とりあえず帰宅なのであります
不穏な空気が漂う中6時間目が終了した。恐ろしいよ、女子。
終礼を終えて、私たちは家に帰る。希望と香華が引っ付いてくるのは予想していたことなので、抵抗せずに大人しく一緒に帰ることにした。嫌って言っても絶対ついてくるからもう仕方ない。
幸い今日は金曜日なので、希望は無理だけど香華からは解放される。土日は部屋でごろごろしながら漫画をあさるとするか。
ということで、ここから先は帰り道のお話です。
「純香ちゃん純香ちゃん、今日のやばかったね!」
私の右にいる希望が興奮しながらそう言っている。鼻息荒いな。何をそんなに興奮してるんだ。
すると、今度は左の香華が言う。
「美冬の本性結構出ちゃってたね~。月曜日もあの調子だったら面白いことになりそうかも」
面白いって、性格悪いなお前。人のこと言えないけど。
でも、たしかにかなり美冬は素が出ちゃってたと思う。ああいうところではもうちょっと自分を抑えられるようにした方がいいのに。美冬って意外と計画性がない。人のこと言えないけど。
「でも、私はやだなぁ。月曜日もあんなんだったら、学校行くの憂鬱になっちゃうよ」
希望はちょっと悲しそうな顔をしてつぶやく。憂鬱になるほどのことでもなさそうだけど、まあ雰囲気悪いから行きたくなくなる気持ちも分からないでもない。……って、なんか自分で何言ってるのか分からなくなってきた。
私最近こういうこと多いな……。自分で自分が何言ってるのか分からなくなるって、結構重症な気がする。精神的な病気かな。それとも記憶できてないってことか?
そういうことかは分からないけど、とりあえず私の頭がヤバいことになっているということだけは分かった。
「ね、純香ちゃんはどう思う? やっぱり、美冬のことどうにかした方がいいよね?」
「どうにかって言ってもな……っ?」
と、言いかけたその時、突然何か黒いものが目の前に現れた。何か分からずそのままでいると、それは顔面に衝突した。……痛い、すごく。
「……てか、まじで、痛い」
なにこれなにこれ、なんか血ぃ出てるよ。どーすんのこれどーすんのこれ。怖い怖い怖い怖い。えっえっ、え、痛いし、血出てるし、どういうことよ。
「えぇ、純香ちゃん大丈夫!?」
「サッカーボールが顔面に当たったら血が出るんだ……」
どうやら衝突した黒い物体はサッカーボールだったらしい。誰だよこんな剛速球蹴りやがったやつは。
「純香ちゃん、早く帰ろう! すっごい血がぼったぼったしてるよ!」
私よりも希望の方がパニックになっている。ぼったぼったって。そんな出てませんけど。
「……っていうか、目から出てない?」
「え?」
香華の言葉に、私は首を傾げた。血が、目から出ている?
家に帰って鏡を見ると、目から血が出てました。
暮羽編はもうしばらくお待ちください……。すみません。




