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教室 ~いじめ~  作者: 青木ユイ
純香編
34/109

第4試合 ラウンド1 純香&希望VS美冬&???

新キャラ登場

「ちょ、希望? なんでこんなとこ連れてきたわけ? つーか、なんで美冬の家知ってんの!?」


 私の頭の中は疑問でいっぱい。どういうことなんだ!? っていうやつ。

 希望はそんな状態の私には気にも留めないで、にっこりと気味悪いほどの笑顔を見せてくる。うわっ、きもっ。


「大丈夫だよ、純香ちゃん。ちょっと調子乗ってる雪谷美冬をシメるだけだから」


「それ、笑顔で言う言葉じゃないよな!?」


 どうしたんだろう、希望。なんか、性格がどんどん暗黒化している気がするんだけど……。私の勘違いか?

 いや、そんなことはありえない。どう考えても希望は性格悪くなっていってる。まさか、これって私のせいか……?


「よーし、じゃあ早速チャイムを……押してくれる? 純香ちゃん」


「私かよ!」


 なんで自分で押さないんだよ! なんで私に押しつけるんだよ! 私はほとんど何も関係ないんだけどな!?


「お願い純香ちゃん」


「キモい声で言うな!」


「お願い♡ 純香ちゃん♡」


「だからキモいっつーの!! ヤメロ!」


 チャイムを誰が押すとかそういうの以前に、まず仲間割れしちゃってるんですけど……? これってどういうことだい? ええ?

 人の家の前でぎゃあぎゃあ騒ぐ中学生。超迷惑だな。うっとうしいだろうな。私だって自分の家で香華と美冬に騒がれたりなんてしたら、たまったもんじゃない。二人まとめて放り投げてやる。ということは、私たちは美冬に放り投げられるということなのか? そ、それはちょっと……。


「あなたたち、家に何か用?」


「は、いっ!?」


 後ろから声をかけてきたのは、ほんわかした感じの小母様。つーか、主婦って感じ。でもなんか、穏やかそうで、そんでちょっと清楚な感じで……って。この雰囲気。この感じ。そして何より『家』って言葉。


 ――――美冬のお母様やん。


 なんか関西風に言ってしまった。まあそんなことはおいといて。

 ねえ。いきなりラスボス投入しちゃう!? ザコキャラ倒す前の経験値0の状態でラスボスと出会っちゃう!? まだ美冬という子分を倒してないんですけど!? あれ、逆なのか?

 ああもうどっちでもいい! とりあえず、美冬のお母さんと接触するのはなんかいろいろとマズイ気がする! ここは美冬の友だちだと思わせて家に上がりこむか……。っておいおい。それはないだろ、帰ろう。


「あのっ、美冬ちゃんっていつ帰ってきます? もう、家にいますか?」


 希望ぃいいぃぃいい~っ!! お前、なんてことを!! 逃げるチャンスだったろうがッ!

 今にも噴火しそうなほどの怒りをどうにか押しとどめながら、美冬母にバレないようにこっそり希望のみぞおちに肘を入れておく。「ぐっ」と希望がうめいた気がしたが、多分気のせいだろう。


「すみません、ちょっと今日はやめておきます。あの、ほんとすみません。失礼します」


 精一杯の営業スマイルで美冬母に対応する。さあ、帰らせろ! っていうかもう帰りますっ!

 希望を引きずる覚悟をして走りだ嘔吐すると、肩をつかまれて引き止められた。What?


「あなたたちなの?」


 美冬母、すんげえ怖い顔していらっしゃる。なんと厳つい、じゃなくて怒りに燃えたお顔、じゃなくて、勇ましい……? いや、もうどうでもいいんだけどさ?


「な、な、なにがでしょうか?」


 怖い。早く帰らせて。つか希望! しっかりしろよ、いつまでみぞおちのダメージにやられてるんだよ!

 って、私がしたのか。


「うちの美冬をいじめているのは!!」


「は?」


 さっきの穏やかそうな女性から飛び出した言葉とは思えなかった。顔は真っ赤。煮え栗饅頭が吹き出そうです! って感じの、怒りに燃えたお顔。これがモンスターペアレントとかいうやつか。

 待って待って。いじめられてるのはこっちなんだけど? 被害者私なんですけど?


「明らかに目つきも悪くて口も悪くて、いじめっ子っぽいわね、あなた」


「いやいやいやいや!」


 いじめっ子っぽいだと!? 私はお宅のお子さんにいじめられてんだぞコノヤロー!! 何を言い出すこのモンスターペアレントめ!! ……おっと危ない。つい本音が。

 それにしても、厄介な人だ。美冬があんな性格になった理由がよく分かる。すべては、母親こいつだ。

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