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教室 ~いじめ~  作者: 青木ユイ
純香編
59/109

もうこれは事件と認定する

お久しぶりです(?)

最新話です。ちょっと話を盛り上げてみました。

「ねえお願いだから美冬っ! こっち来てよ、純香ちゃんに迷惑かけたくないのっ」


 香華がなんか言っている。私に迷惑かけたくないってどういうことだろう。散々いじめられて迷惑かけられてましたけど、私。いや、別にいじめられたからどうってわけじゃないけどね。普通に平気だったし。うん。

 でも、なんか香華、めっちゃ必死な気がする。なんかあんのかな? まさか私を怖がってる……?

 いや! それはない! 私は香華のこと怖がらせてなんかないしな! ……でも、なんかそういうことを言われると、困る。ほっとくわけには、いかないじゃん。


「うるさいなっ、触んなって言ってんじゃん!」


 美冬が香華の手を叩く。ばしっという音が、しんとした教室に響いた。誰も、口を開かない。大声を出した美冬の方を、見ている。

 すぐにほかの人たちは目を逸らしたけど、私は美冬のことを見続けた。ありえない。いくら私でも、許さん。


「お前何調子乗ってんだよ」


 いつもより低い声で、私はうなるように言った。怒ると口が悪くなるのが私の癖だ。これは仕方ない。気にしないで先へ進む。


「……は? 別に調子乗ってなんか」


「乗ってんじゃん。香華に偉そうにしたりさ? 弱み握ってんのか何なのか知らねえけど、性格悪すぎだろ」


 私の背は美冬よりも高いので、彼女を見下ろしながら言う。さっきの剣幕はどこかに行って、美冬はびくびくしていた。気持ち悪い。

 それから、思い出したのでこれも言っておいた。

 

「あ、そうそう、この間あんたの母親に会ったよ。すっげえあんたの母親らしかった。自己チューなのは親から受け継がれてんだね」


 するとその瞬間、美冬の顔が真っ赤になった。あ、地雷か。やばいな、変なこと言っちゃったかもしれない。これで逆ギレされたらめんどくせーな……。

 しかし、美冬は逆ギレするどころか、黙ってうつむいてしまった。教室中の視線が私に集まる。

 え、ちょっと待って!? まさか、みんな私を悪者にしようとか思ってないよね!? ちょっとふざけんなよ、私はみふゆを倒したんじゃないか。勇者だぞ勇者。

 そんな私の心の叫びは誰にも届かない。美冬は泣きだしてしまった。おいおいおいおい……。逆ギレされるよりも面倒なんだけど。やだよやだよ、これで先生来たら絶対私が悪者じゃん。違うよ、私は一応これでも香華をかばったんだよ。

 いや、でも美冬は優等生ぶってるから、先生甘いだろうな。逆に、私みたいな不真面目なやつには厳しい。別にいいんだけどさ、怒られても。ド派手にやられてたいじめにも気づかないようなやつ、最初っから期待してねえし。


「純香ちゃん……」


 まずいよ、みたいな目を私に向ける希望。そうだった、希望がいるんだった。ここはいっちょ希望を盾にして……。


「大丈夫だって。希望が手伝ってくれれば何とかうまくいくから」


 私は不敵な笑みを浮かべながら言う。希望は首を傾げながらうなずいた。よっしゃ、と右手を握りしめる。

 すべては、先生への言い訳だ。

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