湯
俺たちは日々の疲れを癒すために、かなり遠くにある所謂、秘境温泉に訪れていた。
「ようこそおいでくださいました。4名様ですね。ごゆっくりどうぞ。」
綺麗な女将さんの営業スマイルに
(営業スマイルって実在するんだなぁ)
とヒキコモリ全開なことを考えていると
「ユウくん、鼻の下」
仲間のメルサ(王女)に注意されてしまった。気を付けなくては。
我に戻って見ると、それはもう負のオーラが見えるんじゃないかってくらいに睨んでるやつがいた。ユニ(幼馴染み)だ。
居心地が悪くなってきたので、オレはそそくさと、温泉に逃げ込む。戦略的撤退ってやつだな。うん。
ところ変わって、浴槽。露天風呂が設けてあり、美しい景色を見ながら入浴することができる。
「ふぅ…」
やはり俺には日本人の血が流れているだけあって、温かいお湯に浸かるというのは心が休まる。
「その無駄にでっかい胸には何が詰まっているのかな…?」
「え?何が?」
「ユニ、素直に負けを認めるです。」
「だって~」
あっち側の声さえ聞こえなければ、な。
「ユウさんは見てはいけないのです。」
あと、ここが混浴じゃなければきっともっとくつろげただろう。
僕が女の子が苦手という訳ではないのだが一般的に考えて、女性と一緒に風呂に入るなんて機会は普通は無いので、ドキドキしてしまうのは、仕方ないことなはずなのでである。
少し説明的になりすぎてしまった。