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盗賊の根城 ⑦ 出撃準備は念入りにしましょう

久しぶりの投稿です。相変わらず、空鬼はぽやぽやしてます。でも、彼はやればできる子です。

 あれから、商隊の襲撃のために三日間、準備に時間をかけた。

 大きな商隊だそうだから、当然の準備なんだろう。だってこの襲撃に、盗賊団の半数以上が参加する。それを考えたら、かなり大きいところの商人なんだろう。


 お頭さん率いる盗賊団。

 ティン・フォックス(銀貨の狐)。


 けっこう有名所らしい。

 サイネンストさんに会ったとき、追いかけていた女性も貴族の娘だったらしい。捕まえた後、身代金を要求してがっぽりと金品を巻き上げたとキーくんから聞いた。

 誘拐だったとは思わなかった。

 まあ、彼女がどうなろうと僕はどうでもよかったから、知ったのはほんの最近だ。知った経緯だって、世間話でサイネンストさんとの出会いを話したら教えてくれた。


 だから、今回のことも頻繁にではないがやっていることらしい。

 準備も手際がよく、皆は自分の役割が解っているようだ。


 僕はお頭さんについて行くだけだけど。


 しかし、盗賊なんて何年ぶりかな?あのときだって、路銀の足しに数日やったけだから。

 確か、あのときは青鬼が張り切ってたから、僕は対して何もしてなかったな。ノリノリで旅人とか、商人、それに一般の盗賊(・・・・・)からもお金を巻き上げてたし。


 うん。何とかなるだろう。



 作戦決行の日。

 つまり当日だ。準備万端。出発の合図を待つばかりというときに、問題が出た。


「お前、武器って何?」


「え?」


 キー君が出発前に言ってきた。

 確かにみんな武装していて、僕だけ丸腰だ。いや、革当てぐらいしているけど、武器は持っていない。


 何の疑問もなく。このまま行くつもりだったし。

 僕がどうしたらいいのかな?って顔をしていたら、キーくんが不思議そうにしながらも教えてくれた。


「剣ならそこの、適当に使っていいぞ」


 そう言ってキーくんが指差した先には、武器が小山を作っていた。つまり、剣の小山があった。

 ただし、鞘が錆ついてないものがない。全てが古く、全てが切れ味悪そうなものばかり。

 粗悪品ならぬ、中古品。

 (なまくら)ならぬ、中古品。


「・・・・・・・・」


 小山の前に立って、しばらく見てみるけれど変化があるわけもない。だから、適当に手にとってべると(・・・)に差した。


 たぶん、使わないだろうけど、教えてもらったから一応。



 今日は大切な日だ。大事な一日だといっていい。これで、俺たちは食いつないでいるんだから。そこを、忘れちゃいけない。


 戦いにおいて、武器とは攻撃の手段であり、防御の要になる。

 それなのに、こいつは。


「おい。それで本当にいいのか?」


 粗悪品というわけでも、鈍といわけでもないが、中古品の剣をベルトに無理やり差した剣で武装していた。いや、剣帯ぐたらい貸してやる。


「え?別に大丈夫ですよ」


 ・・・・・・・いやいや。ないない。こいつまじかよ。


 素で言ってやがる。何変なこと言ってるんですか?ってわけでじゃなく、マジで真剣に「大丈夫」だといっている。

 俺の言葉で異変に気づいたサイネンストが、見かねて剣帯を貸すと言ってきた。いや、マジで心配してしまう。


「・・・・ちなみに、剣は使えるのか?」


「数回振ったことがあるだけです。だからほぼ、初めてですね」


 サイネンストが遠慮がちに聞いたことに、空鬼はけろっとして答えやがった。

 こいつはどういう神経をしてやがるんだ?


「槍は?」


「少しなら。でも、素手が一番いいんでこれ(・・)でいいです」


 命を預けるべき剣をこれ(・・)扱い。

 本当に大丈夫か?いや、素手で戦っているところを見ているから、こいつの技量は確かだが、これからやるのは奪い合いだ。


 金の奪い合い。命の奪い合いだ。


 それなのに、軽装で頼りない武器で武装している。はっきりいって舐めているとしか見れない。


「本当にいいんだな?」


「はい」


 再度サイネンストが確認をする。そして、俺を振り返って「どうします?」って顔をした。

 まぁ、本人が大丈夫だというんなら大丈夫なんだろう。そう思い、首を振って答えた。はぁー。俺の後ろに居させればいいだろうしな。



 商隊の襲撃は3時間後になった。

 今から向かい、待ち伏せることになる。けれど、どうもいい予感がしない。

 何かあるのかもしれないなぁ。


 けれど、今僕の手の中にあるのは中古の剣だけ。


 たいして使ったこともない物を使う気はないけど。刀以外使えない訳じゃない。槍、弓、棍棒もある程度は使えるけど、動きはどうしてもこの世界のものではないだろうし。


 まぁ、牽制にはなるだろう。

 切り付けられれば、それでいい。腕の立つ用心棒を幾人か雇っているといっていたけれど、それは大半がサイネンストさん率いる部隊が相手をする。

 僕としては前に立ちたいけれど、お頭さんに恩を返すのが先だ。

 恩人の側を離れて何かあるのはいやだ。


 ・・・・ああ、駄目だな。この昔からの癖は。


 直さないといけないのに、こうして同じことを繰り返している。

 とうの昔に辞めた(・・・)というのに。こうして、(かたわ)らにいるってことをしてはいけないんだけれど。

 まぁ、僕が鬼ってことはお頭さんは知っている。ただ、この世界のオニと、()とでは違うらしい。話を聞いただけだけど、戦いに特化した種族だと言っていた。


 オニの力については、一族で違うらしい。ただし、僕のような力(・・・・・・)はないようだ。僕たちの世界では、大なり小なり鬼族ならみな持っていたんだけれど。

 そして、条件がそろえばその「力」は無条件に使える。


 けれど、それはここにはないらしい。

 だから、僕は実際のところ刀だけじゃなくて、「力」すらだしてはいけない。

 けっこうきついけれど、どうにかするしかない。まぁ、僕自身が武器を見つければ、多少違うのかもしれないけれど。 


 もうすぐ作戦開始だ。





次戦闘シーンにしたいですけど、無理っぽい。新キャラの彼が出てきます。

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