子守り ③
お久しぶりの投稿です!これからも、投稿がとびとびになると思いますが、少しでも楽しんでもらえるよう頑張ります!
「クウキさん。ごめんなさいね。掃除、ありがとうございます」
朝食がすんだのか、シスターが奥から出てきた。
「いいえ。お手伝いできたので、遠慮なく何でも言ってください」
僕としては、この程度どうということは無い。それに、周りを見て回ったら、修繕しないといけない箇所が何か所かあった。簡単でいいのなら、何とかなるのだけど、道具があればそれに越したことは無い。
「ところでシスター・アンネさん。長い板とかありますか?」
「私のことはアンネと呼んでいただいてよろしいですよ。板?ですか?ありますけど、どうされるのです?」
「柵と屋根下の修繕ができればと思ったんですけど、道具とかありますか?」
「まぁ!そんなことまで、よろしんですか?」
「はい。任せてください。あ、もし他に頼む様でしたら」
「いいえ!出来ることなら頼みたいのですが、ここには来たくないようでして・・・」
「?そうなんですか?なら、僕が出来る範囲で直しますね」
「ええ!是非お願いしますわ!」
すごく嬉しそうに言われるとやる気が出るな。
さっそく、道具と板をもって修繕に向かう。本格的な修繕は出来ないけれど、倒れたり、落ちてきたりしないようにするぐらいのことはできる。
多少時間がかかったけれど、どうにか午前中で終わらせることができた。その間、アンネさんが何度が様子を見にきてくれた。彼女にもやるべきことがあるだろうに、僕のことを気にかけて細やかに声をかけてくれる。子供たちには、まだ警戒されているけれど、なんとかなりそうだ。
◆
一日目が終わり、簡単な挨拶を子供たちとアンネさんにして、宿へと向かう。夕闇が広がる街並みを眺めながら、帰路についていると、レンさんが向かいからやってきた。
「おう。お疲れ。どうだった?」
「お疲れ様です。子供たちには警戒され。ましたけど、シスター・アンネさんにはよくしてもらいました。レンさんこそどうでした?」
「そうか。よかったじゃないか。俺は・・・。冒険者じゃないんだけどなぁ」
何があったのか、遠くを見つめながら、少し落ち込んだ声で呟くレンさん。
「まっ!俺も無事に冒険者の仲間入りかな!」
無理やりな声を出して、僕の肩を叩いてきた。本当に何があったんだろう。少し涙目なことに、突っ込んだ方がいいのだろうか。
けれど、それ以上何かを言える間もなく、宿へと向かった。
◆
「よう」
「カータさん!もう大丈夫なんですか!」
帰ったら、カータさんが普通に出迎えてくれた。
しかも、すごく軽く。驚いた。重症の重体だったとは、とても見えない。
「ああ。なんか、心配かけたみたいだな。その、なんだ」
何故か、すごくわたわたしているけれど、元気そうでなによりだ。
「よかったです。本当に」
僕はカータさんの近くまで行って心からの言葉を伝えた。
「おう。まぁ、な」
目線を上に向けって、頬をかいているところをみると照れているのだろうか?
僕としては、本当に無事でよかったと思っている。あのままだったら、きっと命は危なかっただろう。彼にはお世話になったし、何より無事に起き上がれて話してくれることがうれしい。
「でも、しばらくは安静が必要ですけどね」
そう、安心したように声をかけてきたさぁくすさん。カータさんが無事に意識を回復して安堵しているんだろうな。表情がやわらかい。
「十分寝たと思うんだがなぁ」
そんなことを言って、ちょっと憂鬱そうに顔をそらしている。
けれど、これで以前のように稽古を付けてもらえるし、なによりシーやしゃるねすさんも元気がでるだろう。
「そういえば、アルメスはどうした?こっちに来てるはずだろう?」
レンさんがそう言えば、医聖がちょうど二階から降りてくるところだった。
「なんだ。昼間のことなら謝らんぞ」
昼間にレンさんと何があったのだろう。彼はいつも通り、尊大な態度だ。それに加え、レンさんは嫌そうに顔を背けている。
「別に謝られたいわけじゃない。ただ、文句の一つくらい、言ってもいい事だろうが」
何故が喧嘩腰にレンさんがそう吐き捨てた。
仲が悪いのだろうか?僕は、レンさんとアルメスさんを交互に見る。
「ふん。別に構わんだろうが。あれだけ、動けるのだ。ならば、弱者を助ける手助けができることを誇るべきだ」
彼は、上から目線でしか言葉を返せないのだろうか?でも、レンさんは顔を歪めながらも、反論することは無かった。
「ところで。お前」
アルメスさんが僕を見る。なんだろう。ちょっと及び腰になってしまうな。
「どうだった」
何が?端的過ぎて、何を聞かれているのか分からない。
態度が尊大すぎてどう返していいかも迷ってしまう。
「孤児院だ。問題はなかっただろうな」
「問題は、ありません、でした」
何が問題なのか分からないが、特に支障なかったことは確かだ。
「本当か?」
なぜか睨まれてしまった。目つきが悪いな。聖職者というのは、なんだろう、りくしらみたいな感じかと思っていたけれど。違うのかもしれない。
「えー、と。問題、かはわからないですけど、今朝シスターが一人、飛び出して?いったこと、ぐらいですかね」
「なんだ。あの女、出ていったのか」
ふむ、と以外そうに頷いた。
「子供たちは、どうだった?」
質問が多い。どうしてか、睨まれたままなのが気になるところだけど。
「今日一日では仲良く、なれなかったですけど、慣れてくれれば、いいかなとは、思います」
「お前は、慣れたか?」
「はぁ、まぁ」
何だろう。すごく、答えづらい。尊大で上から目線で(背丈はアルメスさんが高いから、睨み下ろされている)僕が何かしたかな?と思ってしまうほど、疑われている感じがする。
「まぁ。いいだろう」
何が?でも、どうやら質問は終了のようだ。よかった。
「また明日も来る。今日は、ゆっくり休んでおくように。死にかけを治してやった礼は、きっちり払ってもらうからな」
そう、言いたいことだけ言って、帰っていった。




