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こちらウルティミス・マルス連合都市・湖畔前・駐在所:後篇



第3話:男の浪漫!!!!の巻



「はあ、本当なら1日で終わる筈だったのに、交渉が難航するとは」


 執務室でがっくりと落ち込むユニア。


 ちなみに前回は必死の説得の元なんとかなった、んで、今回も交渉事があるということで、なんだかんだで懐いているという理由でまた俺が預かることになったのだ。


「先輩、分かっていますね、二度と賭場に連れて行かない様に」


「へいへい、分かっているよ」


「不安ですね、先輩は理解なんて出来ませんからね」


「はん! 言っておくが、この子だって男だからな! 大きくなれば飲む打つ買うはするんだよ! ねー? 大きくなったら一緒にエロ本でも読みましょうね~?(ナデナデ)」


「ニコニコ」


「はあ? 何を言っているんですか?」


「な、なにをって……」


「スィーゼがそんなもの読むわけないでしょう(真顔)」


「……え?」


「だから、そんなものに興味なんて持たないと言っているんです(真剣)」


「な、何言ってんの? そ、そりゃあこの年じゃ読まないけど、大きくなったら」


「それは先輩の話でしょう、まったく、それでは本当に頼みますよ」


 と言いつつユニアは執務室を後にした。


「…………」


 本当に固い奴、まああれか、娘を溺愛する父親の様なものか、そもそも賭場で人間が駄目になるなんて迷信だ、ダメ人間が駄目の一環としてやるだけだなのだ。


 その証拠に……。


「いいね、お姉ちゃんの前でお馬さんを見ても興奮しちゃだめだよ」


「ニコニコ」


 うん、やっぱりこの子は頭のいい子だ、ちゃんと分かっているから大丈夫だと感じる。


 それはそうか。世界有数の頭脳が集まる修道院で兄は首席で妹は10位の恩賜勲章を受勲している2人を兄と姉を持つのだから。


 姉弟全員頭いいことを考えると血筋って本当にあるんだなぁって思う。


 しかしモストも自分の弟が俺と賭場で遊んでいると知ったらどんな顔をするのやら、まあいいや。


「さてと、そろそろか……」


 ここで執務室がノックする音がするから中に入れと促すと。


 リーケとデアンが入ってきた。


 2人は、入ってきた時、抱っこ紐で抱っこされているスィーゼを見つける。


「団長、その子かい? ユニアさんの弟でその年で既に男の浪漫を体現したってのは」


「ああ、既に大穴狙いで賭場で大金を稼いだ、まあそれはきっかけに過ぎないんだが」


 リーケとデアンはじーっと見る。


「なあ団長、なんとなくだけど」


「お前らも感じるか?」


「ああ、多分この子……」


「よし! 皆まで言うな! となれば後は確かめるだけだ!! じゃあ行こうぞ!! 戦いの舞台へ!!」


「「応!!」」


 ユニアに言われるまでもなく、元より今日は賭場に行く用事はない。


 ちなみにカリバスさんはあの後しっかりとメディにバレたらしくお仕置きを喰らったらしく、当分の間は駄目になったそうだ。


 なら今日は何処に行くのか。


「そう、アレはセクの合格者懇談会の時、それに乗じて、女の子と一緒におしゃべりできる店に行こうとワクワクしていた。だけど首席監督生なんてやらされてユサ教官には怒鳴られて始末書何枚も書かされて、モストのバカボンは相変わらずで」


「団長、話が」


「ごほん! そんなわけで俺達が行く店とは!!」


 説明しよう、首都で俺達が行こうとしていた店は、一見してただの飲食店なのだが、気に入ったお姉さんがいた場合は「公認ナンパ」が許されている店なのだ。


 もちろんナンパなので応じる応じないは店員の自由であるが、公認ナンパを許すと同時にナンパに応じてくれた女の子の飲食代は男が払うという仕組み。


 性的サービスを強要されるわけではなく、仕事内容はあくまで「飲食店の接客業」なので、美人揃い、上手くいけば文通が可能であり、お付き合いにまで発展した例も枚挙に暇がない。


