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教室 ~いじめ~  作者: 青木ユイ
暮羽編
82/109

叶さん(ガクブル)

「はあぁ~……」


 あたしは大きなため息をついた。最近やたらついてない。

 昨日は体育の時間叶さんになんか敵宣言されちゃうし、謝ってもらえたのは良かったけど叶さんの取り巻きたち超怖いし、ガクブルだよ。もう。


「どうしたの、暮羽?」


 凛音があたしの顔を覗きこみながらそう言った。あっ、上目づかいは禁止!


「なんでもないよ」


 適当にあしらいながら、叶さんたちの方を見る。神崎叶、まだ十三歳。ふんわりパーマのかかった少し茶色い髪。目もうっすら茶色で大きくて、肌は透き通るように真っ白。おまけに睫毛はすっごく長くて手足も細いんだよね。背は小さい方だけど、そのおかげかふりふりした服が似合いそうだ。何気ない仕草とかもきっと計算していて、みんなから可愛いと思われたい気持ちがハンパなく伝わってくる。

 やっぱりあたしと叶さん、波長が合うのかな……。お互いの心の声だけ読めるって感じ。だから叶さんは、あたしの本性ってやつを知っていたのかな? ひー怖っ。


「もう暮羽っ、水くさいぞ!」


 背中から休に抱きつかれて、あたしはバランスを崩しそうになった。何とか持ちこたえて振り返ると、そこにいたのは唯愛。こいつは抱きつき癖・・・・・があるというツワモノ。しかも振り落さないと降りてくれない。やだめっちゃ怖い。ってか、水くさいってなんのこと?


「唯愛、やめてよ。水くさいってどういうこと?」


 あたしが地味に唯愛を押しのけながら尋ねると、唯愛はごめんごめんと謝りながらあたしの背中を降りた。唯愛はたしかに軽いからそこまで苦には思わないけど……でもやめて、体重を全く感じないわけではないからさ。


「だってさ、悩みがあるんでしょっ?」


「悩みぃ?」


 ああ、あたしがさっきうつむいてたからか。別にそういうわけではないんだけれども。

 でも、たしかに悩みを抱えていないと言ったら嘘になるよね。あたしは今とっても困っているんだから。もちろん、神崎叶さんのせいだけど!


「……絶対に秘密だよ」


 二人はいつになく真面目そうなあたしを見て、顔を見合わせながらうなずいた。

 あたしはこうして、二人に悩みの種を打ち明けることにしたのです。でも、ここであたしはもっと周りを見るべきだった。ちゃんと慎重に考えるべきだった。みんなの目を見て、おかしいということに気が付かなければいけなかった。なのにあたしは、また・・失敗を犯して・・・・・・しまったんだ・・・・・・


 ――――あたしたちが話していたあの場所には、大切な人物がいなかった。一人、足りなかった。


 万実がいなかったってことに、あたしたちは気付かなかったのです。

あっ、ほんとだ! と思っていただけたら嬉しいです

次回、万実ちゃん激怒です

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