表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教室 ~いじめ~  作者: 青木ユイ
暮羽編
93/109

泊まったる!

先週お休みさせていただきました。

ご迷惑おかけしました。

かわりに、二話連続更新させていただきます。

 希望としばらく談笑したあと、あたしは再び自分の宿泊先を決定するために話を振った。


「純香ちゃんちは、あたし泊まれるかな?」


「は?」


 めっちゃ嫌そうな顔をされた。そりゃあそうだ。

 なぜって、あたしと純香ちゃんは初対面。いくら友だちの友だちだからって、初対面の人を家に泊めるなんてしたくないだろう。

 それに、家のことだってある。ご両親が許してくれるとは限らないし。でも、帰れないしなあ……。

 空はもう暗くなってきている。今から帰るとどれくらいかかるだろう。

 お母さんはきっと心配しているだろうけど、でも、ここであっさり認めてはいそうですかって帰るわけにはいかないわけなのだよ。


「ありえないでしょ、無理」


 純香ちゃんははっきりとそう言った。もしやこの子、毒舌キャラってやつ?


「あのね、暮羽」


「う、うん」


 希望がガチな顔でそう言ってきたから、あたしは心構えして返事をした。怖い。何を言われるんだろう。

 しかし、心配するあたしに希望はありがたいことを言った。


「純香ちゃんの家に泊めてあげる」


「ありがと……え? 純香ちゃん?」


 純香ちゃんの方をふと見ると、険しい顔をした純香ちゃん(まさに獲物を狙うマンモスのようだ)が立っていた。そ、そんなに睨まなくってもいいでしょうが……。



「なんでいらないこと言うわけ!?」


「だ、だって、暮羽を今から帰すなんて、そんな惨いことできないよ!」


「だからって、なんで私の家なわけ!?」


「だって、あたしの家は純香ちゃんの家だもん……」


 二人の口論。あれ? と、あたしは思った。

 希望の家は純香ちゃんの家? ああ、そうか。希望が一人暮らしなんて、無理だもんね。泊まらせてもらってるのか……って、んん?


「ちょっと待って。ということは、あたしが仮に純香ちゃんの家に泊まるとしたら、希望もいるわけ?」


「うん、そうだけど」


 希望はさらっとうなずいた。それを先に言ってくれればいいのに。


「なら、泊まりたい。ううん、泊まる! 泊まらせて純香ちゃん!」


「ええ!?」


 純香ちゃん、すごい迷惑そう。だけどここで引き下がるわけにはいかない! ここで断られたら、お先真っ暗ってやつだよ!

 だって、純香ちゃんと希望の家でしょ? つまり、三人でお泊り会! 楽しそう!

 あたし、お泊り会ってやつやってみたかったんだよね。前までは周りには異常な友達しかいなかったからさ。希望以外。

 で、希望もしょっちゅう引越しやら転勤やらで忙しそうだったし。だから、泊まらせてもらうことはなかったね。あたしも、お母さんがダメっていうから泊めさせてあげることもなかったし。


「……でも、アイツ・・・がなあ……」


 純香ちゃんは、眉を寄せて考え込んでいた。アイツって、誰のことだろう?


「うーん、まあ、希望もいるしいいかな。私は嫌だけど、アイツが許せば仕方ないか……。そうじゃないと、希望に言い訳できないしな」


 純香ちゃんは独り言なのだろうか、ぶつぶつと小声で言ってからあたしに向き直った。


「いいよ、おかーさんが許せば泊めてあげる」


「あ、ありがとう……」


 ところで純香ちゃん、言葉と表情があってないよ? だからさあ……。

 ――――すっごい嫌そうな顔するの、やめてほしいんですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