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道案内

今回は短めです。あいもかわらず、まったり空鬼。

 名前は空鬼(くうき)

 種族はオニ族。

 でも東大陸出身じゃなくて、イエサァル皇国が出身。

 両親は他界。同族を知らない。東大陸に向かうよう決意。でも、途中追い剥ぎにあい逃げた先で崖から転落。気づいたらここでしたー。


 わー。


 良かったね。本当に良かったね!ここら辺は落ちたらまず助からない渓谷群があっちこっちにある。それも気付かなかったら終わりだ。それを落ちて助かってるなんて。


 素直に誉めると、照れるように下を向く。あら、かわいい。


 でも、カータは。


「魔法使いか?」


「いいえ。才能はからっきしありません」


 疑ったようなことを言う。まぁ、すべて信じることは出来ないけど、露骨に警戒しなくても。


「あなたは?」


「は?」


「寝る前に痣、治してくれましたから。魔法ですよね?」


「起きてたのか・・・」


「何となくです。違いました?」


「才能なくても使えるようになるぜ。努力すればな」


「そうなんですね」


 な、なんか、空気重!

 そんな気にすることか!?


「まぁまぁ。ちょっとした治療なんかは覚えがいい人は使えますよ」


 サァクスが助けに入ってくれた。空鬼は分かってないようだけど、あとちょっとで剣を抜いてたところよ。もっと、危機感持って!


「ああ。そうなんですね。ありがとうございます」


「あ?」


「助かりました。ありがとうございます」


「・・・いや」


 カータが困ってる。なんか、この人毒気がないっていうか、マイペースっていうか。周りの事を気にしてないっていうか。まぁ、なんだか気が抜けてしまう人ね。


「じゃあ。これからどうする? 私たちと来る?」


 そうね。無一文でその身一つの状態じゃ、ここに一人残しておくなんてできないし。


「すみません。場所もわからないので、近くの村か町まで一緒に行ってもいいでしょうか?」


「困ったときはお互い様よ」


 そんな感じで、姉さんと空鬼の会話が終わろうとしている。カータやサァクスが何にも言わないから、大丈夫なんでしょうけれど。


「一緒に行ってもいいでしょうか?」


 うん?


 私たちを空鬼が真剣に見てくる。

 なんで?


「かまわねーよ」


「いいですよ」


 カータとサァクスがそれぞれ言う。そして、私に視線を向けてきた。


「・・・・うん」


 律儀な人だ。全員に聞かなくてもいいのに。もしここで一人でも駄目だって言えば、どうするつもりだったんだろう。


「ありがとうございます」


 そういって、頭を下げた。

 なんていうか。


「はぁー」


 カータがため息をついた。たぶん、警戒しているのがばからしくなったんだと思う。私もそうだから。でも、なんだかほっとけない。

 こういうのを人柄っていうのかしらね。



 なんだ。こいつ。

 話してて気づいた。こいつに、警戒心はない。いや。俺たちが警戒していることは分かってるだろう。けど、それを気にしていない。

 なんなんだ。


 今だって。荷物運びを手伝ってくれる。

 俺たちだけでも十分運べる量だが、助けてもらった礼だなんだといって持っている。変な奴だ。一日前は死にそうにしてたくせに。

 いくらサァクスの回復魔法の効果だといっても、こうあからさまに感謝されると疑いにくい。


 いや。別に何を疑うこともないんだけれどな。


 冒険者なんてやってると、自然に自分と仲間以外は警戒しちまう。

 それなのに。


「どうしました?」


 俺が見ていると声をかけてくる。

 いや。警戒しているとか言えないだろうよ。


「いや」


「そうですか」


 そういって会話は終わるが、何を考えてるのかいまいち分からん。締まりのない顔をしているくせに。


「そんなに警戒しなくてもいいのに」


 シーはそんなことを言ってくるが、警戒するなって言うほうが無理だ。いや。もうほとんど警戒なんてしてない。

 毒気を抜かれたっつうか、バカらしくなったっつうか。

 ああ。こういうのを人柄とかいうのか。

 はぁー。バカらしい。


「カータさん」


「あ」


 空鬼から声をかけられた。

 なんだ?


「誰か来ます」


 ・・・・おいおい。俺より先に気付くのかよ。

 空鬼が俺に言った通り、前方にそいつらは現れた。姿隠しの魔法で隠れてたんだろうな。俺たちが気づいていないと思って驚かそうとでもしたのか、そいつらは威勢よく―――


「身ぐるみ置いていけ!!」


 ―――と、のたまりやがった。

 くだんねー。


「相変わらず瞬殺ね」


 そういって苦笑いをするシャルネスも容赦なくぶん殴っていた。俺だけが反応したわけじゃない。


 出てきた盗賊は全部で10人程度。奴らが声を上げたと同時に俺が切り込み、シャルネスが援護で加わった。魔術師のサァクスに半人前のシーが出てくる暇もなく、ものの3分程度で全て片付いた。


 あーあ。こっちは、仕事で疲れてるっつーのに、無駄な体力使わせんなっ。懸賞金がかかってたら、張り切りようもあるが、こんな小物じゃそれも期待できない。


「彼らは盗賊でしょうか?」


「そりゃそうでしょ」


 空鬼がおかしなことを言って、シーがそれに応えている。

 なんだって、緊張感がないんだこいつ。今しがた襲われたばかりだぞ?のした俺が言うのも変だけどさ。


「カータさんもしゃるねすさんも強いんですね」


 何が楽しいのか笑いながら言う空鬼にシャルネスも同じように笑って応えている。たく、この程度の盗賊紛いの連中を倒したぐらいではしゃぐことでもないだろう。シーだって時間をかければ倒せるぞ。


「道中はこんな感じなんですか?」


「いいえ。逢うこともあれば、逢わないこともあるわね。運次第よ」


「そうなんですね」


「旅ははじめてなんですよね」


「はい。なので不慣れで、こういったこともあまりなかったので」


「あったら驚きよ」


 てな感じで、和やかに進んでいる。いや。雰囲気がいいことはいいけどさ。なんか、釈然としない。

 こいつは、俺よりも先に盗賊に気付いていたし。気付いていながら何もしなかった。手を出さなかった。でも、旅は不慣れって。矛盾してないか?


 シーは普通に納得しているけど、サァクスはさり気に俺に目配せを送るあたり、気にしてるんだろう。まぁ、こっちとしては深入りする気もないしな。

 このまま、こいつを街まで案内すれば済むことだ。






次から、異世界の生活を出していけたらなぁと思ってます。

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