自分のスキル確認とおいしい料理。
部屋の中は、ベッドと小さめのテーブル、椅子があるだけだった。とりあえず、ベッドに腰掛けみたが、フローリングにダンボールをひいた感じだ。・・・、固いけど、寝れないことはなさそうだ。砂利の上で、寝るのに比べれば、いい方だろう。
うーん、ちょうど一人だし、現状の整理をしてみるか。
可能性は、3つか。
夢、ゲームの世界、現実で異世界にいる、だな。
いや、ゲームの世界と現実で異世界は、同じと考えてると、現実でゲーム中の設定が、生きてる異世界て感じで、2つか。
どちらにしても死ぬことは、回避すべきだろう。死んで、目が覚めるか、そのまま死ぬかの2択なら、試すわけにもいかない。
ゲームの設定が、生きてるなら、スキルポイントの振り分けが、あるはずなんだけど、どうやって見るんだ。
「・・・、スキルオープン。」
何も起こらないか。
「ステータスオープン。」
あっ、なんか出た。半透明なボードに文字が書いてある。なるほど、この辺りは、ゲーム感覚ってことか。
で、書いてあることは、
名前 :ユウ ヤマシタ
歳 :15歳
個人スキル :ウィンドウオープン
獲得スキルポイント操作
職業 :無職Lv2
スキルポイント:61
職業スキル :職業自由選択変更
スキル :短剣術Lv1
俺のステータスか。ゲームで、設定した歳と職業になってる。
・・・、そう言えば、本や漫画なら、こういう時、チート使用になるはずだけど、これって、チート仕様なのか?個人スキルって、ステータスが見えることと獲得スキルポイント操作、ポイントの割り振りができることだろうけど。
微妙じゃねぇ。
あっ、でも、スキルで、手ごろなポイントで、いいのが、あればそうでもないか。
まずは、習得できるスキルの確認をして、厳選するか。
「コンコン、コンコン」
「はい。」
「ユウ、ご飯に行くよ。」
「あっ、ディアナ。すぐに出るよ。」
スキルについては、後で、詰めよう。
部屋を出るとディアナは、すでに階段を下りているところだった。
俺は、慌てて、ディアナの後を追った。
追いついた時には、ディアナは、席についていた。俺は、ディアナの向いに座った。
食堂は、食事や酒を思い思いに楽しんでいる人で、9割りほど埋まっている。
俺が、珍しそうに回りを見ていると
「ユウ、料理は、私と同じでいい。」
「あっ、うん。お願いします。」
注文を取りに来ていた、女性に注文をしてくれた。
あれ、ディアナが、さっきより綺麗に見える。
「うん、どうしたの?私、何か変?」
「変なんかじゃなくて、ディアナが、さっきより綺麗になってるから。」
「湯あみをして、埃とか落としたからだよ。」
あれ、ディアナが、照れてない。態勢が、ついたのか。・・・、でもないか。耳が赤い。
「うん、ディアナ、俺の顔なんかついてる?」
ディアナを観察していた俺をいつのまにか、ディアナが、凝視していた。
「ついてないけど、なんか、悪だくみをしてるように見えた気がしたから。」
「おー、ディアナ、勘がいいな。」
「・・・、してたんだ。まあ、聞いたらまた疲れそうだから、聞かないけど。」
「それは、残念。」
「おぅ、姉ちゃん。そんな、冴えないガキと一緒にいないで、俺らと楽しくしようや。」
「ディアナ、そう言えば、明日からの予定って、どんな感じなんだ。」
「うーんと、私が、町から受けてるクエストをこなしながら、基本知識と戦い方を学んでもらう感じだよ。」
「結構、ざっくりしてるんだな。」
「まあね。私も一人で、教えるのは、はじめてだから。」
「へー、そうだったのか。その割に、「おい!無視してんじゃねえぞ。」なれてるな。」
と俺は、無視し続けようとしたんだけど、テーブルを乱暴に殴ったためか、ディアナが、酔っ払いAに視線を向けていた。ちょっと、殺気付きで。
おっさんの視線は、ここにきて、ほぼディアナの胸か顔しか見ていない。俺は、眼中にない。まあ、当然だろう。
「はー、相手にしないってサインなんだあきらめなよ。おっさん。」
「ガキは、黙ってろ。痛い目に、あいたくないならな。」
いつもの俺なら、危ないことには、関わらないようにするんだけど(ゴブリンとの戦闘をしといて、今さらだけど。)ここにきて、ちょっと性格変わったのか。ただ、このおっさんにディアナを渡したくないってだけの独占欲か。まあ、どっちでもいいか。
