017 ダンジョン&レベリング・8
傲慢ではない者はドラゴンに非ず。ドラゴンとは傲慢そのものであり、上位者であるという自覚を持ち、傍若無人な態度で下等生物をあしらう。それが、ドラゴンである。
――――カランカラン……。ビチャ……。
『…………?』
そんなドラゴンでも何もない空間から突然、盾を握りしめた左腕と頭部らしきものが飛んでくるという現象には異常性を感じるらしい。飛んできたものの詳細を確認するために頭を起こし、それがどこから、どうして自分の近くに飛んできたのかを考える。どうやら飛んできたのはハイリザードマンの死体の一部らしいことを確認すると、尚更それがなぜここにという疑問が浮かんでくる。
だが次の瞬間、ドラゴンはありえないほどの"恐怖"を感じる。
『ガァ……!?』
「もう遅い!!」
ハイリザードマンのバラバラ死体、これをやったのがどこからともなく現れた人間によるものだと理解した瞬間、下等生物如きに覚えてはいけないはずの恐怖がドラゴンの中に生じてしまった。
こんなことが容易く出来る相手が、なにか悍ましい武器を振りかざして目の前に迫っている。恐怖のあまり体が竦んで反射的に反撃をすることが出来ず、ブレス攻撃も全く間に合う距離ではない。ドラゴンが知っている下等生物の、人間のスピードを遥かに凌駕してそれは接近していた。
『ガァア、アアアア……!!』
「ドラコストライク!!」
刹那、ドラゴンの脳天に衝撃が走る。その衝撃に耐えきれず、ドラゴンは頭部から地面に崩れ落ちる。まだ意識は辛うじて残っていたが、もはや体を動かすことはままならない。脳へのダメージが非常に深刻な状態だった。
「だぁあああああああああ!!」
ドラゴンは傲慢である。傲慢な者は『まさか自分が倒されるはずがない』と思い日々を生きている。ましてや下等生物、人間などというちっぽけな存在にやられるはずがないと信じて疑わない。だから、常に誰かの襲撃を予測して警戒するという行動をしないのだ。
地面に倒れたドラゴンの脳天目掛け、空中から人間が落下しつつ剣を振り下ろす。あの恐ろしい剣は、あの恐ろしい武器は、それを理解した時には全てが遅く、それはドラゴンの脳を完全に破壊し尽くしていた。
「アーシェ、もう大丈夫~!?」
「……脳を破壊してもまだ動けるなら、私の負けだけど」
「だよね! 流石にもう動かないよね!」
「はぁ……。決着はあっという間だけど、ドラゴンの相手はとにかく疲れるわ……」
「これで2回目だね~」
「そうね……。さて、血抜きをしなきゃ……」
下等生物と思っていた相手に一瞬で負ける気分はどんなものなのだろうか? アシェル達にそれを知るすべはない。なぜなら、彼女達はまだこの階層で最下位の存在で、まともに戦えば全員が格上の存在なのだから。
アシェル達は自分達が弱いということを知っている。だが、弱いということを知るのは武器になるのだ。相手に勝つための手段を模索するようになり、傲慢にならず、常に警戒と覚悟をもって戦いに挑む。弱者だからといって強者に勝てないという道理はない。無理が通れば道理が引っ込むという言葉あるが、アシェルはその逆もまた存在すると思っている。道理が通れば無理が引っ込むのだ。
「そういえば、なんでわざわざハイリザードマンの頭部と左腕を投げたの……? その手前のリザードマンのほうが良かったんじゃない……?」
「死体の主要部分を回収出来なかった時、どう復活するのかが知りたいの。ハイリザードマンは爆死したでしょう? その死体をスライムが回収すると復活すると思っているのだけど、頭部と左腕と盾を回収出来なかったらどうなるのか。それが知りたいわ」
「アーシェって学者さん?」
「そ、そういうのじゃないけれど、生き残るためにはここのルールを知る必要があると思うのよ」
「僕には難しいなぁ……。頑張って僕も理解するから、優しく教えてね?」
「アイヴィなりの考えを教えてくれてもいいのよ。私だけの考えじゃ、見えない視点もあるから」
「そうなんだ~? あ、僕も解体手伝う?」