「その2号店がマルスにオープンしてな! あそこも色々と手広くやっているからな!」


「団長、どう攻略するんだ?」


「ナンパが許されている店だからな、従業員もそっち目当ての子も多い、だからまずイケメンがモテる、そこまではいいな?」


「「コクリ」」


「同じぐらいモテるのが金持ちだ、当たり前だ、ナンパに成功したら一番高いメニューを注文すれば、当然にモテる。そして残念だが両方持っていない男はナンパに成功してもすぐに女の子は離れてしまう、そういう現実的なところも売りであるんだがな」


「だけど団長、俺達は金持ちには見えないと思うぜ」


「まあな、だから……」


 俺はスィーゼに視線をやる。


「この子を端緒にナンパするのさ(ドヤァ)」


「「おおーー!!」」


「女の子は赤ちゃんに弱いからな、その子を端緒に座らせればこっちもの! 前回の賭場で大もうけした金がまだまだ残っているからな! それを使って高い飲食を頼んで、そのまま文通ゲットだぜ!! なあスィーゼ!?」


「キャッキャッキャ!!」


「「よっしゃ!!」」


「でも、団長いいのか、こんな店を連れて行ったことをユニアさんにバレたら」


「バレるもなにも、そもそも喋れないからな、この子」


「それはそっかー!」


「「「HAHAHA!!」」」


「キャッキャッキャ!」



――マルス



「「「ウヒヒ」」」


 いやぁ、眼福眼福、っとと、当初の目的を達成しないといけないが。


「2人とも、今日のスポンサーはスィーゼだ、この子に選ばせるぞ」


「異議なし、だけど団長、さっきも言ったけど」


「うむ、ああ、やってみるぜ、さあスィーゼよ」


 スッ ←貧乳美人を見せる


「…………」←無表情


 スッ ←巨乳美人を見せる


「キャッキャッキャ!」


 スッ ←貧乳美人を見せる


「…………」←無表情


 スッ ←巨乳美人を見せる


「キャッキャッキャ!」


「団長! やっぱり!!」


「ああ! この子は俺と一緒だぜ! 巨乳派だ! というわけでおねーさん!!」


「あ、はーい……って、え?」


「キャッキャッキャ!」←巨乳美人に手を伸ばしている


「わぁ~、可愛いお客さん(ナデナデ)」


「お姉さん、どうやらこの子は貴方をご指名のようです、どうですか?(爽)」


「クスクス、はい、分かりました、こんなかわいい子からのご使命とあれば断るわけにはいきませんね」


「よっしゃ! こちらのお姉さんに高級つまみ1人前お願いね~」


「え? 大丈夫?」


「もちろん、この子と一緒に賭場に馬鹿勝ちしてね、幸運の神様なのだよ」


 感心するお姉さん、それを聞きつけて、わらわらと集まってくる女の子たち。


 結果俺達それぞれに巨乳美女3人が座ってくれたのであった。


 さあ皆さんご一緒に、せーの。


 ( ゜∀゜)o彡゜おっぱい!おっぱい!

 ( ゜∀゜)o彡゜おっぱい!おっぱい!



――神楽坂一行・レビュワー



リーケ「イケメンと金持ちがモテるという現実的なノリをどれだけ受け入れられるかによるかと思う。女の子達もそこは徹底してて相手にしてもらえない男は本当に相手にしてもらえない、だけど金を使って連絡先をゲットできたけど、一抹の寂しさを感じた。だけど美人だった! おっぱいだった!」


リーケ「んー6点かな」


デアン「俺は冴えないかもしれない、だが金持ちなら美人が相手にしてくれる。この割り切りがむしろ心地よく、相手にされなくてもリピーターが多いのが頷ける。今回は金のおかげで連絡先をゲットできた。んで美人だった! おっぱいだった!」


デアン「8点!」


神楽坂「何回も修羅場をくぐってきた俺でも、この一味違った今回の店は新鮮味があって楽しいの一言だった。現実的だからこそ夢を見れて希望が持てる、そこに向かって男はまい進するの。 え? 連絡先? 俺の周りにはもっといい女たちがいるから断ったよ、決して怖いとかじゃないから!!」