「3流の悪党が、言うセリフを簡単に言えるおっさんに、そんなこと言われてもな。」
「はっ、ガキが、いきがるな。」
と言うなり、俺の胸倉を乱暴につかんできた。後、顔が近いので、勘弁してほしい。
ちょっと、嫌な顔をしてると調子づいたのか、おっさんが、ディアナの方を向いて、
「こんな、口だけのガキより、俺らのとこに来いよ。なんなら、これからパーティーを組んでもいいぜ。」
あっ、ちょっと離れた席から、歓声が、上がってる。どうも、お仲間のようだ。
「あー、たぶん、おっさんの言う通り、俺は、おっさんよりも弱いだろうし、たぶん、相棒よりも弱いよ。でもなそんな些細なことで、今、引くわけないだろう。おっさんたち、馬鹿だろ?」
「あん、なんだと。」
「うーん、だから、おっさんたち、馬鹿で、理解力なぁ。」
最後まで、言う前に、床に叩きつけられた。一瞬、息ができない衝撃だ。結構、痛いな。
追撃が、来ると思って、体を丸めたが、・・・、いつまで、たっても来なかった。
顔を上げてみるとナイフをおっさんの喉元に手前で、止めた状態で、ディアナが、おっさんを睨みつけていた。
離れた席のおっさんの仲間が、席を立とうとしたとき、女将さんが、俺たちのテーブルに料理を持ってきた。
「喧嘩は、そこまでにしな。飯が、冷めちまう。それともまだ、やるっていうなら、外でやりな。他のお客様に迷惑だ。それとあんた、ナンパ失敗して、暴れるなら、私たちが、相手になるよ。」
ディアナ以上の殺気で、女将さんが、静かに言った。
それを聞いたディアナは、ナイフをしまって、何事もなかったかのように席についた。
俺もちょっと背中が、痛いが、それに見習った。
「ちっ。」
おっさんたちは、何か言いたそうな顔をしながら、結局、店を出て行った。
「ディアナ、よく我慢したね。ユウ、弱いけど男だったよ。」
「ごめんなさい、女将さん。」
「ディアナ、ここで、暴れたことあるの?」
「えっ!」
二人が、この場面で、それを聞くか!?って顔をしている。
「まあ、そのね。」
「ははは、ユウは、変な奴だね。」
「えー、そんなことないよ。」
女将さんの笑い声で、静まりかえっていた食堂が、息を吹き返したかのように、話し声や笑い声が、生まれた。
「女将さん、これマスターが、ユウさんにって言ってました。」
「へー、珍しいもんだね。ユウ、あの人に、すぐに気に入られるなんて、よかったね。」
「マスター?あの人?」
ディアナが、バーカウンターの方をちらっと見て。
「カウンターの中で、コップを磨いてる人だよ。女将さんの旦那さん。」
・・・、バーテンダーみたいな人がいた。影薄いよ。
「ほら、あの人からだ。食べな。」
肉を香草焼きしたものを女将さんが、テーブルに置いてくれた。
その前に女将さんが、置いた料理は、コーンスープみたいな色のスープとパン、野菜と肉の炒め物。おいしそうな匂いが、食欲を誘う。
ディアナが、切り分けてくれていた香草肉をさっそく食べてみる、鶏肉と同じ味だった。
「おいしい。」
他の料理も食べてみると、コーンスープみたいな色のスープは、コーンスープと同じだ。野菜炒めの肉の味は、豚肉だった。野菜は、よくわからないけど。
「どれも美味しい。」
「ありがとうよ。そんなに、おいしそうに食べてもらえると作る方としては、嬉しいね。」
「でしょ。ここの料理は、大きい街でも負けないおいしさなんだよ。パンなんて、銀貨1枚のパンと比べても遜色ないんだよ。」
「ははは、ディアナにそこまで、言ってもらえると嬉しいね。パンをサービスしとくね。」
「ありがとう、女将さん。」
食事も終わり、部屋に戻ってきた。
あの後は、問題もなくおいしい食事を堪能できた。ディアナも始終ニコニコしてて、なんか俺もすごくうれしい気分になれた。食事は、やっぱり偉大だな。
このまま、眠ってしまいたいところだけど、スキルをまだ、設定できていないから、しておかないと。
死を回避するために、出来ることは、しとかないと。
そう言えば、さっきの絡んできてたのは、冒険者なのかな?外に出て行ってたけど。
・・・、注意は、しといたほうがいいだろう。