「ううん、解体を覚えたいから1人でやるわ。アイヴィはその本の解読を進めたいでしょう?」
「うん! 僕ね、結構読めるほうだと思ってるんだけど~……。知らない字がいっぱいあるなぁ~……」
アシェルはドラゴンの解体を、アイヴィは魔法書らしき本の解読を、それぞれがやりたいことをやりつつ、このダンジョンを攻略しようと前向きに進んでいる。
アシェルは2度目の解体とあってか、以前よりもスムーズに解体作業を進めている。ドラゴンスレイヤーはドラゴンを簡単に斬り裂ける大剣で、その他の種族にはただの鉄塊でしかない。ドラゴンの解体はスムーズに出来るが、他の種族の大型生物の解体には向いていない。
「なるほど……。前はちゃんと見なかったけれど、こういう体の作りなのね……。ここから斬れば、簡単に切断出来そう……」
「あ!! そうだ、アーシェ!! さっきの格好良いの、何!?」
「ええ? さっきのって……。ああ、ああ! ドラコストライクのことね?」
「そうそう、それ! アーシェ、あんなの使えなかったよね?」
「急に使い方がわかったというか、勝手に体が動いて使えたのよ。スキルを閃く瞬間って、そういうものなの」
「あれがスキルの閃きだったんだ~! 僕、初めて見た~!!」
「普段から繰り返している動作をマスターしたり、そのスキルを発動出来る能力に達した時なんかに、スキルは突然発動出来るようになるのよ」
「へえ~!!」
話は戻るが、アシェルが先程使ったスキルの話だ。スキル名は『龍の一撃』、ドラゴンスレイヤーを扱う者が繰り返しドラゴンを撃退し、このスキルを発動出来る程のレベルに到達していた場合、まるで龍が剛腕を振り下ろすかのような強烈な一撃を放つことが出来るこのスキルを閃く可能性がある。
つまり、アシェルは相当にレベルが上昇しているということである。ただし、レベルを逐一確認するという習慣がないため、イコールレベルが上がっているという発想に至らないのだ。
「レベルの影響かな~?」
「え?」
「アーシェ、レベルが上がったから使えるようになったんじゃないの~?」
これが先入観のない柔軟な発想を持つ者の考え方である。アシェルは冒険者としての常識や知識が弊害となって、レベルが上がってスキルが使えるようになったという考えに至れなかった。しかし、アイヴィにはそれがない。スキルの閃きはレベルの影響があるのではないかという発想に到達することが出来た。
この世界にはそもそも、レベルというものが存在していなかった。レベルという概念自体は転生者や転移者などの間に存在していたが、『この世界にレベルは存在しない』と知って、すぐにその言葉から離れてしまった。魔物を倒すと徐々に強くなるという情報だけが存在していたからだ。
「レベルの上昇が、スキルの閃きに……」
「あ、もしかしたら逆かも? スキルを閃いて、レベルが上がったのかもね~!」
「…………!! 確かに、その可能性もあるわね」
鶏が先か、卵が先か。レベルが先か、スキルが先か。それは今のアシェル達にはわからないことだが、ほぼ間違いなくレベルとスキルには因果関係が存在しているのだろう。ここまで言われたからには、アシェルとしてもステイタスを確認せざるを得ない。
「見てみましょう。ステイタス」
「うんうん。見てみようよ~」
◆ ◆ ◆
【ステイタス】
Name:アシェル
True name:アルシエル・ヴィンセント
Lv (成長度):24
STR (筋力):11
CON (体力):9
POW (精神力):18
DEX (敏捷性):26
APP (外見):9+5+15
SIZ (体格):身長165cm,B88cm,W58cm,H89cm
INT (知性):19
MAG (魔力):10+5
EDU (教育):20
ギフト
・泉の代償:APP+15、その魅惑的な体型を隠すことは出来ない。
・やり直し:クロバネより授かりし右腕。使用済み。
スキル
・シルフィード・2:一時的なDEXの向上 (+20)
・ピアシング:正確な刺突攻撃
