3.城の仕組み
前回の投稿から一週間ぐらいあけてしまい申し訳ありません。
後、今回からちょっとだけ長くなります。
フチーレに案内されたナインが次に訪れた場所は花などの植物が豊かに生え、大きな噴水から庭全体に張り巡らせた水路が流れる綺麗な中庭だった。
其処にもお仕事ゴーレムが草刈りなどにせいを出していた。
「此処は魔王様のお気に入りでな、この城で一番綺麗な場所だ」
「へぇ…」
あまりの綺麗な庭にナインは声を失う。
フチーレの言葉がちゃんと入ったのかわからない曖昧な返事を返したナインに突然後ろから声が掛かる。
「やぁ、案内中?」
「うわぁ!ま、魔王様⁉︎」
驚いて後ろを振り返ると、ヤッホーっと手を振る魔王。
庭に見惚れていて居ることに気付かなかったナインは魔王に対して直角に腰を曲げて謝ると、魔王は気にしてないよって手で制する。
「ところで魔王様」
「ん?何?」
驚いたナインとは対照的に至って冷静なフチーレは会話が終わったのを見計らって魔王に声を掛けるとズイッと詰め寄った。
「此処に居るって事は政務は終わったんですよね」
「えっ…そ、それは…」
「終わったんですよね」
有無を言わせない様な笑顔で詰め寄って来るフチーレに魔王は何も言えない状況に、唖然としてナインはその様子を見守っていた。
「そっ、そうだ!まだフチーレ達の事は紹介してないよね⁉︎」
「えっ⁉︎あっ、はい」
突然話を振られ勢いに任せて戸惑いながらナインは返事をする。
チッ、逃げやがったっとフチーレからそんな声が聞こえたが、魔王はそのまま話を続ける為ナインもその声には触れなかった。
と、言うより触れてはいけないと本能で悟った。
「まずはこの城の仕組みだけど、この城の階級は魔王を頂点としてピラミッド型になってるんだ」
ナインは頭の中でピラミッドを作り一番上に魔王を思い浮かべた。
「で、一番下が君ね」
今度はピラミッドの一番下に自分を置くが、魔王の時とは違いナインは少し複雑な気分になる。
「二番目は初めて会った時にフチーレと同じくスーツを着ていたセグで、四番目が忍び装束を着ていたエペね。で、三番目がフチーレ」
またピラミッドに段を追加して初めて聞いた先輩達の名前に少し嬉しい気分になる。
しかし、此処で疑問が生まれナインは恐る恐る問い掛けた。
「あの…何で五段階しか無いんですか?」
「何でって、この五人しか城に人が居ないからだろ。あっ、魔族か」
「えぇ⁉︎」
問いに応えたフチーレの返答に驚きの声を上げるナイン。
よくよく考えると確かに初めて会った時も四人しかその場には居なかったのと、城の中を歩いていてもゴーレム以外、人と言える人に出会うことが無かった事を思い出すと信じる他無かった。
それと同時にこんな少ない人数で城は大丈夫なのだろうかという不安も湧き上がってるのには誰も気付かない。