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教室 ~いじめ~  作者: 青木ユイ
純香編
56/109

金曜日①

お久しぶりです。

先月は一度しか更新できなくてすみません。

今月は出来る限り頑張ります。

よろしくお願いします。

「はっ!」


 がばっと、起き上がった。布団をめくって隣でよだれたらしながら寝てる希望の体を揺さぶる。


「おい、起きろ希望! ヤバいぞ!」


 ヤバい、とはつまり。遅刻寸前なのである。



「やっばいやっばい! なんで起こしてくれなかったの純香ちゃん!」


「起こしたわ! 希望が起きなかったんだろうがバーカ!」


 ぎゃあぎゃあ言い合いながら玄関を飛び出し、通学路を全速力で走る。暮羽はまだ寝ていたけど、どうだっていい。だってあの人は学校になんて行かなくていいんだから。

 それよりも、私たちの方がよっぽどヤバい。生のままの食パンをかじりながら走るのは、多分人生で初めての経験だ。ヤバい、のどに詰まりそう。しかも焼いてなくて何もついてない食パン、別にあんまりおいしくない。パッサパサだし!

 つーか、私さっきから「ヤバい」しか言っていないような気がする。



「セーフ!!」


 勢いよく教室のドアを開けて、自分の席に着く。私としたことが、結構恥ずかしいことをやってしまった。

 ぜえぜえ言いながら教室に駆け込んできた私たちは、クラスメートに注目される羽目になった。香華がにこにこしながら近づいてくる。い、嫌な予感しかしねえ~……。


「純香ちゃん、今日は珍しく遅かったね。寝坊でもしたの?」


「さあな」


 わざわざ聞かなくたっていいだろ、どうせわかってるくせに。そういうの、嫌なんだけど。……って、私なんかめっちゃわがままじゃないか? いや、でも心の中でだからまだセーフか。口外はしてないもんな。


「えーいいじゃん教えてくれたってぇー」


 日に日に、いや、1分ごとにうざくなっていく香華を軽く睨み、私はかばんから教科書を取り出した。今日はまだ教科書の量が少なかったから、全速力で走ることができて本当に良かった。これで、かばんめちゃくちゃ重かったりしたら本気で遅刻してたかもしれない。

 そんなことを考える私の傍らで、香華は不満そうにしていた。私が無視したかららしい。そんなこと言われても困る。なんで、私が香華とわざわざ話さなきゃいけないんだ。

 こういうの、本当にめんどくさい。昨日も、暮羽とか見てて思ったけど、女子ってなんか面倒くさい生き物だ。男子だったらまた違うのかな? どうでもいいけど。


「ちょっと! 純香ちゃんに気安く話しかけないでよっ!」


「気安くって、希望あんた貴族か」


 突然、意味不明なことを叫びながら乱入してきた希望にツッコミを入れながら、私は彼女の方を見る。なんか、希望は腰に手を当てて少し屈んで、香華を睨んでいる。あ、これは私、退散した方がいいタイプか。


「なんであんたにいちいちそんなこと言われなきゃいけないのよ。別に、純香ちゃんとあたしが話してたってあんたには何の迷惑もかからないでしょ」


「かかるの! 私の純香ちゃんが汚される!」


「希望お前さっきから何言ってんだ」


 ぎゃあぎゃあ騒ぎ始める二人。ただ、私はこれを放置してどっかに行くわけにはいかなかった。だって、放ってたら希望が誤解を招くことを言い出すに違いない。今でも「私の純香ちゃん」とか「汚される」とかもう意味分かんねえことばっか言ってるし。

 香華もまともだとは言い難いから、やっぱり私がツッコミ役に回った方が良さそうだ。というか、なんで私ツッコミなんてやってんだろ。

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