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予想外の帰還②

登録が少し増えていました。ありがとうございます!久しぶりの投稿です。今回は少し暗めです。

 これで後は、さぁくすさんに会えれば全員の安否は確認できる。確か、魔法の使い過ぎで休んでいると言っていたけれど。


「出歩いて大丈夫なんですか?」


 僕は小走りで近づいた。

 教会の隣には、シスター達が寝泊まりできる場所があるみたいだ。その教会と宿舎を繋ぐ渡り廊下に、うずくまっているさぁくすさんを発見した。


「・・・・・ええ」


 声はか細く、目の焦点はあっていなくて、息遣いも荒い。大丈夫かと問いかけた僕の質問に律儀に返してくれてなんだけれど、絶対に大丈夫じゃない。

 目線を合わせるために、僕もしゃがんでさぁくすさんの肩に手を乗せる。汗を吸って、ぐっしょりと湿っていた。本当に、大丈夫じゃないな。


「とりあえず、部屋に」


 そういって肩に腕を回す。細く震える体、言うことを聞かない足にどうにか力を入れて、立ってもらう。

 彼ぐらいなら背負ったり抱えたりできるけれど、本人が嫌がりそうだしなぁ。


 どうにか、立ち上がってもらうが、さぁくすさんは息も絶え絶えに――――


「それ、より・・・・・・かーた、と」


――――と言ってきた。

 よくもまぁ、そんな状態で他人の心配なんてできるな。


「大丈夫です。二人とも一命は取り留めています。ぶろっとるさんが持っていた【木漏れ日の一滴】でだいぶ回復していますよ」


 そういうと、ほっと一息ついて、そうですかと小さな声で安堵していた。

 さぁくすさんがどれほど心配していたかよく分かる。でも、このままじゃ彼自身が衰弱してしまうだろう。早く、少しでも休んでもらいたい。


「そうです。だから、さぁくすさんは自分の体を優先してください」


 現状、歩くことはできるみたいだけど、二人と同じく安静が必要だ。それなのに、どうしてこうも無茶ができるのか。


「部屋はどこですか?」


 そう聞いて、さぁくすさんが指さした方は、教会側。

 ・・・・・嘘だな。


 だって。渡り廊下にうずくまっていた。その姿はどう見ても、シスターたちが寝泊まりしている宿舎の方から来たといった具合だ。

 だから、さぁくすさんはどう見ても、教会側へ行きたくて無理をしてきたのだろうとわかる体勢だった。

 さぁ、どうしよう。

 この感じだと、二人の姿を実際に見せないと部屋には戻りそうにない。


「・・・」

「・・・」


 しばらく、睨み合いというか、沈黙が降りた。

 さぁくすさんがクイッと、僕が回した腕を教会側へ引っ張ったことで、僕が折れた。


「知りませんよ?」


 しゃるねすさんに見つかっても。

 そんなことを言っても、さぁくすさんは行くのをやめなかったけれど。


 さぁくすさんに腕を貸して教会側へ歩いて行く。カータさんたちが、どこにいるか分かっていたから案内自体はすぐにできる。けれど―――


「サァクス!!何してるの!?」


 案の定というか、早速というか、やはり。すぐに見つかり怒られてしまいました。どういうわけか僕も。

 でも、ふらふらで息も絶え絶えなさぁくすさんをそんなに強く叱れない様子だった。でも、びーしや、びーしゃす?・・・自警団長さん(本当はヴィシェス)とカータさんの容体を見た後は、大人しく部屋で休んでくれた。

 でも。


「いい。空鬼。絶対に、絶対に、もう、絶対に。サァクスを、部屋の外に、出さないようにっ」


 と。どうやら僕が連れ出したと思われたようで、さぁくすさんの見張りを言い渡された。

 反論できずに、頷いていしまった手前、僕は大人しくさぁくすさんのお世話をする。


 といっても、寝ているさぁくすさんにしてあげられることと言ったら、寝汗を拭いてやることだけだ。


 彼も彼で重体といっても差し支えないらしい。

 魔術師は魔力を使い過ぎると死ぬこともあると言われた。さぁくすさんは今回はそこまでなかったようだけど、無茶をしていい体じゃないと言い(つの)られた。

 確かに、顔色は土気色で唇は紫。息もしずらいのか声を出すのもやっとだった。

 動けている分、大丈夫だろうと思ったことを反省する。


 彼も十分、無理と無茶をしたのだろう。


 どうしてこうなったのか、僕は詳しい経緯をまだ聞いていないけれど、カータさんとさぁくすさん、自警団長さん。この三人が重傷の割に、他の冒険者の方々が軽傷だということは、最前列で最後まで戦ったのだろうということは分かる。

 シーやしゃるねすさんには怪我らしい怪我もなかったし。


 そのことを考えると、二人が今どんな思いをしているだろうか。シーは泣いていた。それを見て、しゃるねすさんは泣くこともできない。

 僕よりも辛い思いをしているだろう。けれど、その思いを僕は軽くすることも、元気づけることもできない。それは、僕の役目ではないし、首をはさむことでもないだろう。


 僕は、みんなが回復することを祈りつつ朝を迎えた。







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