・リッパー:ズタズタに引き裂く斬撃
・エクセキュージョン:相手を一撃で仕留めやすくなる
・ドラコストライク:龍の一撃の如き強力な打撃攻撃
特殊な装備
・ステイタスの腕輪:ステイタスを表示可能になる
・龍殺し
┣筋力+5
┣龍族を殺すことに特化した大剣。
┣勇気なき者には触ることすら叶わない。
┗汝、勇敢なる者。我、認めたり。
・魔法殺しの短剣
┣魔法生物を殺すことに特化した短剣。
┣魔法攻撃、魔法による妨害等に強い抵抗力を得る。
┗発動前の魔法陣を破壊出来る。
・朧鴉
┣敏捷性+10
┗魔力を込めると【闇雲】が発動し、姿を隠すことが出来る。
・龍鱗の軽量盾
┣龍殺し:効果選択中
┣魔法殺しの短剣
┣朧鴉
┣どんな武器でも収納出来る。残り1枠。
┗衝撃を非常に大きく緩和する。
・黒羽の戦姫
┣敏捷性+10
┣敏捷性に応じて幻影を発生させる。
┗日に数回、致命傷を避ける加護がかけられている。
◆ ◆ ◆
【ステイタス】
Name:アイヴィ
True name:アイヴィ
Lv (成長度):23
STR (筋力):9
CON (体力):16
POW (精神力):16+10
DEX (敏捷性):9
APP (外見):12+18
SIZ (体格):身長150cm,B94cm,W56cm,H100cm
INT (知性):14
MAG (魔力):25+5
EDU (教育):7
ギフト
・壁を破壊する者:不明
・分け与える者:獲得したものを親しい者達へ分け与えることが出来る
スキル
・エナジードレイン
・爆炎球体2:セリエから教わった中級爆炎魔法の強化版。ファイアボールと勘違いして覚えている。
・美容術:テオから教わった美容魔法。実際は割となんでも治る。
・魅了2:レオネから教わった精神操作魔法。同性にも効き、効力が強くなった。
・フライ:サキュバス固有のスキル。常時魔力消費なしで飛び回れる。
・バリアブレイク:バリア系を遠距離で破壊可能になる。
・マジックシールド:魔法障壁盾の術式を無意識に暗記し、自らのスキルとした。効果は同様。
特殊な装備
・性十字軍の斧杖
┣自らを愛せよ。
┣親しき隣人を愛せよ。
┗ァィヴィ、バリ頭良くない?
・暗黒教団の法衣
┣精神力+10
┣外見+5
┗魔力の回復を大きく上昇させる。
・魔法障壁盾
┣魔力+5
┣魔力を込めると、強力な障壁盾を前方に展開する。
┗魔力を強く込めると、強力な障壁盾を全方位に展開する。
◆ ◆ ◆
どうやら、アシェルが考えていたよりも相当に大変なことが起きていたようだ。
「す、凄い……。こんなに強く、なって……」
「全然自覚がなかったの~? アーシェ、前より凄く速いよ~?」
「確かに、ドラゴンの頭なんて何メートルも上にあるのに、簡単に届いて……」
「跳躍力もだけど、たまに目で追えない時があるから、僕はアーシェが何をやっているのかわからない時があるよ」
「ええ……」
アシェルはドラコストライクのみならず、エクセキューションという一撃必殺しやすくなるスキルも覚えていた。これは恐らく、アシェルが繰り返し行っている戦闘スタイルによるものだろう。一撃必殺で倒さなければ生き残れないため、それを繰り返しているうちに身についたのだろう。シルフィードに2という数字が増え、増える敏捷性も向上している。
そしてアイヴィだが、バリアブレイクにマジックシールドを覚えていた。これは魔法障壁盾の術式を無意識に暗記したもののようで、要するに魔法障壁盾を持っていなくても使えるようになったということである。更に、マハリトとチャームに2と数字が増え、効力が上昇しているようだ。
「ちょっと待って、バリアブレイクって、そんなの使って……いた?」
「うん? 魔法障壁盾を使った時の壁を壊したいなーって思ったからかな~? 多分だけど、あの壁って破壊以外に解除方法がないよ~?」
「え…………。じゃ、じゃあ、壁を破壊する手段がない人が、全方位盾を使ったら?」
「多分~……。壊せなくて、どうにもならないかも?」
