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アカハラワカバインコに会いたい!!

タスマニアでは、野生のインコやオウムが何種類か観察できます。

固有種であるアカビタイキクサインコ、その親戚のナナクサインコ。夏になると大陸から渡ってくるオトメインコにアカハラワカバインコ。群れでギャーギャー騒ぎまくりのキバタンにキイロオクロオウム。夜行性でめちゃくちゃシャイなキジオウム……。

公園や郊外で、しょっちゅう目にする子もいれば、ある特定の場所で粘りに粘って、運が良ければやっと見られるという、レア度の高い子まで各種取り揃えております。

その中の一種である「アカハラワカバインコ」。

タスマニアではもちろん、オーストラリアや世界中のどんな鳥の中でも、レア中のレアすぎる鳥がこのインコ。

何せ、野生では35羽程度しか生息していないという最新の調査結果も出ているくらいで、IUCNのレッドリストには「critically endangered」にランク付けされているというお墨付き。

繁殖期である夏をタスマニアで過ごし、冬になると大陸に渡って越冬をする、渡りをするというちょっと変わった習性を持つこのインコが、ほぼ確実に見られるという場所が実はタスマニアに一ヶ所あったりします。

それが「メラルーカ」と呼ばれる場所。アカハラワカバインコの大好物のボタングラスという草が豊富なため、ほとんどのインコがメラルーカ付近で繁殖するとかしないとか。

そのために、アカハラワカバインコの観察所+エサ場がここに存在しています。

ちなみに、日本のテレビ番組で何度か「太古の赤い海」と紹介されたこともある、バサースト湾はここの近くにどーんと横たわっております。

このメラルーカ、自動車道なんていうものは全くない、まさに陸の孤島に位置しているので辿りつく方法は主にたったの2つ。


その1【サウスコースト・トラック】

川を越え、膝までどっぷり浸かるようなぬかるみ道を越え、丘を越え……。「どこがトレッキングコースやねーんっ!!」と突っ込みたくなるような悪路を、食料、水、テントなど、必要なもの全て担いで歩かねばならないという、色んな意味でサバイバルなトレッキング・コースを1週間近くかけて歩く。

ちなみに、このコースがあるサウスウェスト国立公園はタスマニアでも有数の降雨量を誇る場所なので、悪路+土砂降りという悪夢が待っている可能性が無きにしも非ず。


その2【セスナ機ツアー】

ホバート郊外から出発するこのツアー。

一見、少々料金は高いかな?と感じるけども、ガイド付きだということはもちろん、観察所にてモーニングティー、バサースト湾クルーズ、バサースト湾の中でのランチ付きなので、実際のところ、あれ?そんなに高くないのかも?と感じるお値段。

本当に小さなセスナ機で飛んでいくので、高所恐怖症の方や、乗り物酔いの酷い方はちょっとご注意あれ。


実はこれ以外にも、ヘリコプター、小型船、セスナ機をチャーターをしたり、シーカヤックやヨットを持ってる人は海側から攻めてみたりと方法はあるんですけど、ごく普通の一般人は、徒歩かツアーを選ぶのが一般的です。

そんなメラルーカに生息する、憧れの野鳥アカハラワカバインコちゃん。

動物マニアで野鳥馬鹿の自分としては、絶滅してしまう前に、どうしてもやっぱり野生で会いたいわぁぁぁあぁぁっ!!と、欲望を抑え切れずにセスナ機ツアーに申し込み!メラルーカへと行ってきました。

生まれて初めてのセスナ機でしたが、そこはそれ、馬鹿と煙は高いところがどーとかこーとか。

高いところが大好きすぎる自分は、窓から見下ろすタスマニアに大興奮!!

わー!!これがサウスウェストー!!人類未踏の地が残る場所ー!!!

そして徒歩だと1週間以上かかると言われる行程を、セスナ機ですっ飛ばして約1時間後。

観察所があるメラルーカに付きました。

……こ、ここがメラルーカ!!レア鳥たちの聖域なのねー!!と興奮ゲージは許容量を大幅に越え、傍から見れば怪しい人へと大変身。

実はメラルーカ、アカハラワカバインコの最後の楽園でありながら、メインランドではもう虫の息になっているキジオウムの生息地でもあったりします。……奴らは夜行性なので見られませんでしたが。

観察所はこじんまりとした作りながらも、快適に過ごせるように、そしてメラルーカの歴史が分かりやすいようにと工夫がされていて、おおスゲー!!というのが第一印象。

そして、ガラス張りの大きな窓の前には、アカハラワカバインコ用のエサ場が。

運が良ければ、ここのエサ場に来るらしいけども、果たして今回はどうか……!?

と、そこにパササッと2羽の鳥が。

インコにしては小さすぎ。というかちょっくら派手目のような色で地味目のような色と言う、分かりにくい色をした、小さな小さな小鳥のカップル。

……サザナミスズメさん。申し訳ありませんが、お前さんらはお呼びじゃないんです。

他のツアー客と駄弁りつつ、紅茶やビスケット、ティムタムを美味しく頂きつつ待つことしばし。

パタタッ。

目を見張る、色鮮やかな若葉色。そして黄色に近いお腹にポッチリと、でも存在感抜群のオレンジ色。

和名、アカハラワカバインコ。英名、Orange-Bellied Parrot。野生生息数は50羽以下と言われる幻のインコがエサ場に登場……っ!!


アカハラたんだー!!やっと会えたー!!君に会いに来たんだよー!!!やったー!!見れたー!!!


興奮しすぎて、感動しすぎて、ちょい涙目に。

本当に、綺麗なインコでした。図鑑の絵や写真で見るよりも何倍も綺麗で、可愛く美しく、そしてちょっと儚げな印象を与えるインコでした。

会えてよかった。でも、こうやってアカハラワカバインコに会えるのはあと何年あるんだろう。

そう思うと、またいつか、アカハラワカバインコに会いに行きたいと思います。

……今度行く時には、サウスコースト・トラックに挑戦して会いに行こうか。

そのためにはもうちょい体力付けなきゃね……。


サウスコースト・トラックの紹介文に「泥好きさん大歓迎!!」って書いてあって吹いた。晴れていたら、結構綺麗なトラックらしいんですけど、ね……。


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