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旅立ち

久しぶりの投稿です!

 カータさんと団長さんの怪我を治療するため、医聖とよばれる医者に会いに行くことになった僕たち。でも、基本的なことを聞いたら、協会に所属している司祭?さんだとか。

 司祭さんの役割がどういったものなのかまで説明されたなかったけれど、とにかく、協会の偉い人たちよりも偉い名医なんだとか。

 彼なら、カータさんや団長さんの怪我を、あの重傷を治療して回復して、全快させることができるということだった。

 でも、気がかりなことがある。


 道のりだ。


 二人の意識は依然回復していない。回復するまで待っていては、食事も水も十分に取れてない現状では、衰弱する一方なんだとか。でも、回復するまで待っていられないから意識のないまま運ぶことになった。


 どうやって運ぶのかは、また検討するとか。


 でも、ギルドマスターの息子さんがなんだが張り切っていたから、そこは心配いらないかもしれない。


「こいつらのことは、俺が責任を持つ。何があっても、絶対に連れていく」


 とまで言っていた。

 情に厚い人のようだ。でも、よく考えたらギルドの依頼で怪我をしてしまったのだから、彼らに多少甘えてもいいのかもしれない。


 資金面や、治療費の面で。


 そんなセコイことを考えているのは、僕ぐらいだけれど。さぁくすさんにそれとなく、治療費の話をしてみたら、「心配いりませんよ」と微笑まれた。結構稼いでいるから、お金の心配はしなくていいらしい。


 でも、いくら資金があっても、カータさんと団長さんをすぐに回復させることはできない。

 二人とも早く目を覚ましてほしいなぁ。シーのこともあるけれど、このままじゃ、しゃるねすさんやさぁくすさんも元気がないままだ。

 それに、顔の広いカータさんを見舞いに来る人たちも結構いる。もちろん、団長さんにも見舞客が大勢。その過程で、団長さんの部下や奥さんにも会った。みんなが、二人を心配している。


 挨拶をした団長さんの奥さんは、しゃるねすさんにそっくりだった。

 話をしてみると親子だということが暫らく分かった。そして、シーを引き取って一緒に住んでいることも。


 シーの事情については詳しく聞かなかったけれど、親元には戻りたくないと本人ははっきりと話してくれた。

 何があったのか、想像しかできないが、シーがそう決めたなら、それでいいと思う。


 ぶろっとるさんのお店にも顔を出して、剣のお代を少しでも払おうとしたら、

「まだお前さんの剣は出来てねー。売ってもねーのに、代金を受け取れるか」

 と、言われた。

 それならと、初対面の時に、投げてよこされた剣をかえそうとしたら、「お前はどうやって戦うつもりだ!」と怒られた。

 どうすればいいのか、困っていると「貸しえてやる。返しに来い。その時に、お前さんの剣を渡してやる」と背中をたたかれた。

 本気で痛かった。

 ぶろっとるさんの言葉に甘えて、僕はシルキーグリーンの柄の剣を借り受けた。必ず、返しに来ますと約束して。


 それと、でるすさんのお店には、いけないと思っていたけれど、お見舞いに来たはずのお客さんたちがあれこれと世話を焼いてくれたから、僕の手が空くこともしばしば。

 そこで、でるすさんのお店に行っては手伝い、夕食をいただくことができた。

 夕食が一番の問題で、これは不謹慎だけれど、うれしい誤算だった。

 なんとか、ご飯を確保して出発の準備も進める。でもこれからは、食事をどうするか考えなければいけないのが憂鬱だ。でるすさんの料理がなければ、まともな食事ができそうにないなぁ。


 そんなことを考えている間に、常連さんには挨拶もできたし、レンさんとも少し遊べた。


 そして、カータさんたちがキメラにやられてから7日経ったころ。ようやく、出発の準備が整った。

 急いで準備をし手配をしたが、やはり時間がかかってしまったのは言うまでもない。その間にも、カータさんと団長さんは衰弱していっている。


 そして、準備ができたのは、でるすさんのお店も同じだった。


 僕たちは別々の出立ではあるけれど、でるすさんのお店で軽くお別れ会を開いた。

 参加者は、僕にでるすさん、メアリーさんに、レンさんだけだったけれども、(シーやしゃるねすさんはカータさんや団長さんのことで余裕がなさそうで、さぁくすさんは出発まで安静にしてほしかったから)楽しい時間だった。


 そして、この時告げられたことだけれど、レンさんはカータさんたちを運ぶための依頼を受けていた。

 ギルドに登録しなくても、市井の人で料理や馬車の運転ができる人を雇う広告を見たとかで、僕たちと一緒に行くことになった。


 護衛は、キメラ討伐に参加したギルドメンバー数人が同行することになったと聞いたけれど、他にも人を雇っていたのは知らなかった。

 護衛の人は、面識がある魔術師のテッドルさん、双剣使いのしぇあさん、ギルドマスターの息子のカイサルさんの三人。

 長い道のりではないけれど、不測の事態になっても迅速に動けるようにと、必要最低限の人数だそうだ。

 諸々の準備が整って、明日出発する。



 翌朝は晴天。

 天気が崩れなくてよかった。カータさんと団長さんは相変わらず、意識は戻っていない。準備中に何度か意識が回復したけれども、長時間起きてはいられずにすぐに眠ってしまう状態だ。

 医聖に会いに行くことも話はしたようだけれど、二人がきちんと理解できているのかは不明だ。


 でも、このままじゃ危険な状態であることは変わりないから、少々の強硬手段にもでる覚悟だ。


 二人を馬車の荷台に乗せる。もちろん、ただの荷台じゃなくて病人に負担がかからないように、布団が敷かれ、替えの包帯や薬も十分すぎるほど準備している。


 そんな二人を診るのは、経験豊富な看護師・せーてぃあさん。

 御者のコルネスさんに、料理や医療の心得もあるレンさん(本名はヴァレンティノール)。


 ギルド側は魔術師のテッドルさん、双剣使いのしぇあさん、ギルドマスターの息子・カイサルさん。

 そして、さぁくすさん、しゃるねすさん、シーに僕。


 総勢十名となった。

 距離としては、町を二つ経由することになる。

 何事もなければいいのだけれど、近頃は魔物や魔獣の異常活性化が懸念されているとかで、いくら安全な道を進もうとも油断は禁物だと言われた。

 けれど、急ぎすぎてカータさんと団長さんの容態を悪化させるわけにはいかない。なるべく急ぎながら、けれど戦闘は避けつつ移動することに重きを置くことになる。


 無事につけることを祈って、僕たちは出発した。



 




次回は旅に移りますが、サクサク進むと思います。

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