5.突然来訪
この小説は「五分以内で読める」を目安に作っております。
ナイン達が側近達の話をしていると中庭に突然、十人程の人間が現れた。
ナインがただ一人驚いている中魔王はまたかっと呆れ、フチーレは平然とした顔をしている。
「魔王を倒してたんまり報酬は頂くぜ」
人間の一人が喋ると武器を構えた全員が一歩一歩、徐々に距離を縮める。
戦闘は避けられないと感じたナインは袖口に隠し持っていたナイフを取り出し構えると魔王を庇う様に一歩前に出る。
「魔王様は下がっててください!」
「おっ!凄く頼もしい。何時も見てる光景とは大違い…」
魔王は横に居るフチーレに目をやると、上着のポケットに両手を突っ込みながら魔王を睨んでいるフチーレが目に入る。
その威圧的なオーラに睨まれた魔王は、まさに蛇に睨まれた蛙の気分を味わった。
身を縮こませた魔王を見たフチーレは深い溜息を着く。
そんなやりとりをしている中、ナインと人間達の間合いは徐々に距離を縮めていた。
「魔王を大人しく差し出せば命だけは助けてやるよ」
「誰が!」
魔王を差し出した所で助けてもらえる筈も無いとわかっていたナインは直ぐに否定する。
元々差し出す気も無かったが。
「じゃあテメェから倒してやらぁ!」
人間の一人がナインに飛び掛かり剣を振り上げると、ナインも応戦しようとナイフを振るおうとしたその時…。
パァァン
ナインが驚く間も無く飛び掛かってきていた人間は空中で剣を手放し地面に倒れる。
自分の後ろでカランっと何かが落ちて地面とぶつかる音を立てるのを聞くと、ナインは目を見開いたまま振り返る。
其処には足元に一つの薬莢が落ちていて、リボルバーを一つ両手で構え人間達に鋭い眼差しを向けているフチーレが居た。