている王子。


「どうしました先輩」


「何回見ても空っぽだなぁって思ってさ、どうしようか、今日の飯」


「大丈夫ですよ! 近くのパン屋が良い人で必ず余ったパンの耳をくれるんです! 今日あたり行ってきますよ!」


「それって大丈夫だじゃないというか、そのパン屋の人も善意というよりも施しをしている感じなんじゃないか(泣)」


「まあでも背に腹は代えられませんよ、仕事ないし」


「贅沢言える身分じゃないけど、なんか別のもの食べたいなぁ(涙)」


 ピンポーン。


「お! 依頼人かもしれませんよ! はーい! 今出まーす!」


 とパタパタと姿を消す。


「はあ、ったくもう、ボスも早く仕事を」


「先輩先輩! 実家のおふくろからスイカが送ってきました! 今日はこれを食べましょう!」


「スイカ? お前の祖国の食い物だったなそういえば」


「甘くておいしんですよ、ってなわけで、サクっと準備をしてきますね!」


 とまな板を取り出すと、それを食べやすいサイズにカットする神楽坂。


「あ、先輩塩振ります?」


「塩? 甘いのに塩ふるの?」


「これが合うんですよ、ふんふ~ん♪ シュシュっと♪」


「なんかやたらスタイリッシュに振るね、まあいいや、じゃあいただきまーす」


「ヴモ゛モ゛!!」←顔を思いっきり横に振って2秒で食べ終わる神楽坂


「食うの早いな!! もっと落ち着いて食えよ!! まったくもう、スイカの呪いにかかっても知らないからな、もう、あ、でも確かに普通に塩振ると甘さが増すな、うまうま」


 ジリリリン、ジリリリン。


「あーはいはい、いまでますよ~、もしもし」←神楽坂


【私だ】


 テッテテレ~♪


「せせ、先輩! ボスボス! 依頼ですよ!」


「はいはいはいはい! もしもし!」


【今日も仕事が無い、成功を祈る】


 ガチャ。


 ( ゜д゜) ←2人


「え? なんの? なんなの今の電話? いやがらせ?」


「というか、色々とヤバくないか、家賃も大分溜まっているし」


「仕事しないといけませんよね」


「となるとバイトするしかないか(パラパラ)」←アルバイト雑誌を読んでいる


「あ、俺これやりたいですね、バニーガール」


「男ができるか!」


 ジリリリン、ジリリリン。


「「…………」」


「はいもしもし」


【私だ】


 テッテテレ~♪


「あ、はい、ワタシダさんですか、じゃあ」


 ガチャ。


「「はぁ~、どうするかなぁ~」」


 ジリリリン、ジリリリン。


「……しつこいなぁもう」


「はい、もしもし」


【私だ】


 テッテッテレ~♪


【レギオンの宿屋で、女流作家から調査業務が入った、詳しい内容については現地にて依頼人と接触せよ、成功を祈る】


 ガチャ。


「…………」


「どうした?」


「普通に仕事の依頼でした、なんだよ、あるんじゃないですか、まあでも良かったですね! これで家賃は何とかなりそうですね!」


「家賃だけ何とかなってもしょうがない気がするけどな(涙)」



――場所移動・宿屋・ロビー



「えーっと、確か依頼人がここで待っているという話だったんですよね」


「ああ、一番窓際に座っている女がって話だな、あのーすみません、失礼します」


 とここで話しかけられた女の人はハッとしたような顔をして2人を見る。


「あ、はい、ひょっとして、探偵事務所の方ですか?」


「はい、依頼を受けてまいりました」


「ああ、よかった、こんなこと誰にも言えなくて、よろしくお願いします(お辞儀)」


「「…………」」←谷間を見ている


「おい! 神楽坂!(小声)」


「ウヒヒ、巨乳美人女流作家、ウヒヒ」


「え?」


「ごほん! というわけで、話を早速伺います、それで依頼の内容というのは?」


「はい、あの、私は女流作家をしておりまして、あ、デビュー作の話なんですけど、読みました? 湯けむり温泉旅館殺人事件、古い温泉宿を舞台にしてるんですけど、これはもう推理物として一流だと評価を頂いて出版が即時決定、これがヒットしまして、もう、いやだわ、自慢じゃないんですけど」


「ちょ、ちょっと、あの、分かりました、分かりましたから、仕事の内容を」


「あ、はい、あの、実は、受賞パーティーでのことなんですけど」


「ふむ」


「君は10年に一度の天才だなんてもてはやされて、パーティー会場でお料理もおいしくて、この日の為に都内の仕立て屋でドレスを仕立てて、それで馬車でお迎えしてくれて凄くお姫様気分ので、景色も綺麗だったんですよ、あははは!」