「こ、これ、便利な盾だと思っていたけど、実は危ない盾だったのね……」
「僕は壊せるから平気~!」
これまで安全だと思って使っていた魔法障壁盾も、実は障壁盾を解除する方法が盾に備わっていないので、一度出したら破壊されるまでそのままという危険な盾であることが発覚した。もし、破壊手段がないにも関わらず全方位盾を発動してしまうと、完全に中へ閉じ込められてしまうというわけだ。
「もしかして、で2枚出せるってことかな~? えいっ!! おお~!!」
「…………あ。盾とアイヴィでそれぞれ出して、2枚出せるということなのね」
「そうそう! これで防御力が倍になったってことだね~!」
「その魔法障壁盾、完璧に重ねて出すと……どうなるのかしら?」
「わ~……。それはかなり難しいけど、頑張ってやってみるね!」
「ふわぁ…………」
そして、防具の魔法障壁盾とアイヴィのスキルの魔法障壁盾、それぞれで発動させることで魔法障壁盾が2枚召喚出来るということが発覚した。アシェルはこれを完全に重ねたらどうなるのかが気になり、アイヴィに重ねるようにとお願いをするが……。
「う~ん……。本当に難しいかも。出来ないわけじゃないけど、かなり練習しないと出来ないなぁ~……」
「そう……。2枚重ねになっているって相手にバレなければ、1枚破壊すればーって油断が誘えると思ったのだけど……」
「そういうことなら、僕ね、頑張って練習する! 練習すれば、絶対出来るようになるから!」
「魔力切れには気をつけて練習して。常に半分以上は残すこと…………」
「うん! わかった!」
どうやら相当に難しい技術らしく、魔法障壁盾を重ねるという実験は重ねる練習へと変更になった。ただ、練習し続けて魔力切れを起こし、いざという時に何も出来ないというのは困るので、常に半分以上の魔力は残すことと約束をした。
「…………」
「アーシェ? どうしたの?」
「…………?」
「アーシェ??」
「え、ああ……。解体、魔力切れ……気をつけて……。解体……」
だが、アシェルの様子がどうにもおかしい。先程から元気がない喋り方を繰り返し、ボーッとすることが増えている。
「ふわぁぁああ…………」
「アーシェ、ずっと寝てないよね……?」
「そうだったかしら……?」
「そうだよ! 僕が寝てる時も、ずーっと起きてたよね!?」
「そうだったかもしれないわね……」
「寝ようよ!! 僕、見張ってるから!」
「でも、解体……」
「寝よう! ほら、僕が見張ってる!! 本を読みながらと、魔法障壁の練習をしながらだけど……」
「…………何かあったら、起こしてね。どんなに些細なことでも、すぐに」
「うん。約束する!」
どうやら相当眠かったらしい。解体をしながら眠くなってしまい、正常な判断も出来なくなりつつあった。この大部屋に戻ってきたのは正解だったようだ。
「ふぁ……あ…………」
「え、もう寝たの……!?」
「すぅ…………ふぅ…………」
アイヴィの近くにある簡易ベッドに寝転んだ瞬間、アシェルは即座に夢の中へと旅立っていった。完全に限界を迎えていたのだろう。
「…………僕、読書の時って独り言多いんだけど、大丈夫かな?」
「ん、う……」
「えっと、まず題名から読めないんだよね……。セリエお姉様が言ってたよね……読める字から解読して、文章を組み立てて、読める字を増やしていきなさいって。これは、火……。火だから、この本は火の魔法の本なのかな? なんとかの火……。なんとかを、なんたらで、卵を、割って……? ここは駄目かな~……。これで、オムライス……ええ……? なにこれ~……?」
「…………」
読書の時は独り言が多いタイプのアイヴィだが、どうやらアシェルの夢の中までその声は届かないらしい。流石に叫べばアシェルも起きるだろうが、ボソボソと喋っている分には起きる気配もないようだ。
アイヴィは読める字から文章を組み立てていくことにしたらしく、クロバネの日記の空きページに読めた文章を書き込んで解読を進める。書き込むのに使っているのは、ドラゴンのブレスのせいで炭化した手頃な装備の破片だ。あるものは有効活用していくスタイルである。
