表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教室 ~いじめ~  作者: 青木ユイ
純香編
2/109

教室

「……」


 私は無言で教室に入った。

 もちろん「おはよう」なんて言葉は全くない。

 あるとすれば「まだ生きてたの? ブスのくせに」くらいかな。

 自分の事をブスだと思ったことはないけど(だからと言って別にかわいいと思ったことがあるわけではない)生きてたのっていうのには、共感するかな。

 うん、まだ生きてたね。こんな下等な人間に言われてじゃあ死のうとは思わないけど。

 ま、こんな下等な人間と一緒の部屋で過ごすのも嫌だけどね。

 そんなことはどうでもいい。私はただ、意味もなく学校に行くだけなのだ。行かなかったら怒られるから。ただそれだけ。


「あれ? また菌が来てるじゃん。さっさと追い払ってよ、友里恵ゆりえ


 誰か――――誰だろう? とりあえず、誰かが言った。

 いじめをするような下等な人間の名前を覚えるような気力もないけど、私の記憶力も鈍いんだよね。まぁ、仕方ないかな。


「……分かったよ、香華きょうか


 友里恵という下等な人間は、私の目の前に来ると、突然押してきた。私は少しよろけたけど、すぐに態勢を戻した。

 すると、友里恵は舌打ちをして、香華とかいう下等な人間のところに帰って行った。一体何がしたかったのかよく分からない。いじめるならもっと丁寧に、巧妙にやるべきだと思う。

 あの人間がこのクラスで一番下等そうな感じがするけど、私も人のことは言えないな。一応、下等な人間だけでは・・・・ないことを願うけど。

 私、下等下等って、言いすぎかな? まあ、心の中で言ってるだけで口に出しているわけじゃないからいいよね。

 私は一人で納得して、席に座った。

 机の落書き……みたいな、そういうのがあったような気もするけど気のせいでしょ。ちなみに教科書とかそんな物入学式でもらって、何日かしてからは見ていない気がする。

 なんか、あの人たちに盗まれちゃったんじゃないかな。あんな性格悪いのに、よく友達出来るよね。まあ、性格悪い人同士で集まってるんだからいいのか。

 それに、性格悪くて友達出来ないのは私も同じだし。あいつらと一緒なのは嫌だけど。と、私は自分で考えたことで笑ってしまった。そしたら、なんか睨まれちゃったけど、気にしない。

 どーでもいいじゃん、あんな人たちのことなんて。ああいう人のこと考えてる暇があったら勉強してるっつの。

 ばーかばーか!


「あいつ、一人で笑っててキモいんだけど。ちょっと誰か、黙らせてきてよ」


 香華とか言うやつが、また命令し始めた。

 命令ばっかで、自分で何もできないのかな。あぁ、私に近づくと菌がうつるとか思ってるんだ? バカじゃないの?

 んじゃ、仲間はどうなってもいいんだ。そうか、仲間じゃないんだね、もともと。色々連想して一人で笑ってたら、さっきの友里恵とか言うやつが来た。

 あー、めんどくさ。超めんどくさい。あ、面倒くさい、だっけ。

 どっちでもいいけど。あーもう私独り言多いな。


「あんた、何一人で笑ってるの?」


 友里恵が私を見下ろしながらそう言った。

 ずいぶんと上からだな……。ウザいのはそっちだよって言ってあげたいな。分かってないバカな生き物さんたちに。


「何か言ったらっ!?」


 友里恵が無視していた私を押したけど、私は全く動かなかった。こういうのは無視するのが一番だよね。うんうん。

 てか、逆ギレとか超怖いんだけど~。うーけーるー(棒)


「あーもう! 友里恵、ほんっと役立たずね! もういいわ」


 香華がそう叫んだ。あーうるっさ。朝から騒音がうるさいったらないな。キーキー猿みたいに、うるさいんだよ。うるさいうるさい。しかも偉そうすぎて気持ち悪い。

 チャイムが鳴って先生が教室に入ってきたので、うるさい猿たちはやっと黙った。私はため息をつきながら、朝読書に励んだ。いや、励むっていうのかな……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