「だ、だから! あの、作家であることは分かりました! それで、仕事の内容を!」


 依頼人はハッとしてシュンとする。


「他に頼る人がいなくて、もう、本当に」


「どういうことですか?」


「なんとかしていただきたいんです!」



「だからなにをどうしろというんですかね(怒)」



「こ、こらっ! 神楽坂!」


「その、実は、次回作の湯けむり温泉殺人事件第6弾なんですけど、取材に訪れたい旅館がありまして、そこを舞台に小説を書きたいと考えているんですけど」


「ふむ」


「その旅館が曰く付きで、その」



「お化けが出るんです!!」



「…………」


「…………」


「なるほど、お化けですか(笑)」


「めっ! 神楽坂!」


「ごほん! つまりそれを調べて欲しいってことですか?」


「はい、何かあった時1人じゃ怖くて、安全かどうか事前調査の依頼を受けていただけないでしょうか? 見どころとか出来れば詳細な報告書付きで」


「「…………」」


「どうします先輩?」


「どうするも何も、受ける以外選択肢はないし」


「まあいいんじゃないですか、タダで温泉旅行が出来たと考えればいいんでないですか」


「そうだな! よし! 次いってみよう!!」




――場所移動・温泉旅館宿




 うっそうと生い茂る木々、夕方で日の光が届かず暗い道の先に旅館があった。


「な、なんで、こんなところに旅館が、人っ子一人いない」←腰が引けている


「凄いな、この、昼間なのに音が全然聞こえない、廃れた墓場にあるような、しかもボロいなぁ、雰囲気出ているというか」←腰が引けている


「なんでも、自殺者が相次いでいる旅館みたいですよ」


「辞めてよ、もう、というかさ、神楽坂さ」


「はい」


「その手に持っている三又に別れた改造うちわ太鼓は何なの?」


「一応何かあった時のお払いの為に」


「なんか変な宗教作りそうな感じだが、大丈夫なのかそれで」


「だいじょうぶだぁ」


「…………まあ、お前が良いならいいけど」


 ガラガラ。


「ごめんくださ、うわっ! 埃っ! 真っ暗! ゲホゲホ! もしもーし! ごめんくださーい! 予約したフォスイットと申しますが!」


 シーン。


「変だなぁ、誰もいないわけないよな、あ、明かりがつく、ポチっとなと」


 パッ。


「ようこそおいでくださいました」


「ギャアアア!!! おばけーーー!!!」


「デデン、デン!! だいじょうぶだぁ!! デデン、デン!! ウィ!! ウァ!! ウォ!!」


「ここの女将でございます」


「灯り付ければいいじゃん! なんで消して待ってんの!?」


「お部屋は用意しております、この者が案内いたします、さあお前、お客様の荷物をもって差し上げなさい、私は食事の準備をしてまいります」


 すっと女将の代わりに若い仲居さんが現れる。


「荷物をお持ちします、どうぞ(ニッコリ)」


「(ウヒヒ、巨乳仲居やないけ)へえ仲居さんとかいるのか、なあ神楽坂」


「(ウヒヒ、巨乳仲居やないけ)はい、あの、なんか、変わった女将さんですね」


「はい、マイペースな人なんですよ」


「そういう問題じゃないような気が……」



――場所移動・部屋



「ここが、お部屋でございます、お風呂は離れにあります、それでは」


 2人だけになる。


「「…………」」


「なんか不気味な部屋だなぁ、なんか壁に札とか張ってありそう」


「そう言うこと言うのやめてくださいよ! 本当にあったらどうするんですか!」


「はいはい、じゃあ、俺は荷物整理するからな」←後ろを向く


「もう、あ、窓がある、景色はいいかもしれないな」


 ガラッ。


「…………」←幽霊が立っている


「…………」


「…………」←幽霊がじっと見ている


「…………」


 そっ閉じ。


「せせせせせせんぱぱぱぱおおいい!!(バシバシバシバシ!!)」


「イダダダ!! なんだよ!!」


「おおおおおばかがでたんだあああ!!」


「はい!? 何処に!?」


「ままままどのそとににに!!」


「お化けなんて、お前最初ハナで笑ってたじゃないか」


 ((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル


「あーもう! 分かったよ! 確認してやるよ! すればいいんだろ!」


 ガラッ。


「ギャアアア!!!」←神楽坂


「わああ!! びっくりした!! お前の声にビビるわ!!」


「いたでしょ!? いたでしょ!? お化けいたでしょ!?」


「お化けって、お前、キョロキョロと、誰もいないじゃないか! まったく! このバカタレが!(ベシッ!)」


