純香ちゃんは変人だそうで
「ね、私ってひねくれてると思う?」
突然、純香ちゃんがそんなことを言い出した。や、やめてよそんな怖いこと言わないでよ。
あたしは驚いて、純香ちゃんの顔をじっと見つめた。
「じゅ、純香ちゃん……!?」
「どうしたの突然! 私何か言った!? なんか変なこと言った!?」
「え、いや、そういうのじゃないんだけど……」
希望のテンションがおかしい。まあ、それはいつものことだからいいんだけど、本当に純香ちゃん、おかしくなっちゃった?
「いや、だって、ね、暮羽!」
同意を求める希望に、あたしはこくこくと頷く。
「う、うん。純香ちゃんってそんな自重するタイプだと思ってなかったし」
「おい」
あ、純香ちゃんがいつもの不機嫌そうな顔になった。うぅ、あたしってやっぱり純香ちゃんとは気が合わないのかなぁ?
まあいいや。とりあえず、怒られるのだけは避けたい。そう思って、適当に「ひねくれてはないと思う」と言うと、純香ちゃんは訝しげな視線をあたしに向けた。
「暮羽、何でそんな目をそらすの?」
え、そ、逸らしたつもりはなかったんだけど……。ちょっとだって、純香ちゃんが怖いんだよ。
すると今度は純香ちゃんが声を荒げる。
「それならそうとはっきり言えよ!」
いや、それってなに? あたし、何も言ってないよ!? 純香ちゃんの怒りの沸点、やっぱり分かんない……。
「え、え、何?」
混乱するあたし。希望は知らないふりするみたいに、違う方を向いている。え、ちょっと助けてよ。いつものそのノー天気な言動で純香ちゃんやあたしを呆れさせてくれたっていいじゃん。
「もう、いいよ。二人とも」
純香ちゃんはため息をついて、冷たい声でそう言った。え、やっぱりあたしのせい? あたしが、純香ちゃんを怒らせた?
「え、純香ちゃん? え、ごめん、なんか、あたしいらないこと……」
「いや、だから」
もういいよ、関わらないで。そう言って、純香ちゃんは悲しそうな顔をしていた。う、なんか責任を感じる……。やっぱり、あたしのせいだよね? でも、なんで怒ったのかよく分からないなぁ。
純香ちゃんの気持ちは、あたしには分からない。だって、あたしはエスパーじゃないもん。人の心を読むなんてそんな技持ってない。
だから、ちゃんと言葉にして教えてほしいのに。
やっぱり、純香ちゃんってよく分からないなぁ、と思った。って、居候のあたしが文句言っちゃだめか。
そろそろ家に帰らないとやっぱり怒られるよね。純香ちゃんにも迷惑かけてるし、っていうか純香ちゃんのお母さんはどうしてあたしたちを家に置いててくれるんだろう? 普通に考えたらめっちゃ非常識だし迷惑だよね?
夜になって、三人で布団を敷く。純香ちゃんは全然しゃべらない。って言ってもいつも無口だから同じことなんだけど。
まだ、怒ってるのかな。明日謝ろうかな。
「じゃ、電気消すよ」
「う、うん……」
純香ちゃんが部屋の電気を消すと、あたしも布団をかぶって目を閉じた。
ハッピーハロウィンです。
そして5か月ぶりの暮羽編更新……。
本当に申し訳ないです。純香編も頑張ります!