お揃いのストラップ
ジャンルがいじめなのに、キャラクターみんな活き活きとしている……何故だ……
なんかとっくにいじめって感じじゃなくなってますが、それでも言い方はこれからもお付き合いください。
というか、どうやったら完結できるのでしょうか……
この子たちの物語、終わりそうにありません。
季節とかがごっちゃになってきたので、そろそろちゃんと見直して修正していこうと思います
前の方の話も多少変更することがありますので、なんかよく分からなくなったらちょっと話振りかえってみてくださると、変更点が見つかるかもしれません。
一応今は夏だそうです。7月くらいってことにしておきます。
分かりにくくて本当にすみません……
今回は2700文字くらいあります。
久しぶりに長めです(^^)v
前書き長くてごめんなさい。
もう始まります↓
「ねーねー、これいいんじゃない?」
「でも、これ、三色しかないじゃん」
あたしたちは、わいわいとはしゃぎながらお揃いのストラップを探していた。できれば四色以上のがいいから、結構必死で探す。あたし的には、緑っぽいのがあったらいいんだけどなぁ……。
「あ! みんな見て!」
鈴音が大声て叫んだ。迷惑そうに他の客が振り返る。そしてそれが友だちと遊びにきたであろう中学生であることを確認すると、最近の子は、というように顔をしかめた。
そんな顔しなくてもいいじゃない。あたしはそう思った。けど、まあ、迷惑だったのかもしれない。すすす、と静かめに鈴音のもとに寄ると、彼女の手には四色のストラップが並んでいた。
「おお! 鈴音ナイス!」
「これにしよー!」
唯愛と万実は喜んでいた。けど、あたしはあまり納得いかなかった。
鈴音が持っていたストラップの中に、緑はなかったのだ。ピンク、水色、黄色、紫。四色もあるってのに、緑がなかったんだ。
おかしい! と屁理屈を心の中で並べる。なんでよりによって緑がないわけ? 緑は結構好きな子多いと思うけど!?
でも、そんな文句、友だちには言えない。そんなくだらないこと言って、心の狭い子だとか思われたらたまったもんじゃない。だから、言えない。
「暮羽は? これでいい?」
鈴音が四つのストラップを指に引っ掛けて見せてくる。一応確認はとってくれる。だけど、ここであたしが嫌だなんて、言えるわけないんです。
「いいよ、それで」
作り笑いを顔にひっつけて、あたしはうなずいた。
色は、ピンクが鈴音、水色が唯愛、黄色が万実、紫があたしになった。緑じゃないのなら水色が良かったんだけど、唯愛が水色を好きなことは知ってるから、言えなかった。
……あれ? あたしって、こんな我慢ばっかしてるような女の子だったっけ?
前まではあたし、女王様みたいな存在だったから、我慢なんて必要なかった……けど。友だちと過ごしていくには我慢だって必要。それは知ってる。でも、あたし、みんなより我慢しすぎじゃないかなぁ?