「本当にいたんですって!!」


「あーはいはい、じゃあ俺は荷物整理の続きするからな」←後ろを向く


「シクシク、信じてくれない、でも、まあ、お化けなんているわけな」


「…………」←幽霊が立っている


「…………」


「…………」←幽霊がじっと見ている


「…………」


 そっ閉じ。


「せせせせせせんぱぱぱぱおおいい!!(バシバシバシバシ!!)」


「イダダダ!! なに!? またお化け!?」


「おぼぼぼ!!」


「あーーもう!! うるさい!! 分かったよ! ガラッと! キョロキョロと! ほら! 誰もいないじゃないか!(ベシッ)」←神楽坂に向き直る


「…………」←スッと出てきた幽霊が王子の後姿をじっと見ている


「先輩! 後ろ! 後ろ!」


「…………」←幽霊がいなくなる


「はい? 後ろ?」←振り返る


「……誰もいないじゃないか! このバカタレが!(ベシッ)」


「消えたのおおぉぉ! 先輩が振り返った瞬間に消えたのおおぉぉ!!」


「分かったよ!! ほら! 温泉行くぞ温泉! ここは温泉宿だからな! お前好きだろ!? スッキリすればお化けも出なんわ! ほら行くぞ!」←手を強引に引っ張る



――場所移動・温泉



「ババンバ、バンバンバン♪ ア、ビバノンノン♪ ババンバ、バンバンバン♪ ア、ビバビアビバ♪」←王子


「…………」


「ほれ、どうした? お前この歌好きで風呂に入る度に歌っているじゃないか、ほれ「日本人なら、浪花節でも♪」ほれほれ、続きをさ、んでお前がよくやるイッキシ!(くしゃみ)とかアドリブで入れたりしてさ?」


「…………ここは、南国別府の湯♪ イッキシ!」


「お! 調子出て来たじゃないか! 幽霊なんていないの、分かった?」


「は、はあ」



「はぁ、温泉気持ちいい、景色も綺麗」←仕切りの向こうから聞こえてくる仲居の声



「「…………」」


「あら、探偵さんも入っているんですか?」


「ええ、まあ、入っております(裏声)」←王子


「そうですか、とっても気持ちいですよね~」


「ええそうですね~」



「「…………」」



「神楽坂、いくぞ!(小声)」


「(`・ω・´)ゞシャキーン!!」


「ちょっとだけよ~、アンタも好きねぇ~」


「(^_-)-☆」


「このこの! さっきまで幽霊がどうとか言ってたくせに!」


 ササッと2人して壁に張り付く。


「だー! 見えない! こういう時にある筈の隙間が無い! 神楽坂!」


「こっちもありません! どうします!?」


「うーん、あ! 神楽坂! 上を見ろ!」


「へ? あ! 仕切りの高さが2メートルぐらいしかない!」


「後は分かるな? 肩車だ!」


「全裸で肩車、男同士だと凄い勇気がいりますけど、しょうがないですね!」


「よし! じゃんけんで決めるぞ!」


「「最初はグー! ジャンケンポン! アイコでしょ! アイコでしょ!」」


「じゃあ勝ったあ!!」←神楽坂


「ちっ、しょうがあるまい、まずはお前に先手を譲ってやる、立て」


「はい」←全裸でケツを向けて立つ


「ちょっと待ってろな、ちょっと待ってろな、ってなんか嫌だなぁ、もう、後ろから頭を突っ込むのも、突っ込んだ後のふぐりの感触も」


「く、くすぐったい! あはは!」


「あ、暴れるな! 床が滑るから! 危ないから! よい、いくぞ……よし! 入った! いくぞ! せーの! よいしょおお!!」


「うお!! 思ったより怖い怖い!! 先輩!! 怖い!! ゆっくりゆっくり!!」


「分かってる! 急かすな焦るから! よし! 安定したぞ! 行くぞ神楽坂!」


「了解! ウヒヒ、さあ桃源郷……」←仕切りの上を見る


「…………」←幽霊が仕切りの上からじっと見ている


「…………」


「オォォーーー!! w(゜ロ゜;w(゜ロ゜)w;゜ロ゜)w オォォーーー!!」


「そ、そんなすごいのか! そうだよな! 凄い巨乳だったものな!!」←下を向いている


「お化けーーー!!!」


「お化け!? そこまで!? ワールドカップ!?」


「おろしておろしておろして!!」


「わかった! 交代だな! ちょっと待ってな、ゆっくり下ろすから!」


「…………」


「よし! 神楽坂! 次は俺だ! 頼むぞ!(シュタッ)」←ケツを向ける


「…………」


「どうしたんだよ! 早くしないと風呂から出ちゃうだろ!」


「お、お、おばけ」


「だからお化けオッパイを俺も見たいの!!」


「ちがうの、ちがうの、だめだこりゃなの」



「じゃあ、探偵さん、お先に失礼しまーす」



「…………」


 バシバシバシ!!


