トランプ!
「なにする? ババ抜き?」
「え、ババ抜き面白くないじゃん」
純香ちゃんがバッサリ言う。え……定番の遊び否定しちゃいます? 信じられないよ、あたし……。ババ抜き、楽しいじゃん。ルールは簡単だし、みんなでできるし。
「じゃあ、希望は何がいい?」
純香ちゃんに聞くのは諦めて、希望に尋ねた。別に、純香ちゃんのことが嫌になったとかそんなんじゃないけど、なんか、ババ抜き否定されたのが結構ショックです。
うーん、あたしってやっぱりまだ、女王様気質が残ってるのかな? すぐショック受けちゃったりするんだよね。自分の好きなものとか否定されると、なんで!? って思っちゃうし。
希望は、しばらく考えてから大富豪を提案した。あ、あれも結構楽しいよね。あたし結構好きなんだよなあ~。
「じゃあ、大富豪でいい? 純香ちゃん」
「え? あ、ああ、別にいいけど」
純香ちゃんに聞いてみると、彼女は少し詰まりながらうなずいた。え、嫌なのかな? そう思ったけど、なんかにこにこしてたから大丈夫かな。純香ちゃんって、なんか気持ちが読み取りにくいんだよね。
「じゃ、あたしトランプ配るね」
あたしはそう言いながらトランプを混ぜ、三人分に分ける。結構慣れているので、あまり時間を使うことなく分け終えることができた。
手持ちのカードを見てみると、ジョーカーが一枚あった。やったね。6が三枚あるから、ジョーカーも一緒に使えば革命することができる。やっぱり、革命すると気持ちいいんだよね!
1と2も数枚あったから、安心だ。誰かに革命されても革命返しできるし。
縛りありー? とか聞いたりしながらゲームを進めていく。久しぶりだけど、やっぱりみんなでトランプするのって楽しいよね!
ちなみに、希望が有り得ないほど弱かった。こっちがびっくりしちゃうよ。
「あ、あーない!」
「希望うるさいな」
カードがないってだけで騒ぐ希望に、純香ちゃんが鋭く指摘する。こ、怖いよ。純香ちゃん本当に怖いよ。そんなにイライラしなくてもいいじゃん。たしかに希望はうっとうしいけどさ!
「てゆうか、純香ちゃんって結構毒吐くよね」
何気なく言った人頃だったんだけど、それが純香ちゃんの気に障ったらしい。キレながらこう言われた。
「なに? 悪い? 嫌だったら出てっても良いんだよ?」
「純香ちゃん最近短気だね……」
あ、しまった。またいらないこと言っちゃった。でも、本当にそう思うんだもん。でも、出て行きたくはない……。と言っても、何日もいたらきっと純香ちゃんのお母さんとかに迷惑だろうからさっさと出て行くつもりではあるけど。
三日。三日だけでいいから、気持ちの落ち着くこの場所にいさせてほしい。友だちがいて、楽しいこの場所で。
純香ちゃんはちょっと怖いし希望はうるさいし、ついでに純香ちゃんのお母さんもちょっぴり怖いけど、でも、今はあんまり家にいたくないから。それに、希望に会いたくてここに来たんだし。
「あーあたしあがった」
しばらくして、あたしは一位抜けした。やったね。小学校の頃友達と一緒にいっぱいやってたからかもしれない。
あの時も、あたし結構強かったんだよね。大体いつも一位か二位で抜けてたし。
純香ちゃんと希望が続きをしているのを眺めながら、あたしは小学生の頃を思い出していた。