友達いなかった
さぼっていたわけじゃないんです。
「それにしても不思議だね~」
希望が唐突にそう言った。「へ?」と暮羽と一緒に顔を上げる。おい、同じ行動するなよ。
何故だと聞く私に、希望は少し驚きながら答えた。
「え、だって、遠くに住んでた私の友だちが今であって、こうやって三人でいられてるから」
……おう。そうか。
それくらいしか言うことがなかった。いや、別に希望が言ってることを否定しているわけじゃない。むしろ、彼女が言っていることはいいことだと思うし、まあ、そういうことを考えられるのはさすがだと思うよ。
でも、私の話にもなってるわけだから、素直にはうなずきにくいんだ。こういうところが、友達ができない原因なのか。
うーん、私はあんまり友達が欲しいと思ったことはないけど、よく考えたら少なくとも友達はいるよな。
まずはじめに、希望。それから、香華と暮羽。美冬は違う。
……いや、意外と少なかったわ。どうせだからもうちょっといると思ってたけど、少なかったわ。
そういえば、いじめの真犯人……というか、本当のボスは美冬だったんだっけ? じゃあ、その下が香華でさらにその下が友里恵など、か。
あ、そういえば最近友里恵には何もされてないな。まあ、香華があの調子なんだから仕方ないか。というか、あいつに会ってもいないような気がする。一応同じクラスなんだけど、なんかもう、認識しないんだよな。
こういうのを、眼中にも入れていないって言うのか。自分だけど、怖いな。
「次、純香ちゃんだよ?」
「え?」
訝しげな視線をこちらにむけて、希望は言った。あ、うっかりしてた。
唯一持っていた強めのカードを出して流す。そして、3で革命した。希望は今さら!? というように目を見開いている。
「わ~もう負けるよ~」
希望の宣言通り、私が勝った。まあ、普通だろう。だって、希望の持ってたカードの枚数めちゃくちゃ多かったし。
それに、最後に強いのを残していたみたいで、革命が効いたらしい。それはよかった(嫌味)
「純香ちゃん、なんでそんなにカード強いの!?」
「弱かったよ! 1も2もジョーカーもなかったしな!」
希望の叫びに反論すると、暮羽は肩をすくめて笑っていた。
ああ、こいつか。こいつか全部持ってたんだな。すべて納得いった気がした。運いいな、暮羽は。まあ、トランプってほとんど運だし。
「まあまあ、いいじゃん楽しめたんだから」
暮羽がそう言うけど、一位で抜けたやつに言われてもあんまり納得いかない。楽しかったのお前だけじゃないのかって思っちゃう。
これも、ひねくれてんのかなあ。