「イダダ!」


「お前がもたもたしているから見れなかったじゃないか! このバカタレが!!」


「お、おばけなの、つぎいってみようなの(泣)」


「もうわかったよ! ほら、そろそろ飯の時間だ! 部屋に行くぞ!」



――場所移動・部屋



「ん? なんだ、部屋が真っ暗じゃないか、飯を運んでくれるって話だったんだが、えーっとスイッチスイッチ、ポチッとなと」


 パッ。



「お食事の用意が出来ております」



「ギャアアア!!! おばけーーー!!!」


「デデン、デン!! だいじょうぶだぁ!! デデン、デン!! ウィ!! ウァ!! ウォ!!」



「女将でございます」



「だから灯り付けろや!! びっくりするわ!!」


「終わったらお手数ですがお膳を外にお出しくださいませ」


 女将消える。


「びっくりした」


「というか先輩、飯食いましょう!」


「ああ、そうだな!」





「ふむ、飯は美味かったな」


 コンコン。


「はーい、あれ、仲居さん? どうしたんですか?」


「あの、実は、ここ旅館で1人で寝るのが怖くて、一緒に寝てもいいですか?」


「「…………」」


「おれはべつにかまわないぜ(イケボ)」


「たしかにじょせい1にんではあぶないですからね(イケボ)」


「わあ! ありがとうございます!(ニッコリ)」


「(ウヒヒ)じゃあ、そうと決まれば、早速布団を敷きますか」


「(ウヒヒ)そうだな、疲れたし、じゃあ、仲居さんは真ん中でいいかい?」


「はい、助かります」


「はっは、しょうがないな、布団を敷いてあげよう」←真ん中の布団の半分を自分の布団に重ねる王子


「先輩」


「なに?」


「なに? じゃないですよ、なんですそれ?」


「え? ああー! 間違えちゃった!」


「……わざとらしい。いいですよ、私が敷きますから」←今度は真ん中の布団の半分を自分の布団に重ねる


「おい」


「なんです?」


「なんです? じゃない、お前もなんだよそれ」


「我々の仕事は彼女を襲う暴漢から守ることです (`・ω・´)キリッ!!」


「うん、お前が襲う側だからね、駄目だからね、ほら、真ん中にするぞ」


「へいへい」


「じゃあ、本当に寝るぞ」


「はい、おやすみなさい」←仲居と一緒に寝る神楽坂


「な~にをしてるんだ、この、バータレが!(バシーン)」


「イダァ! おお~う、先輩、目は辞めましょうよ」


「ほら、もう寝るぞ」


「はい、今度こそおやすみなさい、の前にちょっとトイレに行ってきます」



――トイレに行く道中・厨房に差し掛かった際



 ピチャピチャ


「ん?」


 ピチャピチャ


「なんだ、この時間に、仕込みでもしているのかな?」


 とそっと覗くと……。


 何やら女将がたらいに入った何かを洗っていた、ピチャピチャという音はこの音か。


 なんだろう、何故か目を逸らせない、背中越しだから何を洗っているのか見えない、見え……。


 ぽろっと女将の手から落ちたので、そちらに視線を向くと。



 それは人間の足首だった。



「」←絶句


 その足首を拾うために、手を伸ばしたところで、俺の存在に気付いた女将と。



 俺の目があった。





「せせせせせせせんぱい!! せんぱいせんぱい!!(ベシベシベシ!!)」


「イダダダ! びっくりした!! なんだよ!!」


「こわこわこわこわ!! 女将が、女将が、おかみがあああ!!」


「なんだよ! 女将が何をしていたんだよ!」



「足を洗っていたんですよ!!」



「はい!? 足を洗っているからなんなんだよ! それがなんで怖いんだよ! このバカタレが!」


「ちがうのおおぉぉ!! そうじゃないのおお!! 足首を洗っていたのおおぉぉ!! ってああ!! 先輩!! いるいるいるいる!! 後ろいる!!」


「もう、またかよ」←窓の方を向く



「…………」←幽霊がこっちを見ている



「でたああぁあー!!!」


「ほらほらほら!! 言ったとおりでしょ!!」


「って、仲居さん! おばけおばけ!! 逃げるよ!! 逃げ逃げ……」


「ギギギギ」←骸骨が自分の方を向く


「ギャアアア!!! そっちもおばけーーー!!!」


「デデン、デン!! だいじょうぶだぁ!! デデン、デン!! ウィ!! ウァ!! ウォ!!」



