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ファッション好きの悪役令嬢

悪役令嬢はファッションの道を行く2

作者: イーコ

前編が短編であげてあります。

 ここは薔薇革命という乙女ゲームの中、前日に私は婚約者と縁を切り、赤薔薇の館で働く使用人たちに、「この家にはもうお金はありません」と宣言して、順次出て行ってもらうことにした。

 朝、起きたら、金目のものが無くなり、使用人もいなくなってました。

 幸いお金は部屋の中の金庫にしまっていたから良いけど、銀食器とか、高そうな絵とか全て盗まれているんですけど、ああ……絨毯もなくなっているよ。

 トイレの紙もねーよ。

 歯磨き粉もねーよ。

 靴べらすらねーよ。

 ……もういい、とりあえず動こう。

 私には色々とやりたいことがあった。


 私は庶民の格好になり、市場へと出かけた。乙女ゲーの主人公を操っていた時に、通いなれた場所なのでだいたいの地理関係は頭に叩き込まれている。それに元々ミレディと言うキャラクターが頭がいいためか、前世の時と比べ物にならないくらいに頭が冴えていた。

 実を言うと、このゲームには無いものを開発しようと思っていた。キルヒアイスとの賭け事をしている時から、この世界に違和感があったので散々考えていたら、この世界にはないものがわかった。

 それは、レースだ。

 いたるところを見ても、レースは無かった。

 そこで私の灰色の脳細胞が、昔読んだ本の記憶を掘り返した。

 レースは魚網から発達、ガーゼを経て、隙間のある織物、編み物、刺繍が作られたとされる。糸と空気で編むと言われており、下着の飾りなんかにも使われていた。

 それを開発してみようかと思っていた。


 と言うわけで、街一番の占い師を尋ねる事にした。

 探し物があるときは、占い師に聞くのが一番だ。

 市場の裏道に入ると、水晶を前に二百キロぐらいの巨体の女性がいた。

「マーブさん、お久し振り」

 ミレディはゲーム内で恋占いをマーブに頻繁に頼んでいたので、顔見知りのはずだ。

「おや……今日は様子が違うわね。何を占って貰いたいんだい?」

「腕の良い職人を探しているの」

 マーブは水晶に腕のいい職人を映したが、オッサンだったので却下した。

「若い男が良いなぁ」

「お前さん、随分物言いがストレートになったね」

「我慢は良くないわ。美貌にも、健康にも、人生にもね」

 マーブが次に映し出したのは、ウェアキャットの少年だった。銀色の毛並みをしており、耳と尻尾が愛らしく動いている。まだ声変わりをしていないような少年だった。

「可愛いわね。この子は何処にいるの?」

「ああ……この子は奴隷市場で競売にかけ……」

 私はマーブにお金を渡して、奴隷市場へと向った。案の定、ウェアキャットの少年は高値で競売をされようとしていた。金を吊り上げているのは涎をたらした有閑マダムどもだ。

 あの少年に何をしようと言うのか。

 私が助けてやろう。

 ただし、金は百倍返しを要求する。


 私は並み居る強豪たちを押し退けて、キルヒアイスから奪った金でウェアキャットの少年を奪い取った。

 名前はアルスと言うそうだ。

 色目を使う有閑マダムたちの視線から意気揚々と去り、台風一過のような館へ戻ってきた。

「私の名前はミレディよ。よろしくね、アルス」

「は、はい! お嬢様」

「さっそくだけどやってもらいたいことがあるの」

「はい、お嬢様、ご自由にどうぞ」

 アルスはもろ肌に服を脱いだ。


 ……パンチ!


「私が求めているのは、そんな小さな小さな快楽じゃなくて、もってデカイデカイ大金をせしめることなのよ。分かった? 世のなか金よ。あんたも良い暮らしがしたかったら、もっと生産的なことに力を注ぎなさい」

「分かりました。お嬢様、万歳!」


 その日から、アルスとレース作りの日々が始まった。アルスの服飾職人として腕はそこそこだったが、何せ概念に無いことをさせようとしたので難儀した。しかし、一週間後にそれは完成した。

 下着を何着かと、宣伝用のレースの扇である。

「完成しました。お嬢様、万歳!」

「わざとらしいから、その万歳は止めて。さーて、ではこの扇を使いながら街を練り歩きましょうかね」


 物珍しい扇は所々で尋ねられた。

 どこで買ったの?

 どこで売っているの?


 数日間、宣伝を続けていると、意外な人が尋ねてきた。

「おぬしが作ったと聞いたのじゃが」

 おっと……乙女ゲーのなかでも傍若無人と知られるお姫様がやってきたよ。

 アルスが執事らしく、お姫様を丁寧に案内した。

「これですか」

「……くれ」

「試作品ですので」

「……私が持っていれば、宣伝になるぞ」

 それは一理あった。ここは利用する手もあるわね。

「これなんかいかがでしょうか」

 私はレースの下着を見せた。

 姫様に何か衝撃が走ったように見えた。

「な、なんじゃこれは。透けとるではないか!」

「ええ、女の魅力が爆発です」

「……しかしのう。いくらなんでも」

「残念ですね。この国で誰もつけていない、流行の最先端ですのに」

「……やっぱりくれ」

「いやー、制作費もありますので」

「分かった。いくらじゃ?」

 とりあえず、アルスの人件費をふんだくりました。

 その後、扇のほうを舞踏会で色々な婦人に見せたことで、レースの扇の注文が殺到した。とりあえず、従業員は一人だけど、私のファッションブランドは最初の軌道に乗ることに成功した。

3もあります

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[一言] レースの奥義の注文が殺到した。とりあえず、従業員は一人だけど、私のファッションブランドは最初の軌道に乗ることに成功した。 奥義w
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