弔い合戦(誰も死んでいません)
いつの間にか連載一年経ってました……びっくり。
これからもよろしくお願いします!
(毎日投稿できなくてごめんなさい)
二時間目を終えて私は希望の席に行く。
「希望」
「ひ、ひいぃ、純香ちゃん、なに? どうしたの、そんな怖い顔して」
なぜか希望はびくびくしている。びくびくする相手は私じゃないだろうが。いじめっ子の方だろ。私はいじめっ子じゃないんだかんな。どちらかというと逆だぜ。
「希望、正直に答えてね。……この世界が、好き? あなたは今、幸せ?」
自分で言ってて引いた。何この質問、怖すぎる。なんだよ、何かに洗脳されてるみたいじゃないかよぉ。
「大好きだし、幸せだよ」
意外と、即答だった。にっこり笑っていて、その瞳に嘘はないようにも思えた。でも、なぜか私には納得できない部分があった。それが何かはよく分からないのだけど。
……うーん、不思議。なぜ私はこんな気持ちなんだろう。
「そっか」
私はこの内面を希望に悟られないように精いっぱいの笑顔を見せる。希望はいつものへらぁっとした顔で私の方を見た。
「純香ちゃん、大好き」
この言葉に何か深い意味があるのか、考えればよかった。
「純香ちゃん」
自分の席に戻った私に声をかけてきたのは、希望――――じゃなかった。もちろんん、香華だったりもしない。香華と希望の見分けぐらいつく。全然違うからな。
そこに立っていたのは、あのお方ておなじみ……でもないな。タメてすいません、雪谷美冬です。
「なんですか? 美冬さん」
「あのねえ、香華に近づかないでほしいの」
「はい?」
言ってることの意味が分からねえ。近づくなって? それは香華に言えや。私が近づいてんじゃなくて、香華がゴリ押しアタックしてきてんだよ。
「それは香華に――――」
「私、絶対許さないから」
……ん? なんで私が美冬に目の敵にされなくちゃいけないわけ!? 私は何もしていない! 無実!
むしろ、被害者なんですけど?
めんどくさい人だな。さてどう対処するか考えなくては。ってかもうすぐテストじゃない? 私最近円強してなくない?
……美冬さん、許さないからというのはどういう意味ですか。教えてください。
「ね、純香ちゃん。あの人と何話してたの?」
ぴょこっと現れたのは希望。おいお前、なんですぐに助けに来ないんだ。おかげで美冬に捕まったんだぞ。
「うぇ? あー、ちょっとね」
ここは軽く流しておこう。あとあと面倒なことになりかねない。面倒なことは嫌いだぜ、私は平和主義なんだ。……その割に突っかかってるよな、私。
――――よし、今日早速弔い合戦でも……いや、希望死んでないからな。なんだろう、なんて言えばいいんだろう。と、とりあえずかたき討ちだ! そうだそうだ!
「美冬と香華に聞きだしてやろうじゃん」
ぼそっとつぶやくと、希望が不思議そうな顔をしていた。やめろ、上目遣いするな。
さて、どんな墓穴を掘ってくれるか楽しみだな~。って、私性格悪すぎ。全然平和主義じゃないし面倒なことやりすぎだな……。
前言撤回。私は平和主義でもないし面倒なことも嫌いじゃない。でも。
希望のことが好きですから。