「「逃げるぞ!! もう十分だろう!! 依頼はこれで終わりだ!!」」



――後日



「申し訳ありませんでした、お手数をおかけして」


「いえいえ、仕事ですのでお気になさらず(ゲッソリ)」


「そうそう、お気になさらず(ゲッソリ)」


「で、でも、だ、だいぶ、やつれているようですけど」


「えーっとですね、それで結果報告なんですけども、基本的にお勧めできないませんね、というか行かない方がいいですね、出ますね、お化け、しっかりと、辞めた方がいいですね、途中で逃げ帰るほどにヤバかったですよ」


「え!?」


「え!? って、いや、あのね、作家さんの好奇心旺盛な気持ちは分からんでもないですが」


「い、いえ、そうじゃなくて、行ったんですか、旅館?」


「そりゃそうですよ、そういう依頼だったじゃないですか」


「え? ええ~? あれ~? いや、でも、うーん?」


「ど、どうしたんですか?」



「いや、あの、実はあの旅館、先月で潰れたんですよ」



「「…………」」


「は、い? 潰れたって、だって、普通に女将さんが」


「その女将さんが亡くなって、という話なんですが、大分前から精神に失調をきたしていたみたいなので」


「仲居さんが」


「ああ、1人いる若い女性の人ですよね? その人は恋人に捨てられて自殺したって話ですよ」


「建物……」


「取り壊されたって話ですけど」


「「…………」」


「え? じゃあ、我々がいった旅館は?」


「旅館はって、聞かれても…………」


「…………」


「…………」


「「う、うーん」」


 パタッ。


「ちょ、ちょっと大丈夫ですか! もしもーし! もしもーし!!」



:::THE END:::



――劇終了後・孤児院



「王子、ご主人様、ありがとうございました、子供達もとても喜んでいましたわ」


 劇が終了し、子供たちを寝かせて簡単な打ち上げの最中、クォナが笑顔で話しかけてくる。


「いやいいんだよ、こっちも十分に楽しめたし」


 そう、今回の劇は、クォナが子供達の為にコメディの寸劇コントを企画し、折角だからと有名なコメディアンに依頼したそうな。


 ところがほんの10日前に、その有名なコメディアンが新型ウイルス性の流行り病で倒れてしまい、出れなくなったのだ。


 んで、このままでは子供たちがガッカリしてしまうという話を聞いて、今回の寸劇をやろうという話になったのだ。


 その有名なコメディアンが来なかった事でガッカリした子は多かったものの、それなりには楽しんでもらえた様子なので良かった。


「しかしご主人様も凄いですわ、頼んですぐに脚本とか演出とか全部できるなんて」


「まあ、俺のオリジナルじゃないからね」


 とここで王子が話に入ってくる。


「やっぱりそうなのか、神楽坂よ、これってなんなん?」


「私が幼いころに大好きだったんですよ。寸劇をやるって聞いて、タイミングもいいし、なんかこう、急にやりたくなって」


「そうなのか、でも面白かったぞ、そのお前の好きな劇の新作が出来れば次もやりたいな」


「そうですね、次、やりたかったです(涙)」


「な、なんで涙ぐんでいるんだ?」


「いいえ、なんでも、な、なあクォナ、それよりも聞きたいことがあるんだが」


「なんでしょうか?」


「その、有名なコメディアンがかかったとかいう新型ウイルス性の流行り病は大丈夫なのか?」


「え? はい、大丈夫ですよ、我が王国の優秀な医学者たちが特効薬をすぐに作って国民に無料配布、復帰できるとのことですわ」


「…………」


「ご主人様?」



「そうか、そうだったのか、本当に良かった、本当に(涙)」



 と天を仰ぐ神楽坂に「?」という表情を浮かべるクォナだった。




:おしまい:





 カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ、ザ・ドリフターズを知ったきっかけの番組でした。


 探偵物語が大好きでした。


 今回の投稿は私なりの追悼の意です。


 ご冥福をお祈りいたします。


 お笑いをありがとうございました。



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