平和の中の一瞬
逢魔が刻。
日が沈み魔が、目覚める時間。
又は、世界の境界が曖昧になるとき。
その儚く短い時間が、奇跡を呼ぶ唯一の時間。
日が沈めばまた日が昇るが。この一時しか世界を跨ぐ奇跡は起こせない。
だからこそ大国イェサエル皇国はこの一瞬に、世界の命運を託した。
◆
日本の片隅。
古びた祠があった。
誰も参拝に来ることがないだろう森の中、切り立った崖の先に。
人など誰も来ないだろう場所に立つ、祠。
だが、祠に続く道は確かにある。
人が通れる獣道が細々と続いている。そして、人ではないモノも訪れているようだ。祠の前には、森にある果物や小さな木の実が供えられていた。
祠の前、切り立った崖のその先には小さな集落があった。
小さな村だ。
細々と人々が身を寄せあい、穏やかに暮らしている。そういった雰囲気を持つ村がある。
この時間帯は畑がある道々に、夕日に照らされ人々が家路を急ぐ姿が見られた。
穏やかな日常。終わりのない生活の中で、祠はまるで人々を見守るようにそこにあった。
日本のある時代設定をつけていますが、平安時代あたりだと思ってください。ただ、平安時代の時代背景をあまり知らないのでイメージで。