帰り道→地獄行き
……地獄だ!! よりによって香華と一緒に帰らなきゃいけないなんて!
まあ、誘ったのは私なんだけどさ……。でも、まさかオッケーしてくれるなんて、思うわけないじゃん! ほんと、最悪……。
「えーっと、純香、ちゃん? で、いいの?」
ああああああああ、すっっっっっっごく嫌すぎるぅぅぅうぅ!
じゅ、純香ちゃん!? アホじゃない!?
「アーアー、もう勝手にどうぞ」
香華と帰るよりそう呼ばれる方がマシ――――じゃない!! ぜんっぜんだめ!
「じゃ、純香ちゃんで♡」
♡って!! お前何なんだよ! いじめといてなんなんだよ! いみわかんねーぜ!?
……まあとりあえず、逝くか。
「純香ちゃん、あの、ほんとにごめんなさい」
ええええええええええええええ!?
何故に? 何故に!? 意味わっかんないですから!
あーもうやだぁ~。なんであんな下等な人間と一緒に帰らなくちゃいけないわけ?
「はいはい。でも、なんで結局謝るのにいじめとかするわけ? あんたのその神経が分からない」
謝られても、なにも親近感・感謝・ウザさ・悲しみ・喜怒哀楽出てこない。
何にも感じないのは、私の感情が腐ってるから? それとも、香華の何も感じ取れないようなたいしたひねりもない言葉のせい?
うーん、分かんない。まあ、それも仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
人をいじめてたような人だし、感情を感じないのも……仕方ない?
……人間って、分からない。いじめる理由も、なにもかも。まあ、いじめに理由なんてあるわけないか。どうせ、何も楽しいことないから――――とかでしょ?
「じゃあ……ここだから」
香華はそう言って右に伸びる細い道の方を指差す。
「あぁ……。ばいばい」
面倒だから適当につぶやく。
「ばいばぁい!」
そのときの香華の笑顔が、見たことないくらいに可愛かったから、私は驚いた。
「……ばぃ」
私はそう言って手を振った。バカみたい。でも、たまにはいいかな、なんてさ。
ま、それもこれも、私がバカなだけなんだけどさ。香華のこと、ちょっといい奴かも? なんて思ってるなんて。
それもこれもすべては私。全部全部……私。
なんてさ……私、ほんとバカみたい。なんで私が香華なんかと……? しかも、いじめてた人といじめられてた人だよ?
それから、私の友達ってやつがいじめられてるっていう話と、不審な紙――――。
あ~もう、めんどくさい。なんで私がこんなこと考えなくちゃいけないわけ? あーやだやだ。
私はため息をつくと、ぼちぼち行くか、という感じで歩き出した。
何も考えたくないし、面倒だ……。もう一度ため息をつくのが精いっぱいだった。
ほんと、いじめるとかいずめられるとか、バカみたい。
大体、なんで私、香華と一緒に帰るとか言ったんだっけ? あ、カーディガン……ん?
香華……ふっつうに美冬のカーディガン返してないよね? やっぱ立場的なことが……。
う~ん、なんなんだろう、怖いですねぇ。