一人疑問を抱えて首を傾げていると、万実が不安そうにあたしの顔を覗き見た。
「暮羽? どうしたの? もっと楽しめよ~!」
ぽんぽん、と軽く肩を叩かれる。万実はさっきの不安そうな顔とは一転して、心から楽しんでいるような笑顔だった。明るい。むしろ眩しい。
あたし、みんなにおいていかれてるような気がする……。立ち止まらずには、いられないんです。
さっきのストラップを購入して『ORANGE』を出ると、早速そのストラップをカバンにつけた。他のみんなと示し合わすこともなかったのだけれど、四人同時に。
「あ、かわいー! ね、ね、これ、スクバにつけようよ!」
鈴音はカバンにつけてすぐ、外してしまった。でも、たしかにスクバにつけた方がいいかもしれない。
このカバンは学校に持って行くようなのじゃないし、週五日使うスクバにつけた方が断然見せびらかすことができる。そっちの方が、絶対いい。そして鈴音がカバンからストラップを外した理由が失くしてはいけないからだということに気づいたあたしは、ストラップを外してカバンの中のミニポケットに入れた。失くさないように。
「なんで二人、外すの? ストラップ、やだった?」
不機嫌なのがわかりやすい。万実はむっつり顔であたしと鈴音を交互に見つめた。というか、睨みつけてきた。
細長い人差し指を伸ばして、指の腹を唇につんつんあてる。斜めに流した前髪をうっとうしそうにかき上げる。色素の抜けた茶色っぽいボブカットの髪をくるくる指に巻きつけて、またあたしたちの方を見る。明らかに、気まずい雰囲気。あたしは、仕方なしに説明することにした。
「万実、怒らないでよ。違うって。誤解、誤解。ストラップ、嫌じゃないけど、スクバにつけた方がいいじゃん? このカバン、学校に持って行けるようなんじゃないから、あんまし使わないでしょ? だから、失くさないようにカバンにしまっただけ」
万実をまっすぐに捉えながら、そう言う。彼女は気を悪くしたのか、うつむいて唯愛と目配せする。ちらちら、ちらちら。うっとうしい。
「ハイハイ、そーゆーの終わり! ね? せっかく遊びに来たのに、楽しくないじゃん? スクバにつけよーよ。ね、万実?」
唯愛がぱんぱんと手を叩きながら仲裁して、その話は終わった。万実はちょっと納得いかないようだったけれど、唯愛に言われたら言い返せないみたいだった。
唯愛は、クラスの中でも結構好かれてる。耳の横でツインテールにした長い髪。大きめの黒目。背は低め。ちまっとしてて、やたらと可愛い。
性格だって、おだやかで可愛い。いつもケンカとか仲裁するタイプで、目立ちたがりじゃないんだけど、自然と目立ってしまう。守ってあげたくなるようなドジっ子だけど、意外としっかりしてる。きっとモテるんだと思う。可愛いし。
そんな彼女に言われたら、万実が何も言えなくなるのも仕方ない。唯愛は、彼女自身も気づかないうちに絶大な権力を持ってしまったんだろう。ま、別に悪いことはないんだろうけどね。
「……そ、だね。ごめん鈴音、暮羽」
「ううん、こっちこそごめん」
「いいよいいよ。気にしないで、万実」
万実の素直な謝罪に、あたしと鈴音は笑顔で対応する。唯愛は、やっぱりすごい。すぐにああやって解決することができる。
でも、それならなんで……? あたしの頭の中には、一つの疑問が生じていた。昨日万実がキレたとき、なんで唯愛は止めなかったんだろう? あのときは必死だったから考えなかったけど、深く考えると本当に不思議だ。なんで、唯愛はあのとき口を出さなかったんだろう?
しばらく考えていたけど、みんながあたしには目もくれず歩き出したから、その事は忘れてとりあえず楽しもうと思った。今じゃなくても、いい。あたしは、そう思ったんです。
「ふあー! 歩いてばっかりで足疲れちゃったよ~」
『ORANGE』を出てしばらくうろうろと歩いていると、鈴音がそう言った。たしかに、足が疲れた。明日は筋肉痛だろう。免れる方法は、きっとない。
「そーだねー。どっか座ろ!」
唯愛が振り返ってにこにこ笑う。座るところと言えば……? あたしはしばらく考える。すると、今度は万実が口を挟んだ。
「フードコート行って、アイスでも食べようよ。暑いし、ね?」
それはいい考えだ。でも、今この時間――三時前にフードコートに行っても、席が空いていない可能性が高い。間食や遅めの昼ごはんを食べに来ている人や、あたしたちのように疲れた足を休めようと来ている人もたくさんいると思う。空いていたら、むしろラッキーだ。
そんなことを考えるあたし。だけど、みんなはずんずんフードコートに向かう。
「あーっ、待ってよー!」
あたしは三人に追いつこうとするけど、彼女たちは先々行ってしまう。えっ、ひどくないっ!?




