表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/50

アーティファクトの男

午後の空気は重く、リアナとミラはゴブリンの死体から漂う痕跡を追っていた。

それは微かに、しかし確かに生きた闇のエネルギーだった。


死体の皮膚に刻まれていた紋様は、部族の印ではない。

それは、支配のための導管だった。


そしてそれは、誰も足を踏み入れたがらない森の一角へと二人を導いていた。


──ゼウス:「誰かが彼らに意志を押し付けた。」

──イシス:「それには強大な力か…禁じられた絆が必要。」

──フレイヤ:「あるいは、ただの残酷さ。」


静かな三十分の歩行の後、二人はそれを見つけた。


開けた空間。

中央には黒い石でできた円。

その中に、男がひとり立っていた。


灰色のマントをまとい、背が高く、顔はフードに隠れ、

手には紫色の光を放つ金属の杖のようなものを持っていた。


リアナが一歩踏み出すと、男は首だけをゆっくりとこちらに向けた。

体は動かさずに。


──来るとは思っていた──男は空洞のような、柔らかい声で言った──

だが、連れがいるとはな…器よ。


ミラはごくりと唾を飲む。

リアナは眉をひそめた。


──お前は何者だ?


──まだ重要ではない者さ。

だが、これ──杖を持ち上げる──はお前たちの言う「アーケイン・チャネラー」。

どの神よりも古い時代の遺物だ。

これがあれば、どんな愚かな怪物でも踊らせることができる。


──ゴブリンたちを操ったのはお前か?──リアナが問う。


──操った? いや…

私は彼らを愚鈍さから解き放った。

目的を与えた。

だというのに──お前がそれを壊した。


──ヴィシュヌ:「嘘だ。そしてその嘘を信じている。」

──ケツァルコアトル:「ただの敵ではない。これは“兆し”だ。」


──私たちに何の用だ?


男は微笑んだ。

だが、その笑みは人間のものではなかった。


──今は何も。

ただ──選ばれし者が本当に生きているのか、確かめに来ただけさ。


杖を地面に叩きつけた。


闇の波が走り、

地面が震える。


そして二人が何かをする前に──

男は風に散った煙のように、姿を消した。


リアナはその場に立ち尽くし、

ミラは震えていた。


──な、なに…あれは…?


──警告よ──リアナが拳を握りしめながら言った──

そして、これはまだ…始まりにすぎないという約束。

誰かを見かけただけで、不吉な予感がしたことはある?


もしこの章があなたに鳥肌を与えたなら、評価を忘れずに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