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新な出会い

新キャラと出会います。相変わらずのマイペースっぷり。いつでも、どこでも空鬼は空鬼。

 俺はテントに運んだ男の隣に横たわる。

 こいつがどんな奴かわからないから、身体検査はしてある。武器の類はいっさいなく、魔法使い独特の気配もない。

 けれど、体は鍛えられていた。

 運んだ感覚からいって、多分、仕事柄鍛えられたって感じじゃない。


 戦うために鍛えている。


 戦いに使う筋肉と、農業や炭鉱に必要な筋肉はつき方から違う。

 こいつは戦える奴だ。それも、けっこう腕がたつ。

 しなやかともいえる体つきに、バランスのとれた体型をしている。それもあって、俺が見張りを請け負ったのに。シーのバカ。サァクスは分かっていただろうに、どうしてあいつに甘いんだか。


「はぁー」


 まぁ。仕方ない。俺が見張ればいいだけだ。

 でも、衰弱しているのは本当だろう。拾ったときは青白い顔色で、まともに回復を待ってたら危なかった状態だ。

 いくら腕がたっても今の状態なら仕掛けてこないだろうな。


 寝るか。


 こいつに武器はないし。もし、魔法使いだとしても返り討ちにする自信はある。

 テントといっても、寝るためだけのものだから狭い。俺が横になるとそれだけでスペースがなくなる。こんな中で襲ってこようとしても、すぐに反撃できる。そう思って早々に目を閉じた。


「・・・ぅ」


 しばらくして、うめき声が聞こえた。

 ・・・打撲の打ち身っつってたからな。寝返りを打つのも痛いのか。

 俺は隣で寝ている赤髪の男を見る。その肩口には、紫の痣が痛々しいく残っていた。ふん。野郎がいくら痛がろうが俺の知ったことじゃないが。怪我人をただ放っておくのも寝覚めが悪い。


「治癒」


 多少の治癒魔法なら俺でも使えるからこんなもんだろう。

 患部に手をかざして囁く。それだけで、紫の痣は少しだけその痕を薄くさせた。サァクスみたいな専門家じゃないからこの程度だが。安眠できるだろう。


「ねむ」


 今日はこいつ運ぶのに疲れた。



 カータは数分で眠りに落ちた。

 どんな環境でも休息がとれるように体がすでに出来上がっている証拠だ。そして、それは空鬼も同じ。


 ぱちり、と目を空ける。


 カータを見て、己の肩口を見る。

 またカータに目を合わせる。

 それだけで、素直に目を閉じた。


 指先の感覚は戻ってきている。体のだるさも気にならない程度に回復した。それでも、いましばらくの休息が必要と判断し、また眠りに落ちる。


 意識は覚醒させたまま、周りの音を拾いながら、体を休めるために目を閉じる。



 朝日が上る。

 清々しい朝だ。木々の間で小鳥たちがさえずり、朝の涼やかな風が吹き抜ける。


 朝日が昇ると同時に、私は目が覚めた。


「は!」


「おはよう」


 隣には姉さんがいた。

 また、やってしまった・・・・。


「お、はよう。あの、私」


「寝るなら見張りの意味ねーじゃん」


 申し訳なくて顔をそむける私に、優しくない言葉がかかる。こんなことを言うのは一人だけだ。


「カータ」


 姉さんがカータを諌めてくれるけれど、言われたことはもっともだから、私はなにも言い返せない。


「ふんだ!乙女には休息が不可欠なのよ!」


「言い返す言葉がそれかよ」


 言い返すつもりなんて無かったのに、言葉が無意識に出てしまった!ああ、言い返さなきゃよかった。どうして、言い返した私。


「ご飯作るわね」


 無言でカータを睨む私の頭を撫でて姉さんはテントに向かう。食料を取りに行ったんだ。

 私も手伝いたいけど、火には近付くなっていわれてるから、大人しく薪拾いに向かう。ただ、向かう前に昨日のことを思い出す。


「あ!そうだ。彼は起きてるの?」


「うん?いや。起きてねーよ」


「どうするの?」


「さーな」


 何て冷たいやつ!このまま、起きなかったら彼はご飯を食べられないじゃないの!

 ああ、こんな冷たいやつがどうしてモテるんだろう。世の中の女性はカータの本性をもっと広く知るべきよ。

 そんなことを思いながら私はテントに向かう。たぶんサァクスと一緒にいるだろうから、一言告げて入る。


「おや。おはようございます」


「おはよう」


「どうしました?」


 サァクスが不思議そうに聞いてくる。サァクスの前には、いまだに寝ている彼が横たわっていた。顔色は昨日見つけた時よりだいぶ良くなっている。この調子なら、すぐにでも目覚めそうなんだけど。


「ううん。だだ、目が覚めそうかなって思って」


「そうですね。まだ、回復まで時間がかかるかもせれません」


「なら、朝ごはんどうしよう」


 無理に起こすのもしのびないし。だけど、このまま眠ったままじゃご飯が食べられない。弱っている時こそ、ご飯を食べて元気をつけないと。


「食べてもいいですか?」


「食欲あるなら食べた方がいいわね」


 そうしないと、いつまでも動けないままだし。それに、事情も聴きたい。どうにか、起きないかしら。

 て、あれ?


「なら、頂いてもいいでしょうか?」


 あら?


「お、起きてるー?!」


 いつの間に目を開けて私たちを見てるんですけどー!?


「はい。おはようございます」


 さっきまで寝てたと思ったのに、はっきりとした口調と態度でそのまま起き上がってきた!


「おはようございます」


「おはようございます。すいません。話しかけるのが遅れてしまって」


「いいですよ。タイミングって難しいですから」


「た、むんぐ?よくわかんないですけど、朝ごはんに釣られて起きました」


 へらりと笑いなが、呑気に話す。寝てるときは精悍な男の人だったのに!なんか、ショックが・・・。しかも、サァクスも普通に話しているし。え?なに?起きてるの気づいてたの?そうなの?


「じゃあ一緒に食べましょう。話も聞きたいので」


「分かりました」


 驚きすぎてる私をよそに、二人は意気投合していました。



 起きたのはずいぶん前だ。

 一人が起きたのはすぐに分かったけど、素直に起きてもいいものか迷ってしまった。警戒されていることは分かるから、そのまま普通に起きることができなかった。

 僕としては不本意なんだけれど。


 そんなことを思っていたらもう一人が入ってきた。

 姿は分からないけれど、気配は落ち着いている。僕のことを治療した人だろうな。

 どうしようか?せっかく、親切にしてもらっておいてなんだけれど、この人たちがどういった人たちなのかわからないからなぁ。でも、いつまでも寝たふりはしてられないし。


 うん?


 また、誰か来た。

 どうやら、僕を見つけた人のようだ。

 うーん。女性かな?

 しばらく二人が話すのに耳を傾ける。そしたら――――


「なら、朝ごはんどうしよう」


「そうですね」


「食べてもいいですか?」


「食欲あるなら食べた方がいいわね」


 ご飯の一言で起きた。

 お腹すいてたんだよね。宴の席でもほとんど食べられなかったし。その後は戦闘だったから体力が底を尽きかけてる。

 ご飯の一言は魅力的だ。


 普通に起きた僕を見て驚いたようだけど、その後は大人しくご飯を頂きました。


 その時紹介されたのが、強面だけどきれいな顔の男の人。僕を運んだカータさん。巨体な剣を背負っている。一番僕を警戒している人だ。

 次に目元を青い仮面で隠した魔法使いのさぁくすさん。裾の長い衣装で杖を持っている。とても落ち着いた雰囲気の人。たぶん声から男性。目元が見えないけれど、中性的な顔立ちをしている。


 そして女性が二人。一人はたれ目で金髪のしゃるねす(・・・・・)さん。カータさんとは違い細い剣を腰にさしている。緑色の瞳が印象的な美人さんだ。

 もう一人が、この中で一番小さくて一番年下のシー。勝気な少女で釣り目が印象的な可愛い顔の女の子。しゃるねす(・・・・・)さんを姉さんと呼んでいるけれど、本当の姉妹じゃないみたいだ。


 そんな人たちに囲まれて食べる食事は、味なんて分からなかったけど、お腹がすいていたからかまわない。話す前に食べさせてください。






次から少し動きます。

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