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植物採取

久しぶりの投稿です!カメ更新ですがよろしくお願いします!

「はい。確かに、討伐依頼達成を確認しました」


「ありがとうございます」


「お疲れ様です。ユーリョフー、ユリョティ、じゃない。・・・・ユーリテさんからの依頼が来てますが、どうされますか?」


 ユーリテの名前、やっぱり言いづらいんだな。みんな、舌を噛んだ顔をして名前を呼んでるし。

 僕は名前を聞いた時点で、きちんと呼ぶのを諦めた。


「受けます。どの薬草ですか?」


「あ。すみません。薬草採取の依頼では無く、討伐依頼なんです。なんでも、魔物の身体に寄生している植物、らしいんですが」


「へぇー。そんな植物もあるんですね」


「寄生植物の類いですね。採取も特殊な道具が必要になります。下手をすると、自分の身体に寄生してくるので、気をつけないといけないんですが」


「・・・そうなんですか。結構、危険なんですね。僕一人だと、難しいかもしれません。ユーリテと相談してみますね」


「そうされた方がいいですね。依頼は受理しておきます。期限は特に決められていないので、採取出来ましたら、報告をお願いしますね」


「はい」


 怖い植物もあるんだなぁ。

 植物のあやかしならいたけれど、この世界は生き物に寄生するのか。

 取りあえず、ユーリテのお店に言って、詳しく聞こう。素人の僕でも採取出来るのか不安だし。



 ユーリテのお店に入ると珍しく、コウリンちゃんではなくユーリテが店番をしていた。いつも、後ろの工房で薬を作っているのに。


「こんにちは。珍しいですね」


「ああ。こんにちは。今コウリンには買い物に行って貰っているから、私が店番をしているだけだよ」


「なるほど」


 コウリンちゃんとユーリテは、このお店の二階に住んでいる。自炊も自分たちでしているから-主にコウリンちゃんがしているみたいだ-そのための買い出しで外に出ているんだろう。


 でも、ユーリテに話があったからちょうど良かった。薬を作っているときに話しかけても、集中しすぎて声が届かない事があるからなぁ。


「ギルドで討伐依頼を聞いたんですけど。寄生している植物の採取って難しいですか?」


「ああ。難しいよ。失敗すれば、そいつに寄生されて生きた屍になるからね」


「じゃあ採取できないですね」


「待て待て。失敗すれば、だ。失敗しなければ大丈夫」


「僕やったこと無いですよ」


「私がやるから安心しろ。クウキが魔物を倒してくれればいい」


「それで良ければ」


 軽く受けると、「くれぐれも私に危害が及ばないように戦ってくれ」と言われた。ユーリテが何を怖がっているか分からないけれど、危険が無い討伐なんてないと思うんだけれど。



 魔物に寄生する植物-ヒドノロウツボ。

 寄生された魔物は酷い空腹を覚え、凶暴化し辺りにいる動物や同族まで食い殺す。


 食事をしても栄養は全て寄生植物であるヒドノロウツボに持って行かれる。宿主である魔物が強力であれば、寄生されることはないが、一度寄生されれば、引き剥がすことは困難となる。

 宿主が殺される、または飢餓で死ねば、胞子を飛ばし、新たな魔物へ寄生する。


「ね?とても面白いとは思わない?」


「全然、面白くございません!」


「どうして?魔物に寄生する植物よ?胞子を飛ばすとあるから、きっとキノコのような見た目ではないかしら。この目で見てみたいわ」


「ご覧になる機会はないかと思います。そんな恐ろしい魔物、焼き払われてしまいますよ」


「ええ。きっとそうね。でも、冒険者たちはこんな物といつも戦っているのでしょう?お父様に相談すれば、彼らから面白い話を聞けるからしら」


「お許しにはなりませんよ、きっと。冒険者など粗忽者(そこつもの)ばかりでしょうし」


「あら。きっと紳士的な方もいらっしゃるわ」


 そんな冒険者は本の中だけの話だ。姫様は外の世界に少し夢見がちなところがあるから。私がしっかりしないと。

 でも、姫様のなさりようを見ると、街に降りようとしたり、図書館に通ったりはまだかわいい方だわ。

 森に行きたいなんて言い出したら、私では止められる自信がないもの。


「そうだわ!今度お兄様がお忍びで、街に視察に降りることになっているの。私も一緒に言っていいか聞くわね。もし、行っていいと言われたら、ついでにギルドによって貰って、お話を聞けるかもしれないわ!」


「おやめください!!」


 わー!!思ったそばから、危険な思いつきをされてしまった!

 どうしましょう!殿下は姫様に甘いから、きっと許可されてしまうわ!!ギルドぐらいどうと言うことは無い、とか言いそうだもの!


「そうと決まれば、お兄様のところに行ってくるわね。街に行くお忍び用の服を考えておいてちょうだい」


「そ、そんな!」



 知りたい事を深掘りすれば、こちらが不利になる。まぁ、王城への不法侵入など、処刑されても文句は言えないんだが。

 しかし、困ったな。これ以上の事を調べるとしたら、内部に精通している者を仲間にするしか無い。王城勤務でそんな奴いるだろうか。

 王族しか入れないような場所まで行ける者は限られるだろう。宰相とか、騎士団のトップの奴とか。

 そんな連中が簡単に買収されるわけも無いだろうし。

 下っ端を脅して調べさせても、捕まって俺たちの事を話されるだけだろうしなぁ。


 知識の国。叡智の砦。


 簡単に口を割らない、頭の固い連中が多い国。

 下調べをしても、隙が無い。商団を襲うのとはわけが違う。例え、王族が遠征したところを捕まえるにしても、俺たちの被害が大きいばかりだ。


 それなら、正攻法で盗みに入る方がよほどましか。


 魔術で突破出来ないなら、魔術以外で突破するしか無い。




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