冒険者見習い登録?
見習い登録ってことで、今、ウルさんから記入用紙をもらったんだけど、困ったことに、読めるのに書けないという不思議な感じになっている。意味不明な文字のはずなのに、どうしたものか。
とりあえず、一通り用紙を確認して、顔をあげるとディアナとウルさんが、俺を見ていた。じっ、と見られてると思うと結構、恥ずかしいな。
「えっと、二人ともどうしたんだ。」
「あっ、ごめんなさい。ユウさん、用紙を普通に受け取ったから、記憶喪失でも、読み書き出来るんだと思って。」
「そうそう、私もウルと同じよ。」
「あー、何も考えてずに、受け取った。読めるんだけど、書けない。」
「・・・、ユウさん、かわってますね。」
「・・・、ユウらしいね。」
「二人とも褒めてないだろうけど、ありがとう。ウルさん、書けないときは、どうしたらいいの?」
「はい、そのときは、私が、代筆するので、大丈夫ですよ。」
「ありがとう。ついでに、手が空いてるときに、文字の書き方を教えてもらえると助かるんだけど。」
「はい、いいですよ。」
「ウル、駄目よ。」
「えっ、ディアナさん、どうしてです。」
「そうだ、ディアナ。自分が、教えてって、言ってもらえないからって意地悪するなよ。」
「ユウ、何か言った。」
「いえ、何も。」
ディアナ、柄に手をやった状態で、殺気を出しながら聞かれたら、何も言えるわけないじゃないか。
「ディアナさん、落ち着いて。」
「ふー、大丈夫よ、ウル。話を戻すけど、教えるならお金をもらないと駄目よ。ウルだって、文字を覚えるのに、色々と苦労したでしょ。」
「あっ、はい、お父さんが、色々と頑張ってくれました。」
「ね。私もユウには、冒険者でも、ちゃんと文字を書けたほうが、いいと思うけど、タダで、それを手に入れるのは、よくないと思うよ。今後の糧にするものなんだからね。」
「あー、うん。ディアナの言う通りだな。」
「でも、私は、別にお金は、・・・。」
「うん、ウルさんの気持ちは、ありがたいと思う。でも、ウルさんが、手に入れ知識は、ウルさんの頑張りと親御さんのお金から手に入れてるって、言うのもあるけど、ディアナの言う通り、甘えすぎるのも良くないかなと思うから。」
「ユウさんもそう言うなら。でも、金額は、私に決めさせてください。」
「うん、ウルさんに任せるよ。よろしくお願いします。」
「はい、教えるのは、いつとか決めないほうが、いいと思いますから、ユウさんの手が空いてるときに、ギルドに来ていただけくということで、いいですか。」
「うん、俺もそのほうが、気楽でいいな。」
「気楽にするのは、いいけどちゃんと覚えないとダメだよ。」
「もちろんだよ。あっ、でも、ウルさんと2人で勉強出来るなら、長引いてもいいかな。」
「ユウ、素直な欲望を言うのは、ほどほどにしたほうがいいよ。ウルが、照れてるよ。」
「えっ、あっ、ウルさん、ごめん。」
「だっ、大丈夫です。そ、それに、用紙も書けました。」
おっ、ウルさん話をそらした。顔は、赤いけど。
「後は、ギルドカードを発行したら終わりね。」
「はい、ちょっと待っててください。・・・、あれ?」
「どうしたの、ウル?」
「発行用のギルドカードが、ありません。」
「へっ。」
「うん?」
「支部長!!・・・、今日、お休み。どうしよう。」
おー、ウルさん見事にうろたえてるな。
「ディアナ、ギルドカードって、どんなやつなの?」
「えっ、あー、ギルドカードね。」
うろたえてるウルさんを見ながら、俺に返答するとディアナは、自分の首にかかっているドッグタグを見せてくれた。
「これが、ギルドカードよ。これに、自分の名前と職業、スキルが記録されてるんだよ。後、それを自分の意志で、人に見せることも出来よ。」
「へー、そうなんだ。便利なものだな。・・・、ウルさん、今回の登録は、どんなことをする予定だったの?」
「・・・、あっ、はい。今回、ユウさんは、ギルドカードに登録以外は、職業を”冒険者見習い”に変更と今のスキル確認です。」
「うーん、なら今日じゃなくても、大丈夫じゃない。もしスキルで、合格ラインに今、いたとしてもディアナは、見習いを卒業なんてさせないよ。」
「うん、もちろん。今のユウを冒険者に出来なよ。」
「と言うことなんで、カードは、来た時に、発行してくれたらいいよ。」
「あっ、ありがとうございます。」
「気にしない、気にしない。それに、ウルさんのミスと言うよりも上司のミスみたいだし。」
「いえ、そんなことは。」
「ウル、かばう必要はないよ。あいつが、仕事してないのが悪いんだから。」
あれ、珍しいな。ディアナが、今は、いない嫌なやつを見るような目をしてる。
ウルさんは、苦笑いで、返してるのもはじめてみた。
支部長って、どんなやつなんだろう。