「あ、そうだそうだ。確かマジックバッグで装備を回収した中に、メガネがあったよね。セリエお姉様もお勉強の時は使ってたし、僕も真似しちゃお~」
有用そうな装備を回収したマジックバッグは無事だったので、その中にメガネらしきものがあったのを思い出して引っ張り出す。姉のセリエが使っていたし、メガネを着けると知的に見えるからという単純な理由での着用だが、まずは形からでもやる気が出るならそれだけでも有用な装備だ。
「うんうん。うん? なんだろう、文字がダブって見える~……うええ、気持ち悪い~……」
だが、このメガネはどうやら文字が変になってしまうメガネだったようだ。先程アイヴィが解読した『卵を割って火にかけオムライスを作る』という支離滅裂な文章が、全く別の文章に変わっていたのだ。
「…………なんとかの、炎…………? 原子が、ええっと……? え、え……? 何、これ……?」
アイヴィは戦慄する。先程解読した平和な内容の文章ではなく、何か恐ろしいものを記述した本であるということに気が付き、その文章から目が離せなくなってしまった。文字がダブって見えるという気持ち悪い現象にも慣れ、文章を読み進めて解読を続ける。
「ファイアボールが、火種に思える、程の、強力な……。いや、これは、強力という言葉では、済まない……。この魔法を広めるわけには、いかないが、失伝させるのも惜しい……? なんだろう、急に読めるようになってきちゃった……。あ、見張り見張り……! ハイリザードマンの頭と腕は、そのままみたい……。じゃあ、続き……!」
解読を進めていく内に、先程まではところどころしか読めなかった文章が、徐々に読める文字が増えてスラスラと目が通るようになっていた。気がつけば10分、20分、30分と時間が過ぎていくが、時計のないこのダンジョン内では時間の経過の感覚がわからない。時折見張りのことを思い出しつつ、解読を繰り返しているとあっという間に時間が経過していた。
「――――最初から、読んでみよう……。この文章が読めているということは、君はあの核の炎を耐えて生き残った優秀な魔法使いということだろう。ファイアボールが火種に思える程の強力な……。いや、これは、強力という言葉では、済まない……。この魔法を広めるわけにはいかないが、失伝させるのも惜しい。故に、この本を手にしようとする者には防御魔法としてこの魔法を発動させることにした。これは、瞬間的な原子爆発による大気の膨張と、圧倒的な爆熱により焼殺する炎の魔法。核の炎と名付けたいところだが、ここはあえてこの魔法にあの名前を授けようと思う……」
――――気がつけば、何十時間も経過していた。
アシェルは眠り続け、アイヴィは本に夢中で、どちらも時間のことなど全く気が付かなかった。
そして、その魔法書は遂に…………その名を現した。
「――――超核熱爆発…………」
瞬間、大部屋の中に閃光が走る。
全てが光りに包まれ、音が置き去りになったかのような爆熱が部屋全体を包み込む。
「~~~~~~ッ!?!?!?」
「…………あ。あ、ごめんね、アーシェ!? 起こしちゃった!!」
「い、今の、何!? 何が起きたの!? おはようの挨拶がデカすぎない!?」
超核熱爆発が起きたのである。
このことを説明するのに時間を要したが、それよりもアシェルが気になったのは……。
「そのメガネ、何!? どこから引っ張り出してきたの!?」
「ええっとね、これは~……」
アイヴィのメガネのほうであった。アイヴィにも説明が難しいようなので、アシェルはステイタスを用いてそれを確認してみたのだが……。
◆ ◆ ◆
・賢者の教え
┣知性+20
┣隠されたものを見つけることが出来る。
┗学はないが、飲み込みは良い。今日の授業はここまで、良い授業になっただろう?
◆ ◆ ◆
「マジックアイテムだ~……」
「マジックアイテムよね……」
どうやらアイヴィは、とんでもないものを発掘してしまったらしい。