神楽坂「まあ8点としますか」



――翌日



 あの後、夜に戻ってきてスィーゼは疲れてしまったのかそのまま寝た。


 簡易ベッドで寝かせて一緒に寝て、朝飯を作ってあげて、すっかり仲良くなった。


 リーケもデアンも余りハマらずに楽しめればいいけど、繰り返すが俺は連絡先を好感してない、何回も言うが女性陣が怖いからではない、むしろ我が女性陣に失礼であるからだ、それは俺の名誉の為に重ねてもう一つおまけに重ねて申し上げておこう。


「キャッキャッキャ」


 スィーゼは相変わらず高速馬車の馬を見て興奮している。


 ちなみに今俺がここにいるのは、ウルティミスまで来れないからマルスまで来て欲しいとのことで、ここで待っているのだ。


 ちなみにユニアは、これを契機に乗馬を趣味にして白馬に乗せようと計画しているらしい、流石姉馬鹿。


 でもユニアには申し訳ないけど多分この子は、そんな感じじゃなくて、俺達寄り、イケメンに育つだろうから女泣かせになるのかー、羨ましいぞこいつめー。


「ニコニコ」


「っと、ほら、ユニアお姉ちゃんが来たよ」


「…………」←無表情


(おおー! 凄い! やっぱりだ! この年にして男の遊びを理解している! 流石原初の貴族の直系の1人!)


「うんうん、兄貴と違って君は大物になるぞ(ナデナデ)」


「ニコニコ」


「お疲れ様です!!」


 と息せき切って駆け寄ると早速とばかりにスィーゼを抱きしめる。


「よしよし、お姉ちゃんですよ、ごめんね相手にしてあげられなくて(頬ずり)」


「ウルウル」←俺に手を伸ばしている


「もう! 相変わらず私じゃなくて先輩に! まあいいです、ありがとうございました、粗相はしていないですか? 先輩が」


「しとらんわ、まったくもう、そういうところは兄貴そっくりだな」


「ギロッ!!」


「冗談ですよ!!」


「…………」←無言で俺を見るユニア


 スッ ←スィーゼに馬を見せる


「…………」←無表情


(あまいな! 男同士の約束だぜ!)


「ふむ、今回は連れて行かなかったみたいですね」


「まあな、そういう遊びは大きくなってからだと約束したんだよ、な?(ナデナデ)」


「ニコニコ」


「ですから、この子はそういうことをしないと何度も」


「へいへい……」


(ゲ!!!)


 心臓が飛び出しそうになるほどびっくりする、何故か。


 それは偶然にも昨日相手をしてもらった、お姉さんが通りかかったからで。


「キャッキャッキャ!!」←お姉さんに向かって手を伸ばしている


(ギギクゥゥ!!!)


「どど、どうしたの? 急に、え?」


 ユニアも手を伸ばした先のお姉さんとスィーゼを交互に見るが。


「…………」


 お姉さんは、一瞥して通り過ぎた。


(よし!! 流石プロ!! こういう時は話しかけてはならないと分かっている!!)


 よかった、すげーホッとした、今度は何も言わないぜ、人は成長する生き物さ、沈黙は金なり。


「ビエエエ!!」←泣いている


「っ」←ピタっと止まるお姉さん


「ビエエエ!!」


「…………」


「ビエエエ!!」


「ああもう!!」


 お姉さんは近づいてくるとスィーゼの頭を撫でる。


「ニコニコ」


「もう、こんな小さくて可愛いのに、女の扱い方を心得ているのね」


「あ、あの、失礼ですが、どちら様ですか?」


「はい、昨日、お連れさんと一緒にウチの店に来てこの子に指名されたんです。この子凄いんですよ、賭場で大穴あてたみたいで、そのお金で豪遊したんです、それにとってもハンサムですよね、将来女泣かせの大物になりますね」


「…………」


「じゃあね、ハンサムさん、また来てね」


「ニコニコ」


 とお互いに手を振りながら後にしたのだった。


「ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!!!!」


 とギギギと振り返った先……。


 そこには誰もいなかった。



――後日・駐在官詰所



「あら? 神楽坂様は?」←ウィズ


「ああ、先輩ですか…、ちょっとした人事異動でレギオンの憲兵本部へ行きました、憲兵本部の留置場というところで三か月ほどの勤務についています」←ユニア




第3話:男の浪漫!!!!!!の巻




――自警団詰所


 男の遊びは飲む打つ買う。


「とはいえ流石に飲むは駄目だよな、アルコールは体に毒、乳飲み子にはもってのほか、体はもちろん情操教育にもよくない、というわけで」


 抱っこ紐のスィーゼに話しかける。


「というわけで分かった? 綺麗な女の人を見てもお姉ちゃんの前で興奮するのは駄目だよ?」


「ニコニコ」


「よし! さてと……」


 俺は自警団員達に向き直る。


「このスィーゼは、まだ乳飲み子なのにギャンブルで馬鹿勝ちするわ、店ではナンバー1の巨乳美人お姉さんを口説き落とし、男の浪漫を理解し、しかも顔もいいというまさに傑物である」


「だが諸君、その理屈は所詮男だけで通用する理屈、ギャンブルも女遊びも、女は嫌う、これは当たり前のことだ」


「当然、ユニアにはお仕置きされた、この1週間、3倍の書類をかかされて死ぬかと思った……」



「だから俺はもう懲りたよ……」



 ここで項垂れる。



「団長、いいのかよ……」

「そうだよ! いいのかよ!」

「年は乳飲み子かもしれないけどさ!」

「そうだよ! 団長さ! つまりさ!!」



「この子は、もう仲間じゃないか!! 違うのかよ!!!」



「!!!!」


 仲間。


 そうだ、仲間だ、仲間じゃないか。


 (´;ω;`)ブワッ ←神楽坂


「そ、そうだ、お、俺は、女性陣が怖いからって、なんて馬鹿なことを考えていたんだ!!」


「「「「「団長!!!」」」」」


「スィーゼ!!」


「キャッキャッキャ!!」


「おお、お前も喜んでくれるか、ごめんな、俺が臆病なばかりに、だったらさ、いいか、スィーゼ? お前の金で、最後の花火、自警団全員で打ちあげていいか?」


「コクリ」←頷く


「よし!!」


 俺はバンと両手を広げる。



「エロいことが好きな奴!! 気持ちいいことが好きな奴!! 全員まとめて!! 出てこいや!!」



「スケベは好きですかー!?」


「「「「「すきだーー!!!!」」」」」


「お子さんのお元気ですかー!?」


「「「「「げんきだーー!!!!」」」」」



「「「「「さあ!! 盛り上がっていくぞおぉぉぉ!!!」」」」」



 とムーラムーラモンモンモン♪と鼻歌を歌いながらばかりに意気揚々と戦いの舞台へ赴く戦士たち。


 その先でユニア達一同女性陣がまとめて出てこられた神楽坂一行。


 責は全て団長が取るという漢気を発揮し、簀巻きにされて引きずられる姿は死刑囚が刑場へ連行されているかのようであった。


 だがその顔は一片の悔いなしとばかりに晴れ晴れとしていた。



 そしてそれが、男の浪漫団たちが見た神楽坂の最期の姿であった。



 ここでブツッと映像が途切れた。



――



「ふむ……」



 アーティファクトを手に取ってしげしげと眺めるユニア。


「相変わらずの性能ですね、ねえ」



「皆様方」



 ユニアの後ろに控えていた女性陣一同は無言で頷くとアーティファクトを机に置き、執務室を後にしたのであった。



:おしまい:



 アニメ:異種族レビュアーズ。


 題材が100%男向けに振り切っている清々しさ、それでいてちゃんと丁寧に話も組み立ててあって、ギャグも面白い、毎回笑わせてもらっているし、ハナビラ音頭は聞いていると凄く元気が出てくる。落語で例えるのならまさに現代の「廓話」といっても過言ではない。


 10点です!



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