Stalking.
洗濯機の上にあるのは
どこにだってあるような
お堅い表紙の本が一冊
いつだってどこだって
僕の背中についてきて
いつだってどこだって
僕のカバンに入ってる
表紙が意外と黒塗りで
入っているのは十字のイラスト
十年来の付き合いで
どこかの誰かが呟いた
見慣れた言葉で書いてある
少し揺れると
洗濯機の中に落ちていって
知らない間に服に染みて
そうして僕を守るのか
それとも僕を縛るのか
水を差す前にいつも気付くのが
せめてもの救いだといいたいけれど
出会いなんて一度で充分
手を繋ぐのは二度で充分
一糸まとわぬ姿の僕が
その本にだけ手を伸ばし
産まれたままの姿の僕が
その本に何かを求め
読み終わったページのしおりは
見飽きた背徳感で出来上がり
蛇のデザインが浮いていた
ありがとうございました。