アルヘロン:石と炎の心
最初の陽光が、その姿をあらわにした。
白い石の塔。金色の屋根。
溶岩のように輝くルーンが刻まれた城壁。
アルヘロン。
その名を知らぬ者はいない。
だが、自らの目で見た者はごくわずか。
王国の首都。
炎の砦。
リアナは馬車の窓から見つめていた。
胸が高鳴る。恐れからではない。
重圧からだ。
ここには草原も、羊もいない。
あるのはただ――期待。
――永遠の眼を持つ都へ、ようこそ。
と、使者は言った。魔力の咆哮とともに門が開く。
街路は磨かれた大理石。
兵士たちは魔力を帯びた鎧に身を包み、
市民たちは背筋を伸ばしながら、王家の馬車を見てざわめいた。
リアナは、すべての視線が槍のように刺さるのを感じた。
――
フレイヤ:「力ある王国は多い。だが、魂ある王国は少ない。」
ゼウス:「ここで勝つのは力じゃない。知恵で生き残るのだ。」
イシス:「その一歩は、思うよりも響いている。」
ヴィシュヌ:「笑みを浮かべる者すべてが、友とは限らぬ。」
ケツァルコアトル:「なぜ来たのか。誰のためか――忘れるな。」
――
一行は中央宮殿へと案内される。
王家の旗が、永遠の炎のごとくはためく。
そこでは、魔法の光に満ちた広間で、
新しい衣、部屋、そして休息が与えられた。
だが、それだけではなかった。
翌朝――
王との「密会」が告げられたのだ。
――陛下は、お前を一人で見たいとお望みだ。
その目で、お前が何者かを確かめるために。
と、使者は言った。
――
その夜、リアナは眠れなかった。
窓から見えるのは、無数の屋根、塔、バルコニー、
そして浮遊する魔法の光。
彼女は故郷を思った。
母を。
ミラを。
ダリエルを。
――私は、ここにいる。
現実とは思えないけれど…
何かを変えるために来たのなら――
明日から始めよう。
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