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盗賊の根城 ⑧ 作戦は昼間に限るでしょ!

白昼堂々とした盗賊団になってしまった。

空鬼としても、夜よりもいいかなって思ってます。たぶん。キーくん視点で動いていきます。

 作戦開始。


 商隊が通るのをおとなしく待つ。

 天気は晴天。

 つまり、真っ昼間の白昼堂々と襲うのだ。


 こんなに堂々とした盗賊団でいいんだろうか??

 まぁ、いいのか?


「もうすぐだ」


 お頭さんから声をかけられて、僕は気を引き締める。もとより、油断はしていない。


「来たら俺の側から離れるなよ」


 そう声をかけられるけれど、僕は大丈夫なんだけどなぁ。けど素直に返事はしておく。



 今、俺の目の前を商隊が通っている。文字通り、目と鼻の先に居る。けれど、やつらは一切気づいていない。

 あ、俺キーです。

 何だかんだで、空鬼の世話をしてる「虎の獣人」のキーです。丸い耳に尻尾があって、自分で言うのもなんがだけっこう俺イケてる。

 狐の獣人であるお頭の元に、虎である俺がいるっていうのも変な話だが、そこは、お頭の人柄に惹かれて身を寄せているので変なことではない。

 

 さて、唐突ですがここでの常識の話。


 空鬼はうちに入ってきて一ヶ月の新人だ。

 そんなやつが、今回のような大きな作戦に参加なんてさせてもらえない。ちょっとした失敗か命取りだからだ。

 だから、普通はない。

 もっとも、食料調達だって若造にはさせない。理由は魔物が出るのと、若いやつらほど死ぬ確率が高いから。

 だから、空鬼は異例中の異例だ。

 腕は立つようだし、お頭とも仲がいいようだ。


 “あの”お頭と。


 気にくわないやつは、とことん追い詰めるお頭と“仲がいい”。

 サイネンストさんでも遠慮している部分に平気で立ち入るし、お頭の機嫌が悪くてものほほんとしている。こっちは、見ててハラハラしてるっていうのに。


 そんな奴なのに、お頭は黙認している。

 武器だって持つとき、ためらいもせず中古品を選んだ。いいけれど。勧めたのは俺だけと。まさか、躊躇なく選ぶとは。


 しかも、使う気はさほどなさそうだ。


 そんなやつ。

 そんな変わったやつ。

 何にも知らないやつ。


 会ったときは常識がまるでなくて、どこから来たんだってしつこく聞いたこともある。


 どうやら、オニ族らしい。証拠に角を見せろって言ったけれど、今まで一度も角は見せてもらえてない。

 でも、いつもバンダナで額を隠しているから嘘ではないらしい。

 オニ族はみな額に角があり、皮膚の下に隠すと独特のアザができると聞いた。たぶん、見られたくなくて隠してるんだろう。

 見せたがらないのも、角は弱点の一つだから。だから、隠すのは当たり前だ。

 

 けれど、空鬼はオニ族で、戦いが生業の一族。

 でも、空鬼の雰囲気はふわふわして、つかみ所がない。そして以外と仲間思いのやつだ。


「もうすぐだ」


 お頭がみんなに合図を送る。皆合図を皮切りに、気合いを入れ換える。

 空鬼もそうする。ああ、そうそう。仲間思いのいいやつなんだけれど、どうも隠し事が多くあるみたいだ。

 皆と一緒にいるときは楽しそうにしているけれど、川辺に一人でいるときは話しかけずらい雰囲気を纏っていた。どうも、一人でいるような、独りぼっちのような。


 見てて、やるせなくなる雰囲気を纏っていた。


 見たのは一度きりだけれど。それだけで、何か事情を抱えている奴だと俺はピンときた。だから、しつこく問いただすこともなくなったんだけれど。

 ああ。余計なことを考え過ぎだな。

 今は目の前の仕事に集中しないといけない。


 商隊が護衛を展開させながら進んでいく。

 俺たちはそれを半まで見送る。数分すると、先頭からざわめきが上がった。


 始まった!


 今回の作戦は複数の商隊を相手にするから、本隊と陽動隊の2つに分けた。

 先頭が陽動隊。そして、街頭の茂みに隠れている俺たちが本隊!


 護衛連中が先頭に駆け出す。加勢に加わるのだろう。だが、それが間違だ!


「ハイス!」


 お頭が鋭く声をあげた。

 今までハイスさんが施していた隠蔽魔術が解かれた。これぼど近くにいながら、まったく警戒されなかったのは、一重にハイスさんのおかげだ。

 “異色の魔術師”の二つ名は伊達じゃないぜ!

 俺たちは飛び出し、驚いている護衛や御者を排除する。

 対した抵抗もされず倒せるのは楽でいい。


 これは、お頭の力。


 “影使い”ロミネ。


 森の影を伸ばして、動きを阻害している。

 狐の獣人の中で稀に影を操る者が生まれてくる。それが、お頭だ。しかも、その扱いは一流で、影で絞め殺したり、ただ拘束したり、痛みを与えたりもできる。しかも、その範囲が半端ない!

 自分の影なら拘束は二人か三人が限界みいだけど、森の茂みの中なら、その広さの分だけ影を操れる。

 夜なら無敵!

 魔法ではなく特殊な能力だと聞いた。


 魔術師であるハイスさんですら真似できない力。

 うちの頭は凄いんだぜ!

 だから白昼堂々と襲えるんだ。てか、夜中だと、俺らがお頭の足引っ張ることになるから、昼間に決まっているようなものだ。

 影を操るっていうのも、状況を把握出来なければ諸刃の剣でしかないらしい。


 でも、やっばりすご!


 だって一時間とたたず、お宝ゲットだぜ!

 つうか―――――


「すご!なっ!すごーー!!」


 金銀財宝、お宝の山!

 貴重品から名品、珍味に名酒、上等な生地からきらびやかな装飾品の数々!しかも、一つの馬車だけじゃない!合計13の馬車に乗せれるだけ、乗せている!

 なんですか、これわーー!


 仲間と一緒に夢中になって袋に詰める!

 詰められない分は、自分の服に詰める!

 がめたりしない、したら後が怖いからな!


 取り零しがないように、奪う。奪う。

 もう、さいこー!


 ああ、空鬼はラッキーだな!こんな美味しい時に実践積めて!


 大した腕のやつはいなかったし。抵抗もほとんどされなかった。

 やっぱり、頭はすげーや!


 お宝を詰めるだけ詰め終わり合図がかかる。

 それを境に、俺たちはアジトに戻っていった。戻ったら宴会だー!


「おい!空鬼早くしろ!」


 一人なにも持ったず突っ立てる空鬼に声をかける。あいつ、どこ見てんだ?





なんか主人公が目立ってない。。。

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