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教室 ~いじめ~  作者: 青木ユイ
暮羽編
74/109

あたしという存在

 あたしは今までみんなの何を見てきたんだろう、と今さらながら思う。

 そして、みんなは今まであたしのなにを見てきたんだろう、とも思う。


 あたしはみんなのためにいるんじゃなく自分のためにいるわけだし、みんなはあたしの事を好きでいるために存在しているわけではない。だからと言って、あたしをいじめるために存在しているとかいうちょっと頭のおかしな感じになっているわけでもなくあたしは今日の部屋に一人。

 本当に、何を見てきたんだろう。

 薄暗い部屋の中で三角座りをして考える。服は部屋着で、しばらくは自宅謹慎的な。

 というか、休学? 不登校?

 とまあそういうわけであって。あたしが生きるために必要なのは、酸素は一応当たり前の事としておくとして、食料・飲料は必要でしょ。あと寝るところ。あんまり狭いとホームシックにでもなりそうで怖い。


 ――――――そして、あたしが一番必要としているもの。それは、あたしの事を必要とし・・・・・・・・・・てくれる人・・・。それが大事。

 つまりあたしは、寂しがり屋なんだと思う。まるでウサギのようだ。誰かに必要とされていることが確認できないと不安になってしまったりする。周りから人類すべてが消えたら、たとえどんなに美味しい料理が目の前に大量に並んでいたとしても、酸素が有り余るほどあっても、室温と湿度がどんなに快適でも、寂しくなって死んでしまうだろう。

 多分、だけど。でも本当にそう思うんだ。悲しいんだもん、寂しいんだもん。


 だから周りにいつもいっぱい人を集めて、あたしに構ってくれる人をつくって、それで安心してた。誰かがあたしを囲んでくれる。あたしの周りにはいっぱい人がいる。

 家族、友だち、先生。一人ひとりを大切にしているつもりだった。離れてほしくなかったから。

 でも、友だちはどんどんおかしくなっていった。あたしから離れるなんてことは出来なかったけど、少し怖かった。でも、希望がいればとりあえずは安心だ、と。

 学校生活はほとんど希望に頼りきりだった。もちろん先生や他の友だちにも頼りまくった。嫌がられないように気を付けながらも、甘えたり、みんなの心のケアは欠かせなかった。

 みんなが学校生活を楽しいと思ってくれるように気にかけていたりしていた。そして、それは自分でもいいことをしているんだと思っていた。


 そんなあたしが誰かに少しでもいじめられたりなんかしたらどうなると思う?

 それこそ、死んじゃうよ。もちろん、本気で悲しかった。

 希望は転校しちゃうし、悲しいことばっかりだったんだよ。でも、でもね。


 お母さんやお父さん、心配してくれる本当の友達、先生。私はそんな人たちがいてくれたから、中学生になっても元気でやって来られたんだと思う。


 ――――――本当に、ありがとう。